2010年02月25日

日米同盟かみ合わぬ期待26

今日でいよいよ、フィネガンの論文は最終日を向かえた。26日間にも及ぶ、長い議論だった。その間,トヨタの問題は白熱し,公聴会まであった。昨日はアメリカのでワークショップで,アメリカ人からの「ワシントンが地域のそしてグローバルの安全保障への貢献と同様に日本の自らの防衛のために提供する領域に於いて、東京に何を期待しているのかを調査すること」であった。

今日はそれを受けて,日本人がどう反応し,この論文の結論にどうのように影響したかが書かれている。フィネガンはこの日本の意見を尊重して,まとめたが, もっと日本に反論すべきだったように思う。この論文に一環して足りなかったのは世界の意見だ。世界の日本を見る目だ。この同盟関係に対して,どう見ているかだ。彼は日米しか見なかった。世界はもっと冷ややかだ。

さらに、アフガニスタンのような現在の問題を追及しなかった。グローバル安全保障もしくは集団安全保障と言う表現の領域に踏み込まなかった。柳井レポートにあるようなPKOについても言及しなかった。だから、今回日本が50億ドルをアフガ ニスタンのために提供し警察官の教育をすると言うが,警察官の中にもタリバンがいると言う可能性も十分にある。はたして、今の提案のままでうまく行くのだろうか。

そうはいってもこのフィネガンのレポートは大作だ。改めて全作を読み直す意にはならないだろうが,今日は最終日なので,精読してほしい。私も今日は久しぶりに3時半に起きた。では始めよう。



追補D 日本ワークショップ総括

かみ合わぬ期待への対応 アメリカと日本の安全保障の同盟関係
東京のワークショップ

日時;2009年6月5日
場所:JIIA -日本国際問題研究所  東京
発表者: Michael Finnegan, principal investigator
James Przystup, senior research fellow、国立防衛大学国家戦略研究機関
        Richard Lawless, senior project advisor
      James Auer、公共政策研究バンダービルド機関 日米研究協力センター理事
参加者:25+ 現役と元上級日本とアメリカ軍将校、外交官、政策策定者、学者

総括:
アジア太平洋地域に関する研究機関 NBR (The National Bureau of Asian Research)は日本国際問題研究所とともに、東京で、ワークショップを開催し、日米安全保障の同盟関係の日本人の考え方を検討し、特にこのワークショップではこの同盟関係の一方もしくは双方のパートナーがもう一方と異なった期待を持っているかも知れないと言う領域の認識とこの同盟関係の将来にとってこのミスマッチの期待の内容について議論した。

このワークショップはNBRが範囲の広い先導的な活動の一部としてWarrenton, Virginiaで2008年11月に2日間のワークショップとしてアメリカの同盟関係のマネージャーと専門家を集めて行ったものと同様の協力で行った。 この活動のコアグループからの6人のアメリカの参加者と大体20名の日本人の同盟関係の上級マネージャー、政策策定者、学者、オブザーバーがこのワークショップに参加した。日本の参加者は現役の自衛隊の将校、外務省、防衛省からの代表者、著名な学者そして民営企業からのオブザーバーであった。

このワークショップの議論は極めて率直に行われ、良い討論の場を提供することができ、両サイドがお互いに話をするばかりでなく、日本の参加者たちは彼ら自身で、この同盟関係の彼ら自身の異なった期待について議論することができた。総論では日本とアメリカの参加者との合意では両サイドがこの関係の中で、当面の進展に必要となる優先順位をつけた活動を彼らのパートナーに明確に発表することであった。

アメリカ合衆国がイラクやアフガニスタンへのコミットメントに焦点を当て続け、中国との関係を処理し、現在のグローバルな経済の下降を操縦しているように、日本側ではこの作業はたぶん、より以上に緊急のものである。日本が抱えている重要な物がなんであるのかを知ることはアメリカの同盟関係のマネージャーたちをより敏感にそして、より効率的な、そして効果的な協力を促進させることができる。この一般的な観察に加えて、このワークショップから出て来た特定のテーマは以下の通りである。

ーこの同盟関係の「中核」対「より広範囲な」期待 参加者の間で、幅広い同意があったのは日米安全保障条約の第5章、第6章に定義されていることにたして、この同盟関係の中核となる期待の輪郭を明確にする必要があるということとさらに広範囲なグローバルの期待として、この同盟関係の中で、徐々に紹介されて来ては いるが、特にニューヨークの9.11の攻撃以降で、全員ではないが多くの日本人の参加者は日米安全保障条約の第5章と第6章に概説されているような中核となる期待に第一の関心を持っていた。

それにもかかわらず、数人の日本人の関係者たちはアメリカの政治的な、そして安全保障の目的に対してのより広範囲なグローバルな焦点が日本の防衛にとってのキーであり、それゆえ、安全保障条約の命令書の範囲内であると主張した。日本における継続した政治的な不安定と官僚主義のハードルがあるので、近い将来、この問題に関してのコンセンサスを得ることはできそうもない。

この日米安全保障条約の第5章と第6章に関しては外務省が詳細に解説しているので,参照してほしい。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku_k.html また、ここで言っている「
より広範囲なグローバルな焦点」は集団自衛権のこと。幾人かはこの場で,私の意見と同じように,集団自衛権を主張している。私注

