2010年03月30日

失われた10年からの教訓2

昨日は石化恊の西出さんの花見パーティ。いつものメンバーで飯を食べて,8時過ぎに失礼した。それでも就寝の時間は10時半を過ぎてしまった。ここのところは翻訳の論文とか記事が短いので,次のテーマを探すのが大変。ちょっと長いものを探そう。Kindleは快調。さて始めよう。「失われた10年からの教訓」の後半だ。






ぐずぐずすることによる危険

John Markinはアメリカ企業研究所の人で,ここはシンクタンクだが,彼が主張しているのは、金融と財政の緩和は必要だったが,日本の経済を蘇らせるのには十分ではなかった。この欠けていた重要な要素は銀行システムを止めることであった。日本の企業はアメリカ企業よりもこのシステムに依存していた。日本の銀 行は不透明な企業構造のもとで,彼等の不良債権を隠し,利益になるビジネスに対して新たな貸金を削減した。悪循環が起こって,それによって、銀行の不良債権は成長を押し下げ,新たな不良債権を造ってしまった。

もう一つの新たな報告書ではRichard JarramはMacquarie証券の人だが,アメリカは「日本の経験を繰り返すようにはならない。」と言っている。と言うのはその調整システムである財政市場と政治構造はそう長い間,ぐずぐずすることはないと結論している。アメリカはより透明度の高い調整システムを持っていて,銀行が最初に,危険な証券化した資産を彼等の貸借対照表から移動していたと言うことを取締官が仮に気付くのが遅かったとしても,このシステムは銀行に損失を認識させ,貸借対照表を修正させてしまう。しかしながら、一方で,日本の取締官は銀行とグルになって,彼等の不良債権を隠していた。

過去何年にもわたって,アメリカの銀行は1990年代において,日本よりより早く,損失を開示し,消却し,新たな資本を集めた。日本では政治の意思でこの銀行システムの穴埋めに税金を使うまでに長い時間を要した。アメリカの財務省の大きな試練はFannie MaeとFreddie Macのふらふらしたローン貸出の巨人の国有化の必要性を如何に早く認識するかであった。

日本にたいして一つ有利なところは、Jerram が言うには、アメリカは他の国にまたがって家の不動産の破産費用が広がっているということである。外国人がアメリカのモーゲージ担保証券の多くの部分を持っている。ソブリン・ウエルス・ファンドはアメリカの銀行に新たな資本を提供してきた。

ソブリン・ウエルス・ファンド (Sovereign Wealth FundSWF):政府が出資する投資ファンド。政府系ファンドともいう。 石油や天然ガスによる収入、外貨準備高を原資とすることが多い。ja.wikipedia.org/wiki/ソブリン・ウエルス・ファンド

そしてアメリカの急速に発展する輸出はその経済を支えて来ていて、安いドルのお陰である。それに比べて、日本のバブル崩壊後の円の急激な値上がりは国内需要の落ち込みと同時に輸出を傷つけた。

日本の失策から学ぶことによって、アメリカは惨憺たる10年を回避することができた。しか しながら、ワシントンが日本の問題をただ単にマクロ経済の無能さを反映したと決めてかかるのは傲慢だろう。他の諸国での経験では重要な資産価格の破産はしばしば幾年にもわたって経済を下方に押し下げてしまう。慎重さに欠けた楽観主義者だけがアメリカでは最悪な事態は終わったと信じている。






以上で終わりだ。サブプライムの不動産の暴落からアメリカが日本のような長い不況にならなかったのはこうした日本のバブルを勉強したせいかもしれない。このようの改めて過去を振り返ってみると,今回のアメリカの不動産価格の急騰の方が日本のバブルの時よりも激しかったことに驚きを覚える。それをこのように、景気の落ち込みがひどくないのは手の打ち方が迅速だったと言っているが,まだ安心は出来ないようだ。失業率が10%もある。

ただ、このように見てくると,昨日も言ったように,中国のバブルは一体どうだったのかと言う疑問がでてくる。北京オリンピックの時に不動産が高騰した。その後、金融引き締めで,暴落し,リーマンショックで,更に追い打ちがかかったが,2008年11月の危機刺激策を契機に株価が急騰し,また、上海万博を前にして,不動産が高騰している。その高騰の仕方も尋常ではない。

ピクチャ 1
http://stock.searchina.ne.jp/data/chart.cgi?span=90&asi=1&code=SSEC

上海総合指数を見るとその状況がよくわかる。2006年には1000元だったものが2007年半ばには6000元まで上昇している。それが2008年始めには1600元近くまで暴落し,3500元まで回復して来ている。海南島の不動産がこの3ヶ月で,30%暴騰した。こうした状況が隣の中国で起こっていることに日本人は知らないのか,こうした変化に麻痺しているのか。もしくは関心を持っていないのか。いずれにしてもとんでもないことが起きているのは事実だ。先週この不動産が暴騰した海南島の三亜に行ってみて来た。

最も暴騰の激しい三亜の人工島では居住用のビルが6棟建設中で,販売を開始した2棟は先月即日完売。温州人による買い占めだったそうだ。ドバイをまねて作ったと言う島だったが,3年前には私の会社がここの不動産の高騰を見越して,日本で投資活動をしたことがあったが,日本の不動産企業を現地に勧誘したが,うまく行かなかったことがあった。この島は3年前当時20億円だったが,今は60億円にもなってしまっていた。凄まじい値上がりだ。日本では考えられない。私もそこまで上がるとは想像だにしていなかった。

下の写真に示すようなところで,中国のハワイだ。直行便が無いので,香港の近くなのだが,14時間もかかってしまう。3年前は中国人とロシア人だけだったが,先週は日本人の結構いた。問題は今の時期でも30度をこすので,7月になると暑すぎて外に出られない。あと2年もすれば直行便が飛ぶだろう。中国であることを忘れてしまう。町の感じは南洋諸島の中国人街を思わせる。

三亜亜龍湾シェラトンのビーチ
ja.wikipedia.org/wiki/三亜


更に続けて,日本の経済のことを書いた論文を翻訳して行きたい。明日は以下のところの論文を翻訳する。

Walter H. Shorenstein Asia-Pacific Research Centerが発行したCauses of Japan's Economic Stagnation Daniel I. Okimoto (Principal Investigator)  http://aparc.stanford.edu/research/causes_of_japans_economic_stagnation/

今日はここまで。


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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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