2010年01月21日

日本の沖縄との取引の再交渉

昨日は暖かい日だった。午後は三井不動産に講演に行った。中国と中国人についての講演で,皆さん熱心に聞いていただいた。今日は大連のマネージャーに対する研修がある。今週からこのブログは日本の外交政策を翻訳しているが,今まで,関心を持って来ていなかった領域なので,翻訳していて,背景を知らないので,勉強している。こうして、毎日民主党の活動を見て行くと,彼等の苦労が手にとるように見えてくる。

それでは今日は普天間の記事を翻訳しよう。この普天間は対米政策と言うよりかは国内事情に振り回され,優柔不断な国家政策の典型のような感じがする。優柔不断が悪いと言う訳ではなくて,そうせざるを得ないところもある。ただ、鳩山総理が外交政策を大上段に変えると言ってしまったところに、問題があるのも事実だ。

確かに野党の時代に,散々自民党を批判して来た手前,つい言ってしまったみたいなところもがあるのかもしれない。この普天間基地に対するアメリカとの協定は社民党と沖縄県民が反対しているが,今までのアメリカとの合意を反古には出来ない。その板挟みの中で,右往左往している。ではそこら辺の経緯から,この論文を見て行こう。


「Gates(
ロバート・ゲーツ国防長官)は日本の沖縄との取引の再交渉は認めない。」
Author: Tobias Harris http://www.eastasiaforum.org/2009/10/24/

民主党は普天間を押し進めてきた。
ロバート・ゲーツ国防長官こと、オバマ政権はそれを押し戻してきた。

US Defense Secretary Robert Gates (R) answers a question during a joint press conference with Japanese Defense Minister Toshimi Kitazawa (L) at the defense ministry in Tokyo on October 21. (photo: Getty Images)

アジア歴訪中に日本を訪問したGatesはアメリカ政府は日本における米軍の配置転換に関する二国間協定を再交渉することに関心はもっていないと言う
明確なメッセージを鳩山政権に渡した。防衛大臣北澤俊美とともに合同のプレスコンファレンスで彼が言ったのは:

「我々の考え方ははっきりしている。普天間の移転施設は配置転換のロードマップのかなめだ。普天間の配置転換、普天間の移転施設なしに、(海兵隊の)グア ムへの移転はない。そして、グアムへの移転なしに米軍の整理統合と沖縄の土地の返還はない。これは誰にたいしても完璧な代替案はないかもしれない。しか し,これが誰に対してもベストな代替案だ。そして、先へ進む時だ。我々は極めて詳細にすべての代替案の調査をして来た。そして、グアムへの全面移転は政治的に受け入れ難いし,また、運営上も稼働し難いと確信する。」

私は上記段落の文章を強調したい。と言うのはこの時点で、おそらく、アメリカの立場を最も正直に述べていると思うからだ。アメリカ政府は手元にもう十分な問題を抱えているので、完了した取引として思われていることに再交渉をする関心は殆どない。双方の外務大臣がサインしているし、そしてすべてが終わってい るし、ハードワークを何年もしてきた。私はアメリカの立場を理解することができる。普天間は長い間、不和の源泉であったので、アメリカ政府はこの問題を今、政治課題から外そうとしている。

しかし、アメリカ政府が(今までお互いに決めたことを日本が実行しないので,)イライラしていると言うただその理由だけで、新政府と沖縄の県民のこの関心事を横に放り出しておくことができない。アメリカ政府にとって都合がいいのは自民党と協定にサインをしたが、その結果を受けて、民主党がこの協定をただ単に承認し、先に進むべきであり、あたかも自民党から民主党への移行が所定の事柄であるかのようにして もらいたいのである。

さらに付け加えると、混乱しているのはアメリカの役人は民主党が政権を取り、すべてを変えようとしている事を予想しているが、同盟関係については別で、結局のところ、 1955年体制の肝要な部分であったということだ。アメリカは同盟関係をそのように見ていないのかも知れない。しかしながら、アメリカが何年もの間、自民党の体制を支えて来た柱ではないと言う振りをしたり、日米同盟関係が他所の同盟関係と同じだと言う振りをすると言う事は歴史に対して、故意に、無神経と言えよう。

Gates並びにObama政権は歴史のページをめくろうとすればする程、彼らの日本の相方がこの半世紀で、自民党以外の党で、議会の過半数をとった最初の政府であり、アメリカと自民党との「異常な」同盟関係の帰結としてこれを見る事は到底認める事はできない。

鳩山政権は既に普天間に対する姿勢をかなり、軟化して来ていて、普天間の代替施設が沖縄の外であるべきだと言う
主張を撤回している。鳩山政権は絶望的な立場にいるのか?Gatesが東京に持ってきたメッセージは全く誠実であったのかもしれないが、彼は不利な取引の立場にもいない。

新政権に圧力をかけて、その問題を引き下げさせようとするのであれば、たぶん、このように多少の譲歩をして、アメリカは何ら努力をせずに、この方法をとって来ただろう。しかし、政府が容易に
先の主張を撤回することを私は疑っていて、なんらの補償もないなんて考えられない。

