2009年04月16日

中国のグローバリゼーション12

Maurice MeisnerのMao’sChina and Afterによれば1952年から1978年までの25年間で、国民所得は5倍になった。産業労働層は1952年の300万人から1970年代中頃には5,000万人になり、そのうち2,800万人が郷鎮企業で働く農民であった。1952年から1978年までの間、鉱工業生産指数は平均11.3%の伸びを示した。

1978年までは産業企業の所有形態には2種類あって、「全員」所有は1980年代後半には「国の所有」に変化していった。そして、集団所有は村とか地域に所有されていた。「鉄飯碗」という言葉が産業に関連した雇用とその福利厚生を説明するためにしばしば使われていた。給与は極めて低かったが、従業員は終身雇用、保障された年金、医療保険制度、住宅、被扶養者の教育、出産有給休暇ならびにその他の福利厚生を享受できたが、これらは高いレベルの公平かつ安全のレベルを作り出していた。

終身雇用と物理的な福利厚生に加えて、多くの中国の労働者は雇用の場で、意思決定と経営の改題に参加していた。1960年に
鞍山鉄鋼集団公司は参画、改革、統合の原則に基づいた憲章を制定している。この憲章は近年、日本、ヨーロッパ、アメリカが採用したTQMとかその他の従業員参画プログラムのような「新しい経営」スタイルによく似ていると認識されている。

この高いレベルでの経営プロセスへの参画が全従業員の高揚した所有感を助長し、中国に特有の企業文化を作り出した。「工場を自分の家として考える」と一般的に言われるようになった。

1978年に中国政府は「改革」体制を始めた。最初の10年から15年の間に、際立った改革の特色は以下の通り:人民公社の解体、経済特区(SEZ)の指定、国有企業への市場原理の導入。労働者の福利厚生並びに既存の社会的セーフティ・ネットはこの市場指向の改革によって着実に消えていった。

中国とアメリカ、その他の西側諸国との国交正常化は1972年のニクソン訪中から始まった。1978年12月にワシントンと北京は2国間の公式な外交関係を樹立した。毛沢東に始まったこの外交プロセスのクライマックスを鄧小平がつとめ、1979年1月に訪中し、これが最初の公式訪問であった。彼はアメリカの物質的な豊かさにいたく感銘を受け、それが彼の考え方とその後の政策決定に重要な影響を与えることとなった。「豊かになることは名誉なことだ。」とか「開発は絶対に必要だ。」と言ったスローガンはこの彼の考え方を反映したものだ。

レーガンとサッチャーは民営化と新自由主義的な改革経済の「黄金時代」を80年代に先導した。市場競争と社会進化論(個人・集団・国家・思想における競争が、人間社会の進化をもたらすという理論。Darwinism の言葉が使われているのは、生物進化の考え方や適者生存(survival of the fittest)の考え方を取り入れているためであり、ダーウィンとのかかわりはない。19世紀のスペンサー(Herbert Spencer)や、優生学を創始したゴルトン(Francis Galton)らが提唱した。)のイデオロギーが成功の「秘訣」として中国に紹介された。

くわえて、この時代に東アジアの虎、すなわち、香港、シンガポール、韓国、台湾が大きな経済的な成功を収め、輸出モデルの魅力的な例を提供した。中国の沿岸部に開設した経済特区はこれらを手本とした。

青年の再教育で毛沢東が1968年からの10年間で2000万人を都市から農村に「下放」したことが書いているが、その多くは不当に扱われ、犠牲となったと思っている。彼らの苦情に言及することによって、鄧小平はこれらのグループから改革に対する共感と支援を得ることができた。こうして下放されたエリートの数こそ少ないが、政治的な影響力はかなりのものがあった。また、1970年代後半から80年代はじめにかけて、農村にも都会にもテレビが普及し、香港、日本、台湾の番組だけでなく、アメリカの番組が放映され、アメリカの豊かな生活を中国人が知るようになった。

こうしたことが中国の経済政策の新たな方向に貢献した。都市部の改革の主な特徴は市場をより指向するための国有企業の改革と外資の導入であった。いくつかの経済特区もこの時期に作られた。1979年末になって政府は数千の国有企業に対して利益採算で操業するように指示した。1980年の始めにはこのプログラムは国有企業の16%にも及ぶこととなった。

