2010年02月27日

日本の経済モデルの隆盛と凋落2

昨日の朝はインターネットの調子が悪く,このブログをアップしてから,落ちてしまった。一日経ったが,未だに原因がつかめない。現在は携帯用の無線を使用している。昨日は午前中に訪問したNHKの今井副会長、海野会の講師を務めた銀座ミツバチプロジェクトの田中淳夫さんから同じ質問を受けた。「トヨタをどう思いますか?」今回の外交政策の調査分析作業が役に立った。昨日は朝6時から夜9時までの,ハードな一日だった。

さて、昨日はケイトー 研究所が出したBrink LindseyとAaron Lukasの論文の冒頭を翻訳したが,今のトヨタの問題の原因のもう一つの一面を見て来た。今日はその書き出しの続きで,修正主義者が誰かと言うところからだ。ここで言う修正主義者とはそれまで正統とされてきた学説や見解に異議を唱える人。特に,アメリカで従来の楽観的な対日態度に修正を迫る日本異質論者などをいう。では続きを始めよう。


日本の問題は今や明白だ。その運命を蘇らせるためには日本は確立された関係とか,もしくは政府の政策にしたがうのではなく、はっきりした,生のままの市場のシグナルにしたがって,資本が分配されているシステムに移動しなければならない。要するに,日本は修正主義者達が日本の最大の強みだと指摘したシステムの要素そのものを放棄する必要がある。

この修正主義者達の最大の失敗は一握りの政府の計画担当者が数百万の民間の意思決定者達を出し抜くこ とが出来ると信じていたことであり,彼等が「戦略的な」 産業を選び,市場のシグナルと不動産価値を無視して,資本を配分してきた。彼等のバブルがはじけるのにほんの数年で十分であった。

始めに

10年前に,アメリカ合衆国は日本との関係で,一連の苦悩の議論を経験していた。主要なアメリカの産業である自動車,家電,半導体,鉄鋼は日本との競争に負けていた。アメリカの「勝利の記念碑」である資産の東海岸のRockefeller Centerから、西海岸のPebble Beach Golf Courseまでが日本人の手に落ちてしまった。日本とのアメリカの大きな貿易赤字は円の劇的な値上がりに際しても減ずることはなかった。多くの人々は上昇する日本と下降するアメリカが「場所を入れ替える」と信じていた。

運命の合唱をリードしていたのはビジネスウィークのBob Neff が修正主義者のあだ名がをつけていたコメンテーターのグループだった。特に4人が目立つ。:政治科学者Chalmers Johnson。かれの1982年の本で、 MITI and the Japanese Miracle「MITIと日本の奇跡」はその後の著者たちに多くの知的な基礎を築いた。前レーガン政権の貿易交渉責任者である Clyde Prestowitz。彼は「取引市場:どのように我々は日本に我々の将来を与えているのか、そして、どのように改善しようとしているのか。」邦訳「日米逆転−成功と衰退の奇跡」と言う著書を著し、後に経済戦略研究所を設立し、修正主義者の立場を推進した。元U.S. News & World Reportの編集長であるJames Fallowsは1989年にAtlantic Monthlyの論説「日本を封じ込める」で、冷戦時期の日米関係に目を向けた。オランダ人のジャーナリストであるKarel van WolferenはThe Enigma of Japanese Power 「日本/権力構造の謎」上・下 1990 早川書房の著者である。これらの人たちはMichael Crichtonを含め,多くの人たちに影響を与えた。彼は1992年に好戦的な愛国主義者の推理小説Rising Sun 「ライジング・サン」1993年 早川書房 を書いて,No.1のベストセラーとなった。

修正主義者達が主張するのは,「アングローアメリカン」のモデルの公開市場の資本主義と対比して,日本は国家主導のインサイダー資本主義の独特の形態を実践した。そのモデルではビジネスのトップ、銀行家,政府の役人との密接な関係が経済の結果に強く影響を与える。彼等が言うには,厳しく管理された銀行のシ ステムを通じて,戦略的に資本が分配されることによって,日本は競合企業を活動分野から追い出し,ついには世界の経済を支配しようとした。