この問題に対する国内の意見はこの
先の主張の撤回に賛成していない。その連立パートナーである社民党は特に普天間を沖縄の外に持って行きたがっていて、民主党は現在の協定に反対して、大いに結束している。そして、沖縄県民とその代表者たちは現在の協定に不満がある。

次月のObama大統領の訪問に先立って普天間を議題のトップに持って行って、
先の主張を撤回し ようとしたら、鳩山政権の支持率は多分下がってしまうだろう。そして、政府の利害を飛び越えて、こうした圧力によって、首相ならびに大臣は実際には現在の協定の内容に反対して、それを変更しようとしていて、そうするために政治資本を消耗しようとしている。(そして、民主党主導の政府はアメリカ政府に立ち向 かうことができることを示すためにも。)

鳩山政権が先の主張を撤回しないのであれば、Obama政権に対してどのようなオプションが可能 であるのか、普天間を今まで以上に大きな問題にしたくない。この政権が普天間について、単に話し合いを拒否し、鳩山政権との協定の失敗を責めるのであれ ば、他の問題でこの新しい政権と建設的な関係をどのように期待することができるのか。

オバマ政権は一方的に普天間の放棄を考え、海兵隊が撤退 し、きれいに後片付けをして日本政府から離れるのか?この状況はこれらのどのシナリオからも出てくることは疑わしい。アメリカはこの問題を悪化させることによって得るものは殆どない。そして、皮肉なことに、Gatesの「前に進め」と言う願望にもかからず、鳩山政権の徹底的に再交渉しようと言う願望を拒否 することは沖縄に於いて、普天間と米軍に関して何をするべきかと言う疑問を飛び越しては、同盟国が前に進むことができないことを補償する最も確かな方法か もしれない。(要するに,
鳩山政権の徹底的に再交渉しようと言う願望を拒否することが問題の解決には繋がらないと言っている。

アメリカは鳩山政権が民主党の早い時期の声明と比較して、重要な普天間に対して比較的に柔軟性のあることを実際に示して来たことを認識するべきである。Obama政権が認識しなければならないのは必死に解決を見つけようとしている鳩山政権に対してノーと言うことはーGates の前に進めと言う願望を分かち合うことではあるが、ーアメリカと日本が他のより重要な問題に目を向けることをより難しくしてしまう。両国のために、 Gatesの立場はObama政権の最終的な立場ではないと期待したい。

そして、鳩山政権はどうか?外務大臣岡田克也はObama大統領の訪日までにまだ一ヶ月ある。日本政府が再交渉しようとしている考えに基づいた改訂を撤回しようとしていることに対して,アメリカにどのような譲歩を必要 とするかの考えを最低限提示するべきであろう。しかしながら、これは難しいことだ。

しかしながら,現在、関係がぴりぴりしているように見えるが,この同盟関係に於いて危機ではない。むしろ、民主党が単にしようと言ったことをすれば良いのであって,アメリカに正直に話すべきだ。結局はアメリ カと日本の高級官僚同士での会議を公開討論的に持って行くことになるのか?報道によれば,小沢一郎がアメリカの大使John Rossとの会議で言ったように「民主党がアメリカに直接言うべきであると思っているのであれば、どんな問題でもありのままに言えば良い。」


ここでこの論文は終わりだ。東アジア共同体にしろ,「平等な」アメリカとの同盟関係にしろ,無理があるのは事実だ。十分な準備をしていないか,そのために実行部隊のブレーンがいないのか、概念だけが先走りしていて,後が続かない。この普天間も同様で,
「平等な」アメリカとの同盟関係の延長線で,この話がでて来たようだが,相手があるし、その過去の経緯もある。簡単には反古に出来ない。反対すれば反対派が騒ぎだしていると言う感じだ。

ここでの彼の議論は日本とアメリカとのかしこまった交渉と言う捉え方ではなく,もっとアメリカとの距離を意識しないような話し合いをするべきだと言っている。この件は昨日の対中国との話と一緒で,誰にどうのような話しからをしたら良いのか日本政府がわからないのかもしれない。日本の国内の事情をそのままス トレートにGatesにぶつけている。当然,彼はアメリカ政府の代弁者として,誠意を持って答えてしまう。

そこに,問題がありそうだ。鳩山総理が,5月まで待ってくれと言う真意はアメリカとの事務折衝の相手をきちんと探して,彼が言っているように,日本とアメリカと言うような線引きではなく,ざっくばらんに相談できる環境を模索しているのであれば,正解かもしれない。果たしてそう思い通りに行くのだろうか。

それではこの続きはObama大統領の訪日に関するニューヨークタイムズ紙の論文から見て行こう。このように日本の外交政策を見て来てわずかに3日だが,日本の世界に於ける位置づけとなると,果てしない距離があるのかもしれない。企業と同じで,日本は本当に孤立しているのかもしれない。どこまで追求できるかわからないが,しばらくは政府のGlobalizationのレベルを見て行こう。決して楽観は出来ないようだ。では明日。


Japan Cools to America as It Prepares for Obama Visit
Published: November 11, 2009
http://www.nytimes.com/2009/11/12/world/asia/12prexy.html?_r=1&partner=rss&emc=rss











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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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