経済改革の努力は「鉄飯碗」の取り壊しに集中した。労働の生産性はこの終身雇用による安定を終わらせることによって大いに増加させることができるというロジックであった。いくつかの新たなボーナス制度と利益分配制度は従業員の反対を和らげると同時に生産を刺激するために導入された。

まだ、反対はきわめて激しく、苦々しいものであった。改革の当事者は結局妥協した。今まで国有企業で働いてきた労働者には雇用保障と福利を保障し、新規労働者には契約ベースで採用することにした。長年の間、こうした契約約定が様々な場所と企業において、困惑するほど多様化し、時として、新規の雇用者には中身の薄い福利厚生となっていった。

外国企業の開放された経済特区は企業への税制の特例だけでなく、従業員に対しても国有企業の従業員並みの待遇が与えられるように指導され、搾取工場としての状況にはまだなっていなかった。しかしながら、1982年に政府は憲法からストライキを行う権利を密かに削除した。この時には、工場を我が家として考えている時代に誰がストライキをしようというのかと言ったことから、変更に対する関心はほとんどなかった。ところが、後でわかったことだが、大規模な労働者に対する搾取の始まりでもあった。

こうした国有企業の改革は1979年から開始したが、実際には改革の実効成果は1990年代の半ばまでかかることになった。企業がすべての生活の場としての終身雇用制度の崩壊まで15年の歳月を必要とした。古き良き中国は住宅を無償供与しなくなった1995年に崩壊したと言ってよい。この90年代の10年間で、5,000万人以上の失業者を出したことになる。

農村部の改革の主要な構成部分は農業の事実上の民営化であった。
人民公社は1982年の憲法改定により解体され、1978年の生産責任制の導入により、人民公社は実質的には機能しなくなった。生産責任制は1980年代前半に中華人民共和国の農村で推進された重要な経済改革の一つであり、これにより中国農村の土地改革は重大な転換点を迎え、そして、生産責任制は現在の中国農村の経済基盤の一つとなっている制度である。生産責任制と人民公社の最大の違いは、農民は政府から生産を請負うがその時に、政府と農民は一定数量の農作物を国家に上納するが、それ以外の余った農作物については農民が自由に処分してよいこととなり、自由市場に農作物を販売してよいことという取り決めをした。その結果、人民公社時代の集団による管理体制の形態から、各農家単位による自分で生産・分配及び経営を管理する形態へと変化していった。

こうした生産請負制によってしばらくは農民は利益を享受できたが、政府による農業の原料の値上げにより、再び、弱小の農民は天然の災害とか市場の変動に脆弱であった。さらに2001年のWTOの加盟が海外からの安い農産物の輸入によって大きな打撃を受けることになった。そのため、多くの農民が農民工として都会に働きに出ることになっていった。

農業においても、人民公社の解体で、女性の権利が徐々に弱くなり、老人のサポートがなくなっていった。そのため犯罪と社会不安が急激に増大していった。従来の中国の農村生活は毛沢東が目指した物資のユートピアではなかったが、多くの農民は改革によって急速になくなってしまった、ユートピアのような尊厳ある暮らしと比較的調和のとれた社会への時代に郷愁を感じている。

農村の改革も企業と同様であったが、農村の所得の向上は都市部と違い一向に向上することはなかった。その都市部との格差は広がるばかりであった。三農問題は政府の重要課題の一つで、明確な回答がある訳ではない。4兆元も2,000万人の農民工の失業のための対策だ。



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2009年04月15日

中国のグローバリゼーション11

中国は2001年12月にWTOに加盟したが、それまで20年以上の改革をへて、外国投資と貿易を自由化するための自由市場経済にむけて国を徐々にシフトさせてきた。これらの改革は中国が世界貿易組織であることを認めさせただけでなく、世界銀行とその他の経済学者が中国を経済のグローバリゼーションで成功したという賞賛を得てきた。中国は外国投資と輸出大国としての世界を引きつけてきた。過去25年にわたって平均成長率が9%以上という例は近年ない。と同時に「経済の奇跡」が一日1ドル以下の極貧の人々の数を劇的に減少させ、1978年に2.5億人いたのが2000年には3000万人に減少した。

