2010年02月22日

日米同盟かみ合わぬ期待23

今朝は月曜日だが,まだこのフィネガンの報告書は終了しない。あと3日で終了だ。一ヶ月近くかかってしまったが,一経営者として,海外に於ける日本のグローバリゼーションに重大に関わる,外交政策の無策を見るに見かけて,こう書いて来た。今はトヨタが気の毒だが,彼等にとどまらない。卑怯な日本が叩かれるのは必然だ。昨日はそこら辺の意見を散々書いたが,まだ足りないので,今朝もその続きを書くことにしたい。あきれてものが言えないのが心境だが,そうも言ってはいられない。

フィネガンは我々に同情してくれているが,彼のように日本にまで来て,何日も話をしていればそうなるかもしれないが,世界の人はそう言う日本の政治事情は知らない。ましてや,アメリカ人の大半はパスポートすら持っていない。日本がどういう国であるか以前に、どこにあるのかも知らない人が多い。ただ、日本がアメリカに守ってもらって経済大国になった卑怯な国だと言うことと自動車王国アメリカを侵略したと言うことだけはよく知っている。

こうしたアメリカに保護されて,日本だけが経済だけに集中してきた。防衛はアメリカがしてくれていたことも知っている。だから彼等が日本人はフェアな人でないと言うことも知っている。残念なことに日本の国民はそのことを知らない。今までの政治家が国民にそう言うことを話して来なかったからだ。報道も同様だ。

政治の責任でもある。国民が知るべきだと言っても日本人は日本語しか読めないから,ニューヨークタイムズの先日の記事をしらない。報道テレビも悪い。世界の情報をフェアに教えていない。このフィネガンのレポートもきちんと正しく説明していない。ただ、ただ、アメリカが基地問題で怒っているぐらいにしか言わ ないから,日本人はそうかなあと言うぐらいにしか思わない。

テレビの論壇にでてくる著名な先生方はコメンテーターの誘導にしか答えることが出来ないから,議論が誘導されてしまう。だから、雑誌も論壇も問題を煽るだけで終わってしまい,コメンテーターが結論とか仮説を持っていないから,国民はアメリカが文句を言って来ているぐらいにしか認識をしない。本当は全然ちがう。アメリカとかNATOの考えを知っている日本人もここで紹介したように,幾人かはいるが,日本の国民に影響を与えられる数ではない。マ イノリティが幾ら私のように叫んでも国民の耳の届かないのが隔靴掻痒だ。

今日は彼の結論を翻訳する日だ。日本の防衛に特化するべきだと言う彼の意見は彼が日本の外務省と防衛省の意見に影響されすぎている。今の政治では国民を説得できないと言う麻生政権時代の過去のしがらみと保守派の考えに左右されてしまっている。このことだけを言えば,今は違う。鳩山政権がこのことを国民に訴えれば,国民は理解する。今アク ションを行わなければ,日本は世界から疎外されてしまう。

それは政治だけではない。私が言っているのはG2とかG20の話ではない。経済の話だ。トヨタが世界から締め出されてしまったら,すぐに,他の企業も対象になってしまうと言うことだ。そうなってしまうと1993年以来沈滞したままの日本の経済はどこまで没落していくのか計り知れない。日本にはまだ技術があ ると思う人が大半だが、それは間違いだ。もうそう言った先端の技術は日本にはあまりない。だからそれが日本を引っ張って行く原動力にはならない。

ちょっと横道にそれるが,いま、日本の技術はTQCのおかげで,硬直していて,コストが削減できない。世界の技術を流用して安く作れない。だから中国でも売れない。ことしは中国の車の市場は1,600万台とも言われているが,トヨタは100万台も売れない。信じられないが,エンジンのコストが2倍もするからだ。中国人は40万キロ走らなくても良いと言っている。中国製の10万キロのエンジンで良いと言っている。

しかしながら,日本のトヨタはこの半値のエンジンが出来ない。そうした状況にあって,今の政治がある。だから危機だと言っている。さらに、50年もつもりにつもっているが,日米の軍隊が会話が出来ない。そもそも防衛が出来ない状態にあるのも危機だが,日本の国民は知らない。世界から疎外されていることも事 実だ。そう言うことも国民は知らされていない。報道統制をしている訳ではないのに,日本の報道は統制をしているがごとくに報道している。そう言う目で,この論文の結論を今日は読んでほしい。特に結論は文章が軽くないので,じっくり何度も読んでほしい。



