2010年01月31日

日米同盟かみ合わぬ期待の対応

最近、AppleがiPadを発表したので,その話で,持ち切りだが,昨年来から,Googleを特集していて,これからは情報端末だと言って来たが,Appleが先行することになった。そのうちにアンドロイドのGoogleが同じような情報端末を出すだろう。日本の他社はそれに追随し、悲しいことに,Windowsでしか対応がとれない。

そうした中にあって,Bill Gatesの100億ドルの医療機関への寄付はどういったところからその自信があるのだろうか。Microsoftは衰退すると言ったが,彼にはそうしたところがない。彼のすごみが感じられる。何かきっと勝算があるのだろう。今まで絶対に大丈夫だと言われていた企業が倒産している。この世界も例外ではない。Windowsが廃れても,Micorosftは考えるところがあるのかもしれない。

私は先週,iPadに比較にはならないが,AmazonのKindleを購入した。結構な値段であったが,早速、Financial Timesを購読し,When China Rules the World を購入した。新聞も本もダウンロードは1分だと言うことだったが,その通りで,早かった。このKindleは本を読むためだけの端末で,Appleのような子供がほしがるものではない。

面白いことに,画面が光を当てないとよく見えない。パソコンとは構造が違うようだ。太陽の下ではよく見える。充電したら,24時間持つと書いてったが,そのとおりだ。操作機能は極めて旧式で,Appleにも及ばなし,日本語機能はついていないし,当然、辞書も英英しかない。しかし,何か,Googleとか、Appleとか、Microsoftとは違うローテクの古き良きアメリカのようなものを感じる。

何でもかんでも最先端と言うのが本当に良いのだろうかと言う,疑問をこのKindleを購入して感じた。インターネットに繋がっていて,この接続料はどうなっているんだろうかと言う疑問を感じているが,本にしろ、雑誌にしろ瞬時に購入でき,3,500冊も格納できる。私の部屋の蔵書より多い。30万冊あると言われているが,すべての本がある訳ではなく,WolfのWhy Globalization Worksはなかった。

セミナー資料もPDFにすれば格納できるので、便利だ。仕事とか本を読むとかには十分だ。こうした画面の技術で,映画を見ることは無理だろうし,メールを見たいと言う感覚にはならない。カットアンドペースト的な機能が全くなく,画面上での操作が出来ないところが,ローテクで,何とも言えない。さて本題に入ろう。

先週一週間は日本の外交問題を取り上げて,毎日、論文を翻訳して来たが,私自身,政治には全くの素人ではあるが,日本人のGlobalizationをどうするかの一環として取り上げてみた。取り上げてみると,日本のテレビ、報道がガラパゴスであることがますますわかって来た。国防長官のGatesが怒れば,アメリカが激怒しているかのような報道ばかりだし,毎日「政治とかね」ばかりだ。普天間基地に至っては,沖縄県民とか名護市のニュースしかでて来ない。「基地はもうこさせない。」と言った類いだ。ローカル番組とか,特定の政党の記事であれば,それでも良いが,ここでは「日米同盟」と言う言葉すらでて来ない。やっぱり変だ。

何のための基地なのか。沖縄県民のための基地でしかないようだ。「国防」と言う概念がこれら報道にはない。国民が軍事に関心がないようだが,普天間基地は軍事問題だ。一体この国はどうなっているのだろうか。民主党はこうした報道にじっと耐えているのだろうか。今までは「惰性」の基地であり,日米同盟であり,締結から50年が経ってしまった。その間,アジアは変わった。日本はガラパゴスのまま変わらなかった。民主党がそれを変えるだろう。自民党が悲しいのはこうした本質的な議論が出来る人がいないと言うことだ。

もう少しこの外交政策を突っ込もうと言うのはこうした背景からだ。日本人がせめて、ペンで,白人に勝つためにはここの背景と今後の施策をしっかりと考えておかなければならない。昔,コンサルティングをしている時に,よくお客さんから何か目のさめる施策がないか、ないかと要求されてコンサルタントとして困ったことがあるが,世の中にはそんなものはない。改革に当たって,何か飛び抜けてすばらしいものがある訳ではない。

