2010年03月29日

失われた10年からの教訓

昨日はようやくKindleに英辞郎をインスト−ルできた。忙しい一日だった。今日も,このブログに入力したデータを10数行消失してしまった。腹が立つがこのソフトの欠陥で,しょうがない。今日は昨日に引き続き今回の景気後退の問題だ。過去を振り返って,その歴史を思い起こすことは重要だ。昨今,目先で行動して,深く考えていない人が増えて来たようだ。日本のこれからの10年は貴重だ。同じ轍は踏まないようにしたい。では始めよう。




失われた10年からの教訓
アメリカ合衆国は不況の10年の中へと、日本を追うのであろうか?
2008年8月21日

住宅価格の下落と貸出の引き締めがアメリカの経済を圧迫していて,日本が1990年代の初めにバブルがはじけて、陥ったように,10年の不況に苦しむのではないかという心配がある。日本の不動産バブルはまた、安い資金と金融自由化によって,火がつけられ,ーまさにアメリカ同様にー多くの人々は不動産価格が全国的に値下がることは出来ないと決めてかかっていた。バブルがはじけた時には借り手は債務不履行となり,銀行は彼等の貸金をカットした。その結果は1%以下の平均成長の10年となった。



アメリカが日本と同じような運命に苦しむと言う考えはとっていないが、それらの違いの幾つかは誇張されている。たとえば、日本のバブルはアメリカ合衆国のそれより遥かに大きかったと主張している人がいる。ではあるが、全国的な家の価格の平均の値上がりは2000-2006年の間にアメリカでは90%も上がったが,比較すると、日本では1985年から1991年の始めまで51%の増加であった。その時が日本の家の価格が最高潮であった。(上図左側参照)日 本の最大の都市の価格が早く上がったが,経済への影響を考えると国家全体の数字の方がより重要だ。日本の家の価格はそれ以来,40%以上下落してきた。アメリカの価格は既に,20%下落し,そして、多くのエコノミストは更に10%以上下落すると見ている。

商業不動産はどうであろうか?平均価格の値上がりは上記期間で比較するとアメリカ(90%)より日本(80%)の方が少ない。こうして,日本の不動産ブームはどちらかと言えば,アメリカ合衆国より小さかった。日本もまた,株式市場のバブルがあった。それは不動産よりも一年早くはじけた。これは銀行を傷つけた。というのは彼等は他社の株式保有の一部を資本として計算していた。しかしながら、家計への影響はあまり大きくなかった。と言うのはアメリカは国民の半分以上が株を持っていたのに比べると日本は30%でしかなかった。

日本の政策立案者は一般の人は誤認しているが、バブルが弾けた後の利率を切り下げたり、財政政策を緩和したりしたのはアメリカより決して遅い訳ではなかった。日銀は不動産価格が下降を初めてすぐの1991年7月に金利を下げ始めた。割引率は1993年の終わりには6%から1.75%に下げた。アメリカの家の価格が下がりだして2年後に、フェデラルファンドレートは5.25%から2%に低下して来た。(上図右側参照)アメリカの連邦準備銀行の研究によれば、 余分な能力の量とインフレによって適切な利率をきめる「テーラーの法則」で要求されているものよりかは1990年代の初めの日本の金利の低下はより激しかっ た。

日本はまた、経済に大きな財政支援を行った。周期的に調整された歳出超過(税収の成長低下による不可避の影響を除外している。)は1992-1993年 のGDPの年平均1.8%の増加となった。ーこの年はアメリカの予算の増加と同様であった。日本の金融並びに財政刺激策は経済を持ち上げる助けになっ た。1993-1994年の景気後退のあとで、GDPは1995年にはおよそ2.5%の年間成長率となった。しかしながら、その年にデフレとなり、実質金利を押し上げ、債務の実質的な負担は増大した。日本はここから最大の政策判断を間違え始めた。1997年に政府は歳出超過を解消しようとして、消費税を上げた。そして、金利はほぼゼロに近いままにして、日銀はもう何も出来ないと強く主張した。ただ、よりあとになって、たくさんの紙幣を印刷しだした。

アメリカのインフレ率が5%を超えていることは有利だ。実質金利がマイナスになるだけでなく、インフレはまた家の市場価格を公正な価値に持って行き、価格の下落をそうでないときよりもより小さくすることができた。しかし、もう一つの方法で、アメリカは日本と違ってさらけ出されることになる。1991年にバブルが弾けて、日本の家計は彼らの収入の15%を貯蓄していた。2001年までには貯蓄率は5%まで低下して来たが、消費支出を支えてきた。アメリカの貯蓄率はゼロに近いので、そうした蓄えはない。





今日はここまでだが,私は金融関係に疎いので,この内容は新たな知識であったが,日本の不動産バブルよりもアメリカの方が大きかったのだと言うことを知った。中国も北京オリンピックの前に株価が5倍になったが,この時も政府はうまく景気の沈静化をすることが出来た。日本のバブルの後処理が如何にまずかったのかがこうしてみて見るとわかる。日本が鎖国をしていたからだめだと言うこともあるが,それよりかもっと大きな原因がここになったと言うことを改めて認識することが出来た。

以前も「日本経済モデルの隆盛と凋落」のところでも述べたように,日本のシステムに問題があった。それが現在すべてがオープンかつ透明になって来た訳ではない。あいかわらず、規制と政治が過去の遺産を引きずっているのは事実だが,それだけであれば、今後は解消して行くことだろう。日本企業とか政治のグローバル化の課題はまだまだ解消しそうには無い。今日の論文はまだ多少残っているので、それはまた明日。


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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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