2010年02月26日
日本の経済モデルの隆盛と凋落
さて昨日で,フィネガンのレポートが終了した。彼の英語の言い回しと考え方と長い英文には苦労した。内容は日本にとってインパクトのあるもので,民主党の指導者はきちんと読むべきだろう。日本側のワークショップの協賛者であるJIIA -日本国際問題研究所にもメールを送ってあるので、この論文の完訳のことは知っているはずだ。
普天間基地の問題があったので,一ヶ月以上にわたる,日本の外交政策を扱って,今までの日本の政治がグローバル音痴であることがよくわかった。アメリカ政府 がよくもまあ、日本を見捨てなかったことが不思議だ。こんなアンフェアな国は世界でも日本しかない。トヨタがやられるのも致し方ない。国民はこの事実を知るべきだ。
ではこの外交政策はここまでにして,日本の経営に戻ろう。グローバルの視点で,日本の経営がどうであったのかをバブルがはじけて,5年経った,アジア経済危機の翌年の1998年に書かれた論文を翻訳することにした。まずはアメリカ人の目から見たバブル崩壊後の視点を見てみよう。今 日も経営会議が6時からあるので,6時前には終わらなければならない。
「修正主義者」の再検討:日本の経済モデルの隆盛と凋落
Revisiting the "Revisionists": The Rise and Fall of the Japanese Economic Model
http://www.cato.org/pub_display.php?pub_id=3654
修正主義者:特に、アメリカの対日政策見直し論者のことをさす。欧米と全く異質の価値観を持つ日本には自由貿易の考え方は通用しない、日本が市場閉鎖的な態度を取り続けるならば、米国も対日市場を閉鎖し、日本の経済膨張主義を封じ込めるべきだと主張する。日本の姿勢を痛烈に批判するところからジャパンバッ シャー(日本たたき論者)とも呼ばれる。
ケイトー研究所:(カトーとも、Cato Institute)はアメリカ合衆国ワシントンD.C.に本部を置く。リバタリアニズムの立場から「公共政策と政府の役割に関して公に疑問を呈する」かたちで公共政策に「伝統的なアメリカの原理としての、小さな政府、個人の自由、市場経済、平和などの拡大のための議論を深める」ことを使命として掲げるシンクタンク。
湾岸戦争・イラク戦争な どに代表されるアメリカ政府の対外介入路線への批判、同盟政策における米軍の海外展開(前方展開)戦略や、同盟国への過度のコミットメントへの批判的提言という共通性を有している。日米の同盟関係についても、在日米軍基地の撤廃や日米安保の漸進的解消によるアメリカの関与の極小化を主張しており、その代替手段として、核武装も含む日本の自主防衛推進を主張している。
Brink Lindsey:ケイトー研究所の調査研究担当副社長。ウェブの月次雑誌Cate Unboundの編集長。
Aaron Lukas:ケイトー研究所の貿易政策研究センターの元政策アナリスト。
ソビエトスタイルの共産主義が崩壊した後,「日本株式会社」の経済モデルは西洋の自由市場の資本主義に対する世界で唯一の実際の代替手段として存在していた。この案内役のアメリカの支持者が「修正主義者」として知られるようになるのだが,1980年代の後半から1990年代の初めに、アメリカ合衆国は国家主導の黒幕による資本主義と言う日本独特の形態に競争することが出来なかった。ワシントンが日本のような政策を採用せず,自由市場を捨てて,「管理貿易」を支持しなかったら,アメリカは日本の経済の植民地になっていただろうと言った。
今日評価はこうだ。:修正主義者は日本の「脅威」にたいする評価とアメリカの政策に対する勧告は完全に間違いだった。それどころか、日本は経済の沈滞の「失われ た10年」を苦しんで来ている。「日本株式会社」モデルは西洋流の資本主義を凌駕するものではなかった。そのかわり、太平洋の両サイドで,日本のモデルは失敗 したと言う意見の一致を見るようになった。
日本スタイルのコネ重視型資本主義が広く批判された経済危機の結果として,国ごとに変動のある,環太平洋地域は市場指向の改革を受け入れて来ている。その 間,アメリカ合衆国は景気下降とはおよそ関係なく、記録的な繁栄を享受していた。それは修正主義者の助言を全く無視していたからだ。