目先でものを見るのではなく,局所でものを見るのではなく,キチンと国の将来と,アジアの動静とアメリカとの同盟関係の目的を見て行けば,自ずと普天間の解答はでてくるはずだ。それが報道にはない。政府はきちんと見ているのだろう。かれらはそのために国民から選ばれらのだから。このブログもそうした視点から,今日,まとまった論文を扱い、こうした課題をしっかり,勉強して行こうと思う。

悲しいかな,こうした論文の邦訳がないと言うこと自体が,不思議でしょうがない。昨年11月に発行されているにもかかわらずである。昨日も紹介したように,極めて少数の日本人を除いて,こうした議論がないのも不思議である。今日は日曜日なので,ゆとりがあるので,前置きが長くなってしまった。

これから扱う論文は結構重たいが、昨日紹介した日経に書いてある内容はほんの一部なので,この大論文を翻訳しよう。今までの論文の20倍はあるので,しばらくかかりそうだが,抄訳してみよう。まずはまとめから行こう。


「日米同盟、かみ合わぬ期待への対応」要約 マイケル・フィネガン 2009年11月

総括

この報告書は3つの関連した質問に答えるために日米同盟関係を分析している。この同盟はパートナーの相互の期待にあっているのか?そうでないなら、何が潜在的な帰結か?利害関係が関与しているとすれば,この同盟にとって,政策的な意味合いとは何か?

要旨

この同盟関係は重要なやり方に於いて,日米双方の期待にあっていない。アメリカにとっては,この地域で軍事行動的に適切であるかだけでなく、日本の防衛の核となるミッションに於いて軍事行動それ自体に於いてもこの同盟関係を継続して維持できないと言うことが主な失敗の理由である。日本にとっては主な増大する懸念事項とは拡張した戦争抑止政策を含めた,日本の防衛に対するアメリカのコミットメントがそれに見合っているのか維持できているのかである。

基地については双方のパートナーが現在の道筋では、中核となる期待にあっていないし,これからもあわないと感じている正当な理由を持っている。このようにして,強化しようと言う共同声明を出しているにもかかわらず,この同盟関係は実際には全くもろいと言える。まさしく、双方の同盟国が以前にも増して、多分,この同盟関係に依存しようとしている時にである。

この危険な状態に中で,同盟関係が主要な期待に噛み合ないので、重大な,取引を壊してしまうような信頼の断絶が起ってしまいそうだ。その信頼があれば,現在の情勢を乗り越えて一方もしくは双方のパートナーが代替案を考えることが出来る。

予想される政策

ー同盟関係の「現状」を維持するための同盟関係の指導者の取り組みは両国を危険な状態にしている。同盟国は同盟関係の基礎を作るために,より持続可能な一連の期待を作り上げなければならない。

ー現在の政策立案者の取り組みはこの同盟関係を強化したり、深めたり,拡張したいるすることが不十分であり、また、重要なやり方の中では,日本の防衛と言うこの同盟関係の中心的な期待に沿うことから同盟国をそらして来ている。

ー指導者は両国が現在の同盟関係のための幾つかの代替案を持つこと認識し,それが重大な否定的な側面を持っていたとしても政策策定で,考慮されなければならない。

ー政策立案の指導者は日本の防衛に於ける新しい「包括協議」grand bargain の実行を考えなければならない。そこではこの同盟関係の主要な焦点は日本の防衛に立ち戻り,日本がこの領域で第一であると決め,新たにはっきりさせたアメリカの支援の誓約はこれの見合ったものでなければならない。

以上が総括だが,日本政府の見解はこうした背景があるのだと思う。この論文のことを書いたものは多々あるが,こうしたことをそのまま書いてあるものはない。そのため、この報告書を詳述し,日本の外交政策を更に突っ込んでみようと思う。この要約でもお分かりのように,日本の政府の対応を非難しているのではない。基地問題も含めて,建設的にどうしようかと対応しようとしているである。日本の為政者もこの論文をしっかり読むべきだろう。

こうした論文には日本人への謝辞がある。日本国際問題研究所(JIIA)理事長 野上義二氏、朝日新聞元編集委員の船橋洋一氏の両名がこの論文に貢献しているようだ。さて、今日から,何が問題で,何が問題でないのか。誰が正しくて,誰が正しくないのか。じっくり考えよう。批判するばかりではなく、そろそろ日本の将来をもっと建設的に考えよう。明日からこの論文の本文に入る。以上で今日は終わり。



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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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