日本が地域の安全保障条項に於ける支えとなるパートナーとしてみられる一方で、アメリカ合衆国は日本に対する「グローバルな同盟関係」という美辞麗句とその要求をトーンダウンし、日本は自分自身の安全保障の第一番目の提供者としてその役割を強化することになるだろう。 

この期待のレベル合わせもしくは調整はこの同盟関係の長期的な持続可能性に対する積極的な効果があるし、この同盟関係の政治的な取引において緊張の幾つかの 源泉を取り除くことになるだろう。日本が「対等のパートナー」として見られるだけでなく、パートナーシップの核心のミッションの点でシニアパート ナーとしてみられるであろう。

国内の政治的な見地ではこの同盟関係はより広い範囲で支えてもらえるようになるだろう。一方で、アメリカ合衆国は日本に日本を飛び越えたより大きな貢献を強いる必要はもうなくなるであろうし、自衛隊はより焦点を当てた役割を近い将来に適応させることが出来る。

この他にはこの同盟関係の新たな軍事活動の活発さが確実に日本の安全保障の為に安定した基礎を提供するであろう。自衛隊はこのほぼ唯一の焦点が与えられ、極めて急速に能力を拡大し、やがて、独立の防衛が出来るかほぼそれに近くなるであろう。

そのような活発さはワシントンに対して,地域並びにグローバルでのアメリカ軍のコミットメントの再均衡をさせることになるだろう。新しい軍事作戦のメカニズムは、以前はやむをえず、アメリカ軍が対応すると想定されていたが,なお一層,その責任を日本の肩にシフトさせることになるだろう。

最も批判的にに言えば、期待を調整し、明確にすることはかみ合わぬ期待の可能性を制限してしまうだろう。このプロジェクトで詳述しているが、このようなかみ合わぬもしくはミスマッチの期待のリスクは危機においてさらけ出され、この同盟関係の次の危機である信頼関係を損なうことになり、現時点では決して受け入れがたいものであり、もしくはそのような事態を考慮しなければならない。

期待の調整はここでの概略した明確な包括契約を通じた防衛関係の作り直しであるが、このリスクを除去し、将来の日米の同盟関係を構築する新しい、より安全な基礎となる。

結論

2者のパートナーが潜在的な失敗のレンズを通してこの同盟関係を見ていないが、一人の関係者は確実に見ている。それは中国の国家安全保障の支配層だ。著名な中国の安全保障の学者が言及しているが、「日米の関係は構造的に強いが、機能的に弱い。」別の言い方をすれば、「日々の活動では」強く見えるが、いざと 言うときには機能しないだろう。

中国は日米安全保障同盟関係に於けるこの問題を完全に気づいていて、この同盟関係の有効性と妥当性を徹底的に追いやってしまおうとしている。日本人の何人かは中国の隆盛が避けがたいものであると認めて来たと言う認識とが合わさって、実際には、日本が同盟関係の統合の拡大要求に行き詰まり、この行き詰まりが自らの存在を薄めて行きつつあり、この同盟関係に於いて不利益な影響が出て来ている。しかしながら、明らかに、北京がこの同盟関係の活動を好意的に見ていないのではあるが、この同盟関係の突然の終結は北京の利益にもそぐわない。

議論の余地はあるが、北京はアメリカ合衆国が日本の安全保障を保証していることをワシントンが東京に約束していることに中国が利益を得ていると評価しているようだ。これが失敗すると、東京は脅威となる近隣諸国に対して、国家の安全保障を確保する唯一の方法として核の抑止を開発することを意思決定するかもし れない。さらに、韓国や台湾のような国家に防衛策として核の選択肢を考えさせるようになるかもしれない。

それゆえ、この弱い同盟関係が中国にとって、ちょうど都合の良いときに、機能していないので、中国の広域の安全保障の利益に貢献していると断定出来るかもしれない。

アメリカと日本の指導者たちはこの同盟関係を維持しようと正しい意図を持ってはいるのだが、残念ながら、防衛関係を現在の構成に於いて、わずかの調整で、 もしくは調整なしで、継続することができる、そしてするべきであると単純に考えている。政策策定者は確かに、オーバーホールが必要なときに於いても、更なる投資をする価値がないと思っているときにも、この同盟関係は本当は危険なまでにもろいと言う考えを決して持ってはいない。