しかしながら、貿易と投資の公式数字がこの急激な社会と経済の変化の期間において中国人が経験したことを完全に表している訳ではない。この報告書は自由市場改革が仕事と貧困のみならず、不平等、天然資源、環境、健康と教育のような広範囲な生活指標の質に影響を与えてきた。いくつかの指標は中国の経済のグローバリゼーション政策の採用に対して不安材料となってきている。

貧困と不平等

「持っているもの」と「持たざるもの」とのギャップは「自由市場」経済を採用して以来、劇的に増加してきた。1980年代はじめには人口の10%が国民所得の20%以下を稼いでいたが、2005年には上位10%が国民所得の45%を稼いでおり、下位10%は1.4%しか稼いでいない。GDPの劇的な成長にも関わらず、2000年から2002年にかけて、42%の農村の所得は減少している。国連が採用している不平等を測定する係数に「ジニ係数」があるが、それによると、1980年から2005年の間にその係数は0.2から0.45まであがってきた。ということは容認できるレベルから対極化が深刻化し、社会不安が増大しているレベルになってきているということだ。

労働

中国は製造業の仕事の純減を経験してきている。1995年から2002年までの製造業の仕事は9800万人から8300万人へと15%全体で減少した。搾取工場が強烈な工業の民営化の結果だ。過去20年の間に、中国は多くの国営企業を民営化し外国企業もしくはその合弁企業に解放し、その多くは外国市場への商品を製造してきた。国営企業においてはほとんどの労働者は終身雇用、ヘルス・ケア、教育ならびにその他の福利厚生を享受してきた。今や、市場競争の世界になってしまったので、労働者は低賃金、少ない福利厚生、長時間労働、増加する傷害などの問題を抱えることとなった。華東、華南地域が多くの輸出工場が集まっていて、そこで、農民工は週7日、12時間労働であり、繁忙期には13時間から15時間は異常ではない。

環境破壊

急激な工業化が大規模な環境破壊をもたらしてきている。中国はアメリカに次いで世界第2位の温室効果ガス排出国だ。中国の主要河川の60%は人間が生活するには不適切だと分類されている。世界の最も汚染された10都市のうち7都市が中国だ。大気汚染によって、年間30万人が早産している。酸性雨は国土の3分の一に降る。工業廃水の3分の一以上と家庭排水の3分の2は処理をせずに下水に流している。この20年以上の期間で、産業化された農業と商業化された放牧の増加によって2.67平方キロの砂漠が増加し、それは国土の27.9%になる。

海外投資と環境保全技術の紹介によって中国の環境は良くなるだろう。しかしながら、今まではそうなってきた事例はない。その理由の一つとして国家安全保護総局は大した権限を持っていない。(現在は環境保護部に昇格し「省」になっている。)水処理設備は政府の指示で、ほとんどの主要な工場には導入されているが、3分の一は全く操業されておらず、3分の一は時々しか操業されていない。時として反則金は環境保護技術のコストより安い。(ビジネスウィーク 2005年8月22日)

農村地域と農民の減少

広西壮族自治区はかってはサトウキビ経済で繁栄していたが、中国がWTOに加盟してから、安価で、助成金に支えられたサトウキビが大量に市場に入ってきて、数百万人のサトウキビ栽培農家は貧困に陥れられてきた。この地域のほとんどの農家は一ヘクタール以下の土地しか所有していない。中国がWTOに加盟する以前はトンあたりのサトウキビの価格は250元であったが、翌年の2002年には190元に急落した。

1978までは農民人口の約85%は集団農場のヘルス・ケアがカバーしていた。今日、80%以上の農民はヘルス・ケアのいかなる形態にも入っていない。近年はより高度な教育が増加してきてはいるが、農村における基礎的な学校教育は減少している。ある農村地域の調査だが、1976年に70%の若者が高等学校を卒業していたが、1990年末には10%以上減ってきている。

一般の認識とは異なり、中国人は国の変革に対して受け身ではなかった。グローバルな経済システムとWTOへの飛躍には深刻な問題が起こっているという認識は持っている。政府に対する集団抗議行動、デモ、暴動事件は2003年には58,000件、2004年には74,000件と10年前に比べて、10倍以上になってきている。この報告書の最後のセクションでは代替モデルとして中国におけるいくつかの取り組みを紹介している。

