2010年04月25日

アメリカ軍の自殺が多い

昨日はグローバリゼーション研究会だった。プロジェクターがうまく使えなかったが、3時間かけて、この一ヶ月分を要約できた。来月は新聞が中心なので、話の種がホットなものばかりだ。ブログの量が膨大なので、この研究会の3時間で、一ヶ月分を要約するのは大変だが、今後は更に多岐にわたりそうなので、やり方を考える必要がある。

また、今回は私の一方的な講義だったので、次回は参加者の意見を聞くようにしたい。今日のテーマはアメリカ軍の自殺だが、私自身こうしたことがあること自体知らなかった。

昨日の研究会でもこのテーマの話をしたが、問題は日本の自衛隊で、日本人はこうしたことにはならないだろうと言うことだ。中国がいつも日本の軍備に気にしているのは大東亜戦争の時の八路軍と関東軍との戦いと神風だろう。この時の人達がまだ中国だけでなくアジアに数多く生存している。

日本人は他の国と違い一人になるまで戦うと言う文化?がある。神風はイスラムの原理主義者に似ていて、「ジハード」(聖戦)に似たようなところがある。そうしたことがあるので、中国は日本の軍備を恐れている。北朝鮮の狂気とは違う。きっと日本人自身もこうした日本人の潜在的な部分を恐れているのではないだろうか。

アフガニスタンに、50億ドルを供与して、その一部を警察官の教育に充てると言うことになっているが、警察官の一部がタリバンである可能性は高い。カンダハル辺りだと、もともとタリバンの根拠地だから、自衛隊が警察官の教育に行った時にタリバンとの交戦になる可能性も高い。軍規通り、撤退すれば良いが、日本の軍隊が交戦するようなことがあると収拾がつかなくなってしまう可能性がある。