2009年11月23日
京都議定書12
いよいよ京都議定書は今日で終わる。長いなあと思ったが、12日間で終わった。昨日は雨上がりのスケートで、現地には数人しか来ていなかった。愚妻は再び台湾に戻ったので、家族は再び愚息とおばあちゃんだけになった。25日にはカナダから愚息がもう一人一時帰休してくる。その意味で、このブログも今日一日はかどりそうだ。さて始めよう。
最近の Copenhagen合意プロジェクトでは京都議定書は地球温暖化の進行を鈍化させるだろうが全体の効果は表面的だと言うことを言っている。
Copenhagen合意は厚生経済学の理論に基づいた方法論を使って、地球の福祉を進める上での優先度を確立しようと言うプロジェクトである。http://en.wikipedia.org/wiki/Copenhagen_consensus
これについてはhttp://d.hatena.ne.jp/roadman2005/20070127/1169913923に詳しい日本語の解説と意見がある。
しかしながら、京都議定書の擁護者は初期の温室効果ガスの削減の効果は小さいかもしれないが、それらは将来の大きくかつより効果的な削減のための政治的な先例であると言っている。彼らはまた「予防原則」に対する誓約を支持している。
予防原則 Precautionary Principle:欧米を中心に取り入れらてきている概念で、化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方のこと。
この概念は、因果関係が科学的に証明されるリスクに関して、被害を避けるために未然に規制を行なうという「未然防止(Prevention Principle)」とは意味的に異なると解釈される。
1992年の国連環境開発会議(UNCED)リオ宣言は、 原則15で予防原則について以下のように記している。「環境を保護するため、予防的方策(Precautionary Approach)は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない」。
これは、地球温暖化対策などで、科学的な不確実性を口実に対策を拒否または遅らせる動きの牽制とする意味合いもある。
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%97%5C%96h%8C%B4%91%A5
批判している人達の指摘では二酸化炭素のより更なる削減はより重大なコスト増加を引き起こす原因となるかもしれないと主張し、またそうしたことを擁護する討論会も開催して来ている。さらに、「予防原則」はいかなる政治的、社会的、経済的、環境上の結論に当てはめることが出来るが、この原則は、一方では貧困と 環境の観点から壊滅的な影響を与えるかもしれないし、このことは予防の議論とは無関係である。
どんなに金をかけてもやるべきだと言う議論を進めて行くとアフリカのような発展途上国とか後進国では貧困化がどんどん進んでしまい、環境問題の予防原則ではなく、地域の経済問題が深刻化すると言っている。(私注)
Sternレビューはイギリス政府がスポンサーした報告書で、気象変動の経済的な影響に関したもので、その結論として、地球のGDPの1%が地球変動の影響を軽減するために投資することが必要であり、そうしないと、地球のGDPの20%以上の価値の後退のリスクがあると言っている。
Sternレビュー :英国スターンレポート 気候変動と経済に関するスターンレビュー Stern Review
英国政府が、2005年7月の主要国首脳会議を受け、ニコラス・スターン元世界銀行上級副総裁(現在は英国政府気候変動・開発における経済担当政府特別顧問)に作成を依頼した、気候変動問題の経済影響に関する報告書。2006年10月に公表された。
報告書では、気候変動問 題に早期に断固とした対応策をとることによるメリットは、対応しなかった場合の経済的費用をはるかに上回ること、具体的には、対策を講じなかった場合のリ スクと費用の総額は、現在及び将来における世界の年間GDPの5%強に達し、より広範囲のリスクや影響を考慮に入れれば、損失額は少なくともGDPの 20%に達する可能性があること、これに対し、気候変動の最大要因である温室効果ガスの排出量を削減するなど対策を講じた場合の費用は、世界の年間GDPの1%程度で済む可能性あることが示された。
その対応として、今すぐに行動を起こして、現在の大気中の温暖化ガスの排出量レベルを2050年までに少なくとも25%削減する必要があること、その場合二酸化炭素の 濃度は500から550ppmに抑えられる(現在は430ppm)こと、究極的には80%の削減が必要であることが報告されている。また、政策立案者は最 も安くつく経済的削減手段を作成する必要があるとして、長期的ゴールについての相互理解と対応策の枠組みに関する合意をもとに、国際規模で気候変動に対応することを求めている。さらにその枠組みには、国内排出量取引、テクノロジー協力体制、森林伐採を減らすための対応策、順応化、が含まれるべきであるとしている。
社会的割引率
便益と費用は必ずしも同じ時期に発生しない。割引とは、便益と費用の比較が可能となるよう、両者を現在価値に換算するために用いられる。www5.cao.go.jp/seikatsu/koukyou/data/18data/ze180613-shiryou.pdf
地球温暖化に対する「絶対」コストと異なった政策の便益を測定する試みに於ける一つの問題は適切な社会的割引率の選択である。京都議定書のもとで発生する便益のように長期的な期間にわたって、社会的割引率の小さな変更も、様々な研究の中で、純便益の間で、極めて大きな相違をもたらしてしまう。しかしながら、この困難な問題は長期間に於ける代替政策の「相対的な」比較には一般的に当てはまらない。と言うのは社会的割引率の変化はこの異なった政策の純コスト/便益に等しく調整されるからであり、時間軸において、コストと便益の重大な相違でもなければ問題にならない。