以上がChina Copes with Globalizationの概要だ。この20年のグローバリゼーションの急激な変化は当然のことながら、社会にひずみが出てくる。国が大きいだけにそのひずみも大きい。前回の論文ではさらにこの発展の背景には中国の歴史が大きな課題としていつ爆発してもおかしくないと言っていたが、文化、価値観の問題もある。中国にはグローバル価値観は所与だと言ってきたが、それが今回の大飛躍につながっていることは間違いないが、一方では地方政府の腐敗と奴婢制度の残滓が絡んでる三農問題がある。これは中国の文化であり、100年経ってもかわらない。日本はこの中国のどの部分とつきあい、どの部分から学び、どの部分には注意を払うべきかを認識しなければならない。いつまでも、日中友好ではいられない。

今朝はこれくらいにしておこう。この論文の後の部分を読んでから、話をしよう。


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2009年04月14日

中国のグローバリゼーション10

久しぶりに日鐵商事に勤務を代えた物産の山口さんにあった。さすが国際派だ。話が通じた。この中国のグローバル化もテポドンも理解している。日本のグローバル化もこうした人たちが増えてくれるいいのだが。

人民元が安すぎるというブッシュの圧力にも、IMFを通じて、元の評価の正当性を認めてもらうようなアクションを中国はしてきた。このようにしてアメリカのユニラテラリズムに対抗して中国はグローバル化を推進してきた。中国とアメリカとの結びつきはアメリカが中国を競争相手として押さえ込みたいという衝動を弱めてきた。北京はアメリカにおいて、特にビジネス社会の支持基盤の開発を心がけてきており、非経済局面における相互の関係が難しくなっても、彼らが中国に対して、取り組む政策を支援してくれる意識的な戦略を採用してきた。

こうした政策は台湾についても同様で、軍事的な手段での解決は望んでいない。両岸の相互依存関係を深めていき、この地域の安定のために、国際的な支援を求め、中国大陸に好意的な流れになるようにもっていこうとしている。

アメリカの覇権の、ある側面は中国の利益に有害ではあるが、中国は国際システムの中でのチェンジを求め、国際システムそのものをチェンジしようとは考えていない。過去の10年がこのグローバルな世界において、中国のそうした動きを証明している。中国は大国外交を求めてはいない。協調外交であり、多面的なかつダイナミックなWIN-WINの競争をますます心がけていく。これは新たな大国外交ということかもしれない。

この論文はかなり衝撃的な内容だった。今までそうした見方をした日本人はいないのではなかろうか。私も中国がスーダンのダルフールでの資源争奪によって、世界から非難を浴びているのは事実だ。中国のアフリカ外交がかっての帝国主義の侵略に近い行為をしてきている。南米においても同様だ。そうした資源が今の中国の成長には欠かせないからだ。そのためには胡 錦濤はオバマと組まなければならない。アメリカの信頼がこうした資源の争奪に対する批判をかわすことができる。

一方で、ここで言うところの新大国外交が始まったということだろう。もちろんこの外交政策は日本人が言うところの弱いものを助ける善意とか仁義のかけらはない。中国の自国の繁栄と生存のためのみのビジネスの競争であり、交渉だ。これが新たな中国が求めているグローバリゼーションで、日本人が言うところの正義はない。友好外交はない。多面的なかつダイナミックなWIN-WINの競争とは国際システムにおける交渉であり、ビジネスだ。日本人はそうした環境でビジネスをしたことはない。

具体的な車とか家電とかのものでしか商売はしてきていない。目に見えない技術とか知材とかサービスを販売してきたことがない。これからの世界のビジネスはそうした交渉ができなければならない。その交渉力は語学だけではだめで、今まで言ってきたグローバル価値観を身につけなければならない。日本人の価値観は「真面目」「実直」「勤勉」「嘘つかない」だが、それは希少なものだだが、それだけではアジアで、世界で、ビジネスはできない。日本の「信用」は通用しない。「グローバル価値観」で私のブログをぜひ検索してほしい。

明日からの論文は以下の通り。
www.ifg.org/pdf/FinalChinaReport.pdf
China Copes with Globalization
the international forum
the international forum on globalization
Dale Wen

IFGはグローバリゼーションに関する南北NGOに関する多くの論客が理事をつとめている米国サンフランシスコにあるNGOだ。)
これも50ページ以上の論文なので、要約しながら、話そう。






