2010年03月13日

世界中のアルカイダとイエメン

今回の大連は2泊しかしないので、今日はもう帰らなければならない。この大連には社員が100人いるが、頭が痛いのは社員の教育だ。マネージャー研修を毎週しているが、今度からは録画して、社員に見てもらうようにしようと考えている。そうすれば、全社員が見ることができる。見方どうかはテストをすれば良い。今朝は土曜日なので、一部社員は出勤しているが、今日は会社には行かない。

さて、昨日は改めてグローバリゼーションとは何かを翻訳したが、今日からはニュヨーク州立大学のレビン研究所の幾つかの講義の最新トピックスを紹介したい。今紹介するのは昨年アルカイダのハイジャックの事件の背景の解説で、後進国のイエメンなどが、アルカイダのリクルートの現場になっていると言った話で、我々にとっては耳新しい話だ。アメリカの学生がこうした内容の物を読んでいることを頭に入れながら読んでほしい。随所に原典を参照しているが、気にしなくていい。




世界中のアルカイダと問題のあるイエメン
http://www.globalization101.org/news1/Al_Qaeda_worldwide




2009年クリスマスの日に,23才のナイジェリア人のUmar Farouk Abdul Mutariabはアムステルダムから出発するデトロイト行きノースウェスト253便を爆破しようとした。この若いイスラム原理主義者は爆発物を爆発させようと,それを彼の衣類の下に、空港のセキュリティに気付かれずに,飛行機の中に潜り込ませた。

まぎれも無く,「テロの未遂行為」として、機密扱いされ,オバマ政権とアメリカ国土安全保障省は極めて深刻に,アメリカ防衛のこの突破口とアルカイダ・ ネットワークへのつながりを取り上げた。幸運にも,MUtallabは乗客達に取り押さえられ,その爆発物を爆発させることに失敗した。この容疑者の Mutallabはイエメンで,アルカイダの指導者によって、命令され,訓練を受けたと言った。
Terror in the Sky.” The Economist. 26 December 2009.

2010年1月7日にオバマ大統領はこの攻撃とアメリカのセキュリティシステムが未遂の爆弾を予知し,防げなかった幾つかの失敗について演説した。オバマ大統領は繰り返し、アメリカはアルカイダと同盟関係国と「戦時中」であると言った。
Usborne, David. “Obama Takes Blame for Christmas Day Attack.” The Independent. 8 January 2010.

大統領は次のアルカイダの攻撃の可能性を力説し、テロのネットワークに入隊してくる個々の一匹狼にますます攻撃を受けやすいことを強調した。アルカイダはソマリアとかイエメンのような衰弱した国家の弱い人たちを餌食にして来ていて,テロの組織を作って,イスラムの原理主義を広め,最後にはアメリカ合衆国を狙っている。

グローバリゼーションとテロのネットワーク

この出来事は再び、国境のない、可動性の、拡散したアルカイダのネットワークに光が当たっていて、9.11の攻撃以来、アメリカの外交政策と防衛の中で優先度を持続して来た。このアルカイダのネットワークは人、考え、情報のコミュニケーションと移動が増大して来たおかげで、中近東の発祥地から遥か遠くに達するようになった。オバマ政権はアメリカの国内安全保障が深刻なリスクのままではあるが、アメリカの領土並びに海外のアメリカの国民への次の攻撃を防ぐため に新たな改革を評価し始めた。

「アル・ジャジーラ英語放送」による下図は中近東、北並びに東アフリカ、南アジアにまたがったアルカイダの組織の疑いのある地域を強調している。



アルカイダはアラビア語で、基地の意味で、1980年代末にOsama bin Ladenによって創設された。CFR Backgrounder: al-Qaeda

国際テロ組織の主流をなす目標はイスラム諸国から広く普及した西側の影響とみなされるものを取り除く事である。このネットワークはシャーリア(コーランなど の戒律および社会慣習の法)と呼ばれるイスラム法典の厳格な翻訳に基づいた原理主義イスラム制度にこれらの政府を置き換えるためである。

このネットワークはいくつかの異なった国家の国民の流動的な寄せ集めてあり、イスラムのこの慣行に献身し、「西側」と思われるすべてのもの激しく嫌悪してい る。組織のリーダーシップは数多くの国々から来ていて、Saudi Arabia, Egypt, Afghanistan, Mauritania, Jordan, the Comoro Islands, Indonesiaなどである。このネットワークは成長し続け,世界中の国々に根を下ろして来ている。そのリーダーの能力によってこのテロの活動の浸透が 大いに助けられ,新しい地域に流れ込んで行っている。