1990年以来の温室効果ガス排出の増加
下記の表は国連で報告されたように、気象変動条約の一部の国々に対する1990年から2004年までの温室効果ガス排出の変動一覧表である。
| 国家 | 温室効果ガスの変動(1990 -2004) LULUCFを除外 | 温室効果ガスの変動 (1990 -2004) LULUCFを含む | 2012まで のEUが決めた目標 | 条約義務 2008 -2012 |
|---|---|---|---|---|
| Denmark | -19% | -22.2% | -20% | -11% |
| Germany | -17% | -18.2% | -21% | -8% |
| Canada | +27% | +26.6% | n/a | -6% |
| Australia | +25% | +5.2% | n/a | +8% |
| Spain | +49% | +50.4% | +15% | -8% |
| Norway | +10% | -18.7% | n/a | +1% |
| New Zealand | +21% | +17.9% | n/a | 0% |
| France | -0.8% | -6.1% | 0% | -8% |
| Greece | +27% | +25.3% | +25% | -8% |
| Ireland | +23% | +22.7% | +13% | -8% |
| Japan | +6.5% | +5.2% | n/a | -6% |
| United Kingdom | -14% | -58.8% | -12.5% | -8% |
| Portugal | +41% | +28.9% | +27% | -8% |
| EU-15 | -0.8% | -2.6% | n/a | -8% |
LULUCF: Land Use,Land Use Change and Forestry 土地利用、土地利用変化及び林業部門。二酸化炭素の吸収源である森林などの陸上部門のこと。
京都議定書では、1990以降の人為的な植林などに限定して、この分の吸収量を算出にいれることを認めた。また、吸収源の範囲に関しても今後検討するとしており、土壌などにも拡大される可能性がある。
これにより、巨大な吸収量が生じると、化石燃料からの二酸化炭素排出の削減がなおざりにされることが懸念されている。また、この部門の吸収量の把握は、不確実性が極めて大きいといわれている。
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=1964
下記の表は温室効果ガス排出の変化の表である。
| 国家 | 温室効果ガス排出の変化 (1992-2007) |
|---|---|
| India | +103% |
| China | +150% |
| United States | +20% |
| Russian Federation | -20% |
| Japan | +11% |
| Worldwide Total | +38% |
1990年の水準から2004年の全体の温室効果ガス排出を比較してみる と、アメリカの排出が15.8%上昇していて、年ごとの変動幅は不定期であるが、総じて増加している。同時に、23ヶ国のEUグループは彼らの排出は5%削減された。加えて、EU23ヶ国のうち15ヶ国の大きい方のグループは1990-2004年の間に0.8%削減しているが、1999-2004年では2.5%上昇した。EUの何ヶ国かの増加の一部はまだ、条約の範囲内であり、いくつかの国家の集団では既に達成されてしまっている。(上記の目標参照。)
2006年の終わりではイギリスとスウェーデンだけが2010までの京都の排出誓約を達成したEUの国家であった。国連の統計が示しているのは36の京都の署名国は、全体として、2012年までに5%の削減目標を達成できる一方で、温室効果ガス削減の進展の多くは1990年代の社会主義の崩壊後に東ヨーロッパ諸国 の排出の激しい減少から来ている。
京都議定書の後
2007年2月16日に合意した拘束力のない「ワシントン宣言」の中で、Canada, France, Germany, Italy, Japan, Russia, United Kingdom, the United States, Brazil, China, India, Mexico, South Africaの各国の政府の首脳は京都議定書の次の要綱の原則に合意した。彼らは地球レベルのキャップ・アンド・トレード システムを考察し、先進工業国と発展途上国双方に適用し、2009年に発効することを望んだ。
2007年6月7日に第33回G8サミットでの指導者はG8の国家は「2050年までに地球のCO2排出を少なくとも半分にする」ことを目途にすることに合意し た。これを達成可能とするための詳細はUNFCCCの中で環境大臣によって交渉され、また、主要な新興国も含めて話が進められることになる。
UNFCCC主催で気象変動の円卓会議(Vienna気象変動会議2007)が2007年8月31日に気象変動に対して効果的な国際的対応が出来るようにするための主要な要素について合意に達した。
この会議での主な特徴は国連の報告書であり、エネルギー効率によって最低のコストで、排出を著しく削減できるかを示した。