また、修正主義者達は日本が西側の資本主義の通常のルールでプレーしないので,日本市場を開くためのルールに基づいた貿易交渉を採用しようとしても無意味だと主張した。そのかわり、彼等は日米の貿易の不均衡を是正するために、唯一の現実的な方法として,「結果指向の」もしくは「管理された貿易」協定を主張 した。その上,彼等はアメリカの経済の成果を改善する手段として日本スタイルの産業政策の要素を提案した。

(ここに昨日翻訳した冒頭の同じ段落が来ているので、省略した。)

日本の問題を抱えた経済

Clyde Prestowitzの「日米の逆転」の中で、

日本人の巨大な組織の背後にある力は多くのアメリカ人が思っている以上に遥かに大きい。そしてこの巨大な組織はそれ自身の意思の働きを止めることが出来ない。なぜならば日本は自動の富を作る機械の類いのものを創造し,多分それはミダス王以来の最初のものだ。

ミダス王:King Midas has donkey's ears!(王様の耳はロバの耳) ギリシャ神話によればむかしマセドニアという国にミダス王がいました。彼について有名なことは彼は神の怒りをかいロバの耳にされてしまいました。ひたすら隠しましたが、専属の床屋だけは隠せません。この床屋も、厳しく他言無用を言いつけられましたが、結局、秘密を守れずに地面に穴を掘って(王さまの耳はロバの耳)と叫んでしまいました。人の口に戸は立てられないの意味です。さて、ミダス王についてもっとも有名なことは彼が触るものはすべてが黄金になったというthe golden touch(=the Midas touchことです。the man with the Midas touch のように使われます。打ち出の小槌を持ったような人はいつの時代にでもいるものです。しかし、名もなく豊かに、、、が一番です。 http://bridge-english.blogspot.com/2008/12/king-midas-has-donkeys-ears.html

多分、Prestowitzはミダス王が不幸に終わったことを忘れていた。だから、日本の「富を作る機械」もまた同様だった。



今朝はこれぐらいにしておこう。フィネガンの判じ物のような英文からBrink Lindseyの文章に移って来て,気が抜けてしまった。フィネガンの文章は3回読み直さないとわからなかった。日本語も英語も同様だったので,内容が内容だけに,慎重を期したが,この論文は遥かに易しい。トヨタの問題の経済的な側面を扱ってきるので,読者は先の外交問題と会わせて,今のアメリカの公聴会の背景を理解でいると思う。

日本人は「アメリカの「勝利の記念碑」である資産の東海岸のRockefeller Centerから、西海岸のPebble Beach Golf Courseまでが日本人の手に落ちてしまった。」を忘れかけているが,アメリカ人は忘れてはいない。アメリカに保護されながら,経済でアメリカを蹂躙し,また再び,自動車で,アメリカを蹂躙したと言うことだ。

かといって、日本の経済が繁栄しているか,日本の国民が豊かになったかと言うと決してそうではない。日本の政治、経済に問題があると言うことだ。特にこれから,この論文を通じて,経済面もしくは経営面からその問題を追及して行きたい。世界でも日本だけが一つの文明を形成している。「真面目」「正直」「勤勉」「嘘つかない」価値観を持った民族だが,英語が出来ないのは自衛隊だけではない。更に,日本人は外国人とのコミュニケーション、ネゴシエーションが極めて下手である。


これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。



swingby_blog at 07:48コメント(0)トラックバック(0) 

トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
プロフィール

swingby_blog

プロフィール

海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
Swingby 最新イベント情報
海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
講演・メディア出演

最新記事
月別アーカイブ
Recent Comments
記事検索
ご訪問者数
  • 今日:
  • 累計:

   ご訪問ありがとうございます。


社長ブログ ブログランキングへ
メールマガジン登録
最新のセミナー情報を配信します。
登録はこちらのフォームから↓