下記の表はmsnbc.comが記録してあったこのネットワークの数多くのトップのリーダーとその仲間をまとめたものである。

Osama bin Laden-Saudi                ネットワークの誰もが認めるリーダー
Ayman al-Zawahidi-Egyptian         2001年にアルカイダと合併した時のエジプトの ジハード(イスラム教徒の聖戦)の元頭目
Saif Saif al-Din al-Ansari al-Adel-Egyptian アルカイダのNo.3とみられていて,軍総司令官
Amin al-Haq-Afgan                      bin Ladenの個人的なセキュリティの責任者
Suleiman Abu Ghaith-Kuwaiti       アルカイダのスポークスマン

アルカイダはヘッドクオーターを一つも持っておらず,そのため、グループの流動性と機動性を持っている。1991-1996年までアルカイダは主に,アフガニスタンの国境に沿った,パキスタンから行動していた。しかしながら,タリバンがアフガニスタンを管理下に治めてからは作戦部隊はアフガニスタンの国境の内側に基地を於くようになった。2001年にアメリカ主導の戦争とタリバンの敗退によって,アルカイダのリーダー達は再び,アフガニスタンの国境を越え て,パキスタンの部族の地域に移動した。




昨年末にアフガニスタンの特集を10日間ほど行ったが、今日に記事はアルカイダがアフガンスタンだけでなく、広範囲に広がっていると言う記事だ。今まではこれほど勢力を拡大していると言うことは知らなかったが、それでは今のアフガニスタンの戦争は一体なんなのだろうかと言う疑問がますますでて来た。

まるでガンのように、まだら模様にように、イスラム圏にタリバンが原理主義を普及して来ている。これは思想の普及だから、地域戦争による軍事で対抗しても阻止することはできないのではないだろうか。かっての侵略戦争、地域の民族戦争はその闘争の場所が明確であった。この今の戦争は闘争の場所が明確でなくなってしまった。

この説明でもあるようにアメリカがいくらでアフガニスタンに兵士を送っても、戦争に勝っても、この戦争には勝てないことを意味する。となると今の戦争はアメリカの兵器産業のためにやっているような物かもしれない。NATOが兵士を送っているのは今まで何度も言って来ているようにアメリカとの付き合いだ。

彼らはこの戦争に賛成していることは考えられない。彼らは日本政府と日本人を「真面目」「正直」すぎると見ているに違いない。ということは相手にされていないと言うことだ。このことは相当まずいことだ。日本が何をしてもあっちに行けと言われそうだ。もっとまずいのはこの戦争だ。

タリバンはもはや、アフガニスタンが彼らの主戦場ではなくなった。世界各地で起こる反アメリカのテロ行為は阻止することは絶対に出来ない。アフガニスタンの自爆テロがその良い例だ。組織そのものを破壊することはできないが、防ぐことができない。このガンは死に至らせることはできないが、人々を恐怖に陥れることはできる。人々は飛行機に乗らなくなる。

かって日本がキリスト教を禁止した宗教弾圧があったが、この戦争はいわば宗教戦争だから、イスラムの原理主義の過激派を取り締まるしか方法はない。これは武器ではない。この戦争に対する回答はまだない。かってのオスマントルコがキリスト教に滅ぼされたように、また、キリスト教の普及による侵略も時代とともに変化した。こうしたテロも未来永劫続きことはない。それでは何がこれらの活動を阻止する手段たりえるのだろうか。

時代の20年の流れで考えれば、イエメンのような貧困層をなくすことだろう。

ルワンダのムセミナリ国務大臣(協力担当)は、世界の40%の人口が一日二ドル以下で生活し、八億人以上が飢餓と栄養失調に苦しんでいると紹介。「サハラ以南のアフリカでは、多くの国で60—70%の人口が一ドル以下で生活している。平均寿命は五十歳以下」だと述べ、MDG達成のためにも先進国の政府開発 援助(ODA)額の引き上げを求めた。http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-10-03/2006100306_02_0.html

次に「国際テロ組織の主流をなす目標はイスラム諸国から広く普及した西側の影響とみなされるものを取り除く事である。」と言うことを我々は追求するべきだろう。彼らが言っている「西側の影響」とは何か。これだけの軍事費を投入しているのであれば、その一部をこうした情報活動に向けるべきではないだろうか。特に原理主義が普及している地域の青年教育である。さらに言えば、キリスト教世界の人々が彼らを教育することではない。原理主義に反対するイスラム教徒をこうした活動に対する支援をすることだろうか?

中東紛争には、中東地域に信者の多いイスラム教対イスラエルのユダヤ教という構図が持ち出される。 ... また、キリスト教が大きく分けるとプロテスタントとカトリックの2派に分かれているように、イスラム教もスンニー派とシーア派に分かれている。www.t-komazawa.ac.jp/personal/muromoto/semi/ohshima/ohshima.htm

ここに書いてあるようにそう単純ではない。また、 「日曜日の用語解説:シーア派とスンニ派」http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20070107A/ に解説があるように、宗教、民族紛争は奥が深い。さて今日はこれから運動を一時間ほどしてから、
もう少し勉強して、荷物を片付けて、東京に戻る。飛行機は午後一時半。今日はここまで。



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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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