仮に、政策策定者はこの構造的に弱い同盟関係の中に固有な危険を認識したときには、彼らはこの問題を巧みにごまかそうとし、この状況がデリケートで、解決出来ないと判断して、このトランプで組み立てた家がもろく壊れてしまわないようにするために、この構造的に弱いと言う同盟関係の状態を認めようとしない。この状態なので、両サイドの上級の政治家たちがこの現在のパートナーシップに忠誠を誓い、一方で、この同盟関係が危機のときに信用しなければならないようなときに、仕事をする上で必要な厳しい意思決定を全くしようとしていない。

この冷たい評価は過去、両国に輝かしい貢献をして来たこの同盟関係を非難してはいない。むしろ、緊急の問題はこの両サイドがこの同盟関係に適切な評価をしようとしているのであれば、政策策定者と同盟関係のマネージャーたちが理解しなければならないのはこの同盟関係がなんであるのか、現在、なんでないのか、 そして何が出来るのか、明日は何が出来ないのかを単に認識することである。

同盟関係の半世紀とこの安全保障パートナーシップを強化するために協力して努力した10年の後に、重大な弱点が存在している。それゆえ、この2つの政府が両国の利益に貢献するためにこの同盟関係の将来の有効性を表明する時が来ている。まさに、日本の安全保障の新しい契約の時であるのかもしれない。



やっと結論になったが,ため息がでるほどに,この英文が長くて,理解するのが大変だ。日本語を読んでも理解しにくい。日本に特化した防衛を彼が提案しているのは日米間で、共同に仕事ができるような体制を行いたいと言うことだ。今はそうなっていない。日米が基地のような物理的なことで,議論してるが,本質はそこにはない。ソフト面の投資と認識が全く欠如していて,今はガラスの組織だと言うことが双方気がついていない。

日本人もともとソフトはただだと言う認識がある。実はその部分が一番金がかかる。自衛隊は戦前からその部分は精神的に乗り越えれば良いと言う考えだ。だから日露戦争では一個連隊がロシア兵から機関銃で背後から撃たれて全滅した。それもスパイしていれば,彼等の塹壕を見破れたかもしれない。日本軍は昔から情報を大事にしない。気力で勝負みたいなところがある。

いっぽうで、せっかくの鳩山政権だが,彼が昨年11月のAPECでの首脳会合での演説(http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/200911/15singapore.html)でもわかるように,
鳩山さん自身には実戦の経験がないから、ビジョンの中身が明確ではない。夢なのか,現実に出来るのか,その導火線と言うか友綱がみえない。またそれを実行出来る部隊が見えない。だから、彼の演説が空回りしている。本人は実戦経験がないから、それで良いと思っているんだろうが,それでは戦争には勝てない。

そうしたところは国民はしたたかに見ているから,ことしの参院選は下手をすると勝てないかもしれない。そうなると,日本のグローバリゼーションもお手上げになってしまう。私がこのフィネガンのレポートを取り上げたのは柳井レポートと同様で,葬り去っては行けない課題だからだ。国民が知るべき内容だからだ。日本が言っている集団自衛権が間違っていて,世界が言っているアフガニスタンへの参戦が正しいからだ。私は正義かどうかを言っているのではない。正しいか正しくないかを言っているのだ。アフガニスタンに派兵しなければ,世界の仲間に入れないからだ。単純なことだ。

明日からは、この論文の調査の背景となった,ワークショップの内容にいつて日米それぞれ翻訳するので,あと3日間かかる。そのあとはこの外交問題を離れて,本業の日本企業のグローバリゼーションのテーマに戻りたい。私は政治は全く疎いが,この一ヶ月で,日米同盟に関してはアメリカの考えがよくわかった。報道機関のコメンテーターも腰を落ち着けて,こうしたことを勉強してほしい。アメリカ合衆国のキーパーソンが何に,問題だと思っているのか、基地の背後にある課題は何なのかをしっかり考えないと,「政治とかね」「普天間基地」と言うタイトルばかりの番組になってしまい、猿回しとあまり変わらない。

長崎知事,町田市長選もあながち、小沢さんの問題ではなく,ここら辺の問題が本当の理由かもしれない。鳩山さんを優柔不断と言う人がいるが,そうではない。実行すると言うことを知らないだけだと思う。それを誰から,サポートしてあげなければ,この政権は国民が支持しない。「You believe me」と言うのは彼の本心だが,彼の言っていることは出来ない。それが問題だ。では今日はこれで終わり。



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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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