コネ重視型資本主義:クローニーキャピタリズム【crony capitalism】縁故関係者や仲間どうしで国家レベルの経済運営を外国企業や援助と結びつけて行い,権益を独占して富を増やしていくやり方。〔ク ローニーは仲間の意。1990 年代後半のアジア経済危機に際し,その根底にあるとしてアメリカのエコノミストなどによっていわれた〕
今日はここまで。この冒頭の論文を読んで感じたのはア メリカの「勝利の記念碑」である自動車産業をトヨタが蹂躙してしまった。外交政策だけでなく,こうしたアメリカのプライドを傷つけてしまったと言うことも ありそうだ。となるとトヨタの問題は更に尾を引きそうだ。こうした経済戦争で,アメリカがことごとく日本に敗れて来て,今強いと言われているのは金融と軍事産業だが,日本はこの軍事物資をアメリカからあまり買っていないようだ。
フィネガンもそこのところは指摘していた。日本のコストが倍に なっても,国産にこだわっていると言う指摘があった。そうしたところはまさしくここで言っている政府との癒着の問題だろう。今まではそうしたものが多すぎたと言える。族議員が消えてしまったので、この論文で言うところの国家主導と言う部分は自民党と一緒に,消滅してしまったのかもしれない。
我々はさほど気がついていないのかもしれないが,1990年代に中国が行った,社会主義国から資本主義国への静かな革命を日本が正しく,これから行おうとしているのかもしれない。ここで言うところの「コネ重視型資本主義」の本当の崩壊であり,更に民主党が官僚構造にメスを入れることが出来れば,アメリカのような自由市場が形成され,今の中国のような Frre Trade、Free Investmentの環境が出来上がるかもしれない。戦後の保守体質がどこまで壊せるかがキーだ。それは官僚、族議員と企業との癒着の崩壊だ。時間が来てしまった。ではこれまで。
普天間基地の問題があったので,一ヶ月以上にわたる,日本の外交政策を扱って,今までの日本の政治がグローバル音痴であることがよくわかった。アメリカ政府 がよくもまあ、日本を見捨てなかったことが不思議だ。こんなアンフェアな国は世界でも日本しかない。トヨタがやられるのも致し方ない。国民はこの事実を知るべきだ。
ではこの外交政策はここまでにして,日本の経営に戻ろう。グローバルの視点で,日本の経営がどうであったのかをバブルがはじけて,5年経った,アジア経済危機の翌年の1998年に書かれた論文を翻訳することにした。まずはアメリカ人の目から見たバブル崩壊後の視点を見てみよう。今 日も経営会議が6時からあるので,6時前には終わらなければならない。
「修正主義者」の再検討:日本の経済モデルの隆盛と凋落
Revisiting the "Revisionists": The Rise and Fall of the Japanese Economic Model
http://www.cato.org/pub_display.php?pub_id=3654
修正主義者:特に、アメリカの対日政策見直し論者のことをさす。欧米と全く異質の価値観を持つ日本には自由貿易の考え方は通用しない、日本が市場閉鎖的な態度を取り続けるならば、米国も対日市場を閉鎖し、日本の経済膨張主義を封じ込めるべきだと主張する。日本の姿勢を痛烈に批判するところからジャパンバッ シャー(日本たたき論者)とも呼ばれる。
ケイトー研究所:(カトーとも、Cato Institute)はアメリカ合衆国ワシントンD.C.に本部を置く。リバタリアニズムの立場から「公共政策と政府の役割に関して公に疑問を呈する」かたちで公共政策に「伝統的なアメリカの原理としての、小さな政府、個人の自由、市場経済、平和などの拡大のための議論を深める」ことを使命として掲げるシンクタンク。
湾岸戦争・イラク戦争な どに代表されるアメリカ政府の対外介入路線への批判、同盟政策における米軍の海外展開(前方展開)戦略や、同盟国への過度のコミットメントへの批判的提言という共通性を有している。日米の同盟関係についても、在日米軍基地の撤廃や日米安保の漸進的解消によるアメリカの関与の極小化を主張しており、その代替手段として、核武装も含む日本の自主防衛推進を主張している。