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中国のグローバリゼーション9

中国のアメリカへの認知並びに政策は直裁的とか明確と言うのではなく、微妙な意味合いを持っており、かつ、戦略的だ。北京はアメリカと我慢づよく、強固な関係を求める一方で、アメリカの覇権が中国の利益に損害を与えている多くのやり方を不快に思っている。

中国がアメリカの対等の相手として認められた事が昨年来のG20の胡 錦濤とオバマとの会談から裏付けられる。そのために昨年の4兆元の発表もG20を意識してのタイミングだ。記念写真も胡 錦濤はオバマの隣だ。麻生さんは後列だ。日本はもう相手にされていない。

アメリカの中国に対する不信感、ゼロサム武力外交の姿勢に中国は不快感を持っている。また、対立のとんでもない費用をさけ、中国が昔流の武力外交を続けるという印象を払底するために、中国の外交政策は国内の軍事総動員と積極的な外国との軍事同盟を否定してきた。こうしたことは古典的な均衡戦略だ。冷戦後のアメリカの優位性に対して、均衡戦略は現実的ではない。ということはアメリカ覇権のグローバル・システムの中に中国を位置づけるということだ。

であるから、一連の外交政策において、米中間の緊張があっても、グローバルな世界経済に参画する以外に代案はないのである。その代表的な例は1999年のWTO加盟の時に江沢民と朱鎔基が国内の重大な官僚の利益に反対して、政治的に取引したことをあげることができる。また、貿易問題がますます多岐にわたる中で、鉄鋼の関税、繊維の割当、アンチダンピング税の議論において、中国はアメリカの一方的な外交に対して、自国の利益を守るために、WTOのメカニズムを利用してきている。

確かに中国の軍事費は毎年2桁成長してきている。そのレベルはアメリカの技術に依存してきたものではあっても、まだまだ、アメリカに匹敵するものでないことは事実だ。まだ、航空母艦すらない。そうした意味では中国の力外交はアメリカに対して意味をなさない。ただ追従している訳ではない。グローバルな世界経済のルールにそって、アメリカのユニラテラリズムに対応してきている。中国はまだ国内の統治に対して余裕がある訳ではない。それでもなお、こうしたグローバリゼーションの世界の仕組みの中核の国家として参入してきているのが現状だ。そうした中国の外交政策の大きな転換の中にあって、日本は何を考えてきているのだろうか。今ひとつはっきりしない。アメリカは日本を軍事同盟国だと思っているが、経済の同盟国だとはもはや思っていない。中国は日本をどう思っているのだろうか。反日デモは2005年以来ない。10年のスパンで見ていくともう日本は眼中にはないのかもしれない。ODAが縁の切れ目かもしれない。





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2009年04月13日

中国のグローバリゼーション8

昨日は11時から仕事だった。夜は購入したMAC Airの調子が悪いので、昨晩はそれで終わってしまった。朝はインラインで会社まで行ったが、仲間のいる青山には行けなかった。まあ、日曜日は仕事で終わってしまった。

中国のグローバリゼーションは昨日も話をしたように経済だけでなく、外交においても大きく変化してきた。2003年のSARSの時に世界が中国の情報の隠蔽を非難したが、それでもアメリカを始め各国は3800万ドルの支援をした。そのことが契機になって、中国は国際社会における協力関係をある程度強化してきたと言える。SARSが中国に国際協力という経験を提供し、国際社会において、中国がより統合できる新しい環境を提供してきたのである。

アジアの財政危機による破壊、テロ攻撃の後遺症、北朝鮮の核の孤立が中国にたいして、非伝統的な脅威として、安全環境を危険にさらし、社会の安定性、国家の統合、経済の発展に対してきわめて大切な関心事を提供してきた。また、中国は安全保障に対して今までの旧態依然とした軍事力の不適正を認識することとなった。

安全保障に対する包括的、多国間自由貿易主義者的な、かつ、協調的なモデルが必要であり、それは国の安全環境を改善するための、新たな脅威に対応するために実務的な必要性と、大国外交を変革しなければならないというより大きな関心事からそうした必要性が出てきている。こうした背景から、中国とアメリカの関係を見ればわかるように、テロと北朝鮮の核不拡散のような脅威についてはお互いの関係はきわめて安定したものとなっている。6カ国協議をみてもわかるように、アメリカの押しつけ的な問題解決方法はなくなり、米中の関係が強化されてきた。ワシントンの覇権的な政策は不愉快なものであるが、中国に対してはテロによる世界レベルの戦争を阻止するというコンセンサスが中国とできてからはアメリカは戦略的な課題にたいして中国を同等の競争者と見なすようになってきた。