ー 拡張抑止 日本の参加者からでて来た明確なメッセージであるが,言葉上での支援に関わりなく,アメリカの拡張抑止へのコミットメントにおける実行能力に対しての信頼が弱まって来ている。この信頼が損なわれて来ていることは2つの異なった懸念から生じている。その一つは現在のアメリカ政府が戦略兵器の削減の可能性に関しての最近の発言から来ている。もう一つは日本人の参加者の意見によると,信頼が弱まっているのは一般的にはアメリカの北朝鮮に対する非核化へのアプローチであり,拉致問題の扱いと北朝鮮をテロリストの指定国家から除外したことにより、アメリカ合衆国への信頼がだんだん欠如して来たことから来て い る。それにもかかわらず,何人かの参加者はいくつかの核兵器開発の要求があるのにもかかわらず,日本はこの同盟関係の枠組みの外で,実行可能な抑止の選択肢を持っていないと言っている。

ー集団自衛権 日本憲法の第9条の解釈は現在,集団自衛権と集団安全保障軍事行動を禁止すると理解されているが,この同盟関係の双方を失望させて来ている。 日本の立法者が特別法案を通すことによって,ゆっくりと,この禁止を取り除こうとして来ているようではあるが,これらの法案は危機に際しては、あまりに範囲が限定されていて,制定に当たってはあまりに時間がかかりすぎるだろう。

幾人かの日本人の参加者は集団自衛権は危機に際して作動するが,確立した手続きとか実践がないので、疑問が残ると言っている。面白いことに,将来の首相が集団自衛権を正当化する新たな内閣の声明をだしたらどうなる かと言う質問に対して,そのような声明にたいして、政策の上で多くの影響があるのかについて日本の参加者の意見が分かれた。ある参加者は如何なる新たな政策を実施するにしても新たな法律の制定が必要となると言い、その一方で,内閣の政策に於ける変更によって,すべての新たな軍事行動に対する新しい法律の必要性はないと主張した。

もっと不明瞭なことは柳井報告書の作成が安倍晋三総理の時に委任され、その内容の勧告が麻生総理の時に提供され,2009年の8月か9月に予定されている選挙まで棚上げされ,将来の総理へとその報告書の勧告が放置されてしまったことである。

柳井報告書に関しては以下を参照して読んでほしい。2月18日のブログでこれについては言及している。この内容はかなり画期的なものだが,実質的に,お蔵入りされてしまった。脆弱な内閣であったせいかもしれない。 law-web.cc.sophia.ac.jp/.../contents/5204/5204yanai/5204yanai.pdf

ー 中国の隆盛 アメリカ合衆国と日本双方の明確な戦略課題として、出現して来た中国の隆盛をどう扱うかについてはこの中国に関しての優先度を双方が明確にコ ミュニケーションすることが責務であると参加者は合意した。この参加者の一般的の意見として、中国の隆盛を扱うにあたって,この同盟関係の中で取り扱うべき当面のステップがあり,この日本の防衛を目的とした同盟関係にとって全く当然であるが、大きな政治的なリスクはない。

たとえば、パートナーがリアルタイムで,諜報の情報収集と共有のように、ある領域に於いて彼等の関係を高めることが出来るのであれば,中国が現在この関係で気付いてる如何なるギャップを埋めるまでにはこのようなステップは相当長い時間を必要とするだろう。



以上のでこの論文は完訳した。皆さんはこの論文を読んで,どう感じただろうか。私は一連のアメリカ人の考えと意見を理解することが出来た。本当は日本人のこうした論文を同様に数多く読めば,方法の期待がもっと浮き彫りになるのだろうが,読んでいない。アメリカの考えはよくわかった。また、世界がどう見ているかもわかった。それは今の日本にとって極めてまずいと言う状況もわかった。

民主党がその解決のベストポジションにいるのだが,解決の方向に動いていそうにないこともようやくわかって来た。自民党は支持されないが,民主党の今の動きも支持されていない。この同盟関係に答えがあるように思うが,誰もその答えをとることが出来ないのは悲しいことだ。日本はこのまま沈没して行ってしまうのだろうか。残念でならない。隔靴掻痒とはこのことだ。

さて、後ろ髪を引かれる思いで,日本の経営問題に戻る。これ以上外交問題をしても,私の意見は出尽くした。私の力ではどうしようもない。日本のビジネスに関してのグローバリゼーションを扱った英文が少ない。特に最近は世界が日本の経済に対して関心を持っていない。凋落しているからだろうか。英語圏の人が日本の経済記事を書かないのだ。いろいろ探して来たが,なかなか見つからない。

たしかに、1993年から日本は鳴かず飛ばずだ。仕方がないので,まずは、1997年のアジア通貨危機の直 後の1998年に書かれたケイトー研究所が出したBrink LindseyとAaron Lukasの論文を翻訳してみようと思う。10年前に書かれたので,多少古いが,日本はその間何も変化して来ていないので,書かれた内容はそのまま適用できそうだ。

Revisiting the "Revisionists": The Rise and Fall of the Japanese Economic Model
http://www.cato.org/pub_display.php?pub_id=3654


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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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