この会議は2007年12月3日に始まった Nusa Dua, Baliでの主要な国際会議(第13回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)および「京都議定書」第3回締約国会議(COP/MOP3)私注)に向けての段取りをすることを意図していた。
2008年の会議(第14回締約国会議 (COP14) )がPoznań(ポズナニ), Polandで、12月に開催された。この会議での主な議題の一つは将来の京都議定書に於ける、「森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減 」(REDD)として知られている森林減少をどう回避するかの実行の可能性についての議論であった。
「森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減 」(REDD):Reduced Emissions from Deforestation and forest Degradation REDDは、開発途上国における森林の破壊や劣化を回避することで温室効果ガス(二酸化炭素)の排出を削減しようとすること、またはそのプロジェクト。言い換えれば、炭素が森林やその土壌に固定された状態を保つことで森林伐採による大気への炭素の排出が起こらないようにすることである。日本語で、「森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減」とも言う。
これによって排出削減できた炭素量は、再生可能なエネルギー源を使用することで発生する炭素削減クレジット、あるいはエネルギー効率の改善で発生する炭素削減クレジットと同じとみることもでき、カーボンオフセットなどに利用することも考えられる。このタイプの排出削減プロジェクトは生態系保護に役立つとともに、生態系が提供する機能の対価を支払うこと(PES)を促進するものとの評価もある。
2006年のスターンレビューでも、世界の温室効果ガス排出量(2000年)の18%が土地利用変化によるもので、その原因は途上国における森林の過剰伐採や農地への土地利用転換だとしている。また、その排出量は運輸部門よりも多く、森林減少の防止が地球温暖化防止対策における費用対効果の高い方法だと指摘している。
また、気候変動枠組条約の第11回締約国会議(COP11、2005年)でREDDが初めて議題とし取り上げられ、COP13(2007年)では締約国がREDDの取組を支援するとともに、CDMの方法論に関する議論を開始することを決めた。
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=REDD
国連の交渉は今、2009年12月のCopenhagenでの会議に向けて、前もって、歩調を合わせている。
クリーン開発と機構に関する太平洋パートナーシップ
クリーン開発と機構に関する太平洋パートナーシップ:Asia-Pacific Partnership for Clean Development and Climate 京都議定書を補完するものとして、2005年7月にラオス・ビエンチャンで立ち上げられた自主的な集まりである。その目的は、よりクリーンかつよい技術及びプラクティスの開発・普及・展開・移転を通して、国内汚染削減、エネルギー安全保障及び気候変動の目的達成を 促進することである。実行の促進に当たって、全体枠組、政策、手順を管理する政策実施委員会とパートナーシップのコミュニケーションや活動における主要な調整役となる管理支援グループを設立され、各パートナー間の協力や情報交換、民間部門の参加および進展状況の評価を図る。http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=3668
これはAustralia, Canada, China, India, Japan, South Korea, United Statesの協定である。彼らの間で、これら7ヶ国は二酸化炭素排出の半分以上の責任を持っている。
このパートナーシップは2006年1月にSydneyで、公式に開始した。この協定では加盟国は開始以来、100近いプロジェクトを開始し、クリーン・エネルギー能力構築と市場形成に努力して来た。これらの活動を行うにあたって、クリーン・エネルギーと環境の技術、サービスを展開するために長期プロジェクトが計画された。この条約はこれらの国々が任意の目標を決めて、温室効果ガスを削減し、これらの目標にはいかなる強制のメカニズムを設けなかった。
この条約の支持者達は「京都議定書の補完」と見なし、と同時によりフレキシブルなものと考えていた。批判する人たちはこの条約はいかなる強制力のある制限がないので、有効的ではないし、現在の京都議定書におき代わるための議定書の交渉を侵害した手段だと非難した。(2005年の12月にモントリオールで始まった交渉)アメリカの上院議員であるJohn McCainはこのパートナーシップは「ちょっとした広報活動以上の何ものでもない。」と言った。一方で、 the Economist誌はこのパートナーシップを「アメリカとオーストラリアが京都を批准を拒否するための明らかにアダムのイチジクの葉」だと酷評した。(すなわちこれが隠れ蓑だと言う意味。以前このパートナーシップについてこのようなことを言ったがここでそう言う指摘をしている。しかし、オバマは京都議定書に批准したい意向を持っている。私注)
以上で京都議定書は約束通り、月曜日に終了した。引き続き、今日からはウィキペディア英文のGeopolitikの翻訳を行う。http://en.wikipedia.org/wiki/Geopolitik
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