こうした視点からわかるように中国はここ数年で大きくグローバリゼーションの考え方が変化してきた。アメリカの勢力を抑制し、中国に対するアメリカの敵意をなくしてきた。日本の報道では北朝鮮のミサイル発射の制裁では米中が対立しているという構図になっているが、果たしてそうであろうか。注意深く実態を見てみる必要がある。少なくとも中国はアメリカに全面的に反対はしていない。逆に、6カ国協議においては日本の方が拉致問題を持ち出すために、ほかの諸国からの鼻つまみになってしまっているのが実態だ。日本の方がいまや世界からのけ者になっているのが事実だ。そうした事実を日本の報道から知ることはできない。「大本営発表」の成果が未だに亡霊のように日本を支配している。敵航空母艦は実は一隻も沈んでいなかった。沈んでいるのは我が艦隊だけだった。それが今の国際関係における日本だ。麻生さんが悪いのではない。戦勝に浮かれている日本の国民と報道が悪い。日本は勝ってはいない。それでも麻生さんは孤軍奮闘している。支持率がここまで落ちても、動じないところは立派だ。彼は今の日本の国際におかれている立場を理解している。日本国民は理解していない。


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2009年04月12日

中国のグローバリゼーション7

昨日は昼は蘇の昔の友人が来たので昼食。午後はiphoneの私の普通のSoftbankの電話カードが使えるかどうかいろいろやってみたがだめだった。成果はiphoneのマークがAppleからPineappleになっただけだった。結局、SIMカードは認識されなかった。あとは、MACの英和辞典をTiger用に探していましたが、まだだめでした。Gene辞書というのがあるのも知りました。今日は日曜日ですが、11時から仕事なので、スケート仲間には会えないのが残念です。

yaleglobal.yale.edu/about/pdfs/china_views.pdf
China Views Globalization: Toward a New Great-Power Politics?

中国は1990年代の末頃から、グローバリゼーションは経済だけでなく、政治的な問題としてもとらえるようになってきた。国内の安全は国内だけでないということを認識してきた。国際的なテロ、大量破壊兵器、AIDSとかSARSのような伝染病、麻薬売買、ネット犯罪はこの範疇であり、こうした安全保障は国内だけでは困難であり、グローバリゼーションによって、達成できるとの認識に至った。グローバリゼーションはアメリカの権力を押さえ、中国に対する脅威の畏怖の念を押さえ、国際関係を力ではなく、民主的な手段で進めていくことができるという認識を中国の為政者は認識するようになった。

今まではグローバリゼーションということは経済だけの話であったが、この論文は中国のグローバリゼーションはもっと奥が深いと言っている。すなわちマジック8は経済だけの問題ではなく、アメリカの覇権に対する「民主化」勢力としての中国の存在を示していくのが彼らの意図だと言うのである。かっての冷戦のような対決ではなく、中国が世界のもう一方のリーダーとして、世界に参加していこうということである。もうじき、中国はGDPで日本を抜き世界第2位になる。中国はこれからの世界をアメリカ、EUと中国による多極化されたシステムを描いているのではなかろうか。インドはまだ10年先の話だ。

中国は西欧流の多極化でhなく、発展途上国を含めた「すべての勢力の調和のとれた共存」を目指している。中国の新しい外交政策はwin-win戦略だ。経済のグローバル化は中国の成長に必要なオープンな経済システムを作り出すと言っている。

日本はこの20年間、官僚統制が続き、グローバル化に逆行してきた。堺屋太一氏が今週号の日経ビジネスで言っているように日本は「偽りの国際化」をしてきた。自由化されたのは製造業と通信とタクシーだけで、医療、介護、教育、放送、農業はいまだに、官僚統制で、資本移動、外国人の受け入れはままならない。最近の話では経済産業省と財務省は2008年4月16日、英投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)に対し、電源開発(Jパワー)株の追加取得計画を中止するよう勧告したと発表した。外国為替および外国貿易法(外為法)に基づく外資規制ということだった。また、インドネシア人の介護の受け入れも、今後積極的に外国人を受け入れていく姿勢ではない。





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プロフィール

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プロフィール

海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
Swingby 最新イベント情報
海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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