労働力の確保や警察力の削減の視点から移民規制の緩和を主張し,財政赤字の際の企業に対する増税に反対して米国憲法に「均衡予算拒否権条項」を設けるように主張している。また地球温暖化に対しても科学的な主流派とは異なる「温暖化懐疑派」の立場から報告書を発表し、2003年12月以降、いずれも温暖化懐疑派であるパトリック・マイケルズ、ロバート・ボーリング、ジョン・クリスティらを雇入れている。http://ja.wikipedia.org/wiki/ケイトー研究所
Brink Lindsey:ケイトー研究所の調査研究担当副社長。ウェブの月次雑誌Cate Unboundの編集長。
Aaron Lukas:ケイトー研究所の貿易政策研究センターの元政策アナリスト。
ソビエトスタイルの共産主義が崩壊した後,「日本株式会社」の経済モデルは西洋の自由市場の資本主義に対する世界で唯一の実際の代替手段として存在していた。この案内役のアメリカの支持者が「修正主義者」として知られるようになるのだが,1980年代の後半から1990年代の初めに、アメリカ合衆国は国家主導の黒幕による資本主義と言う日本独特の形態に競争することが出来なかった。ワシントンが日本のような政策を採用せず,自由市場を捨てて,「管理貿易」を支持しなかったら,アメリカは日本の経済の植民地になっていただろうと言った。
今日評価はこうだ。:修正主義者は日本の「脅威」にたいする評価とアメリカの政策に対する勧告は完全に間違いだった。それどころか、日本は経済の沈滞の「失われ た10年」を苦しんで来ている。「日本株式会社」モデルは西洋流の資本主義を凌駕するものではなかった。そのかわり、太平洋の両サイドで,日本のモデルは失敗 したと言う意見の一致を見るようになった。
日本スタイルのコネ重視型資本主義が広く批判された経済危機の結果として,国ごとに変動のある,環太平洋地域は市場指向の改革を受け入れて来ている。その 間,アメリカ合衆国は景気下降とはおよそ関係なく、記録的な繁栄を享受していた。それは修正主義者の助言を全く無視していたからだ。
コネ重視型資本主義:クローニーキャピタリズム【crony capitalism】縁故関係者や仲間どうしで国家レベルの経済運営を外国企業や援助と結びつけて行い,権益を独占して富を増やしていくやり方。〔ク ローニーは仲間の意。1990 年代後半のアジア経済危機に際し,その根底にあるとしてアメリカのエコノミストなどによっていわれた〕
今日はここまで。この冒頭の論文を読んで感じたのはア メリカの「勝利の記念碑」である自動車産業をトヨタが蹂躙してしまった。外交政策だけでなく,こうしたアメリカのプライドを傷つけてしまったと言うことも ありそうだ。となるとトヨタの問題は更に尾を引きそうだ。こうした経済戦争で,アメリカがことごとく日本に敗れて来て,今強いと言われているのは金融と軍事産業だが,日本はこの軍事物資をアメリカからあまり買っていないようだ。
フィネガンもそこのところは指摘していた。日本のコストが倍に なっても,国産にこだわっていると言う指摘があった。そうしたところはまさしくここで言っている政府との癒着の問題だろう。今まではそうしたものが多すぎたと言える。族議員が消えてしまったので、この論文で言うところの国家主導と言う部分は自民党と一緒に,消滅してしまったのかもしれない。
我々はさほど気がついていないのかもしれないが,1990年代に中国が行った,社会主義国から資本主義国への静かな革命を日本が正しく,これから行おうとしているのかもしれない。ここで言うところの「コネ重視型資本主義」の本当の崩壊であり,更に民主党が官僚構造にメスを入れることが出来れば,アメリカのような自由市場が形成され,今の中国のような Frre Trade、Free Investmentの環境が出来上がるかもしれない。戦後の保守体質がどこまで壊せるかがキーだ。それは官僚、族議員と企業との癒着の崩壊だ。時間が来てしまった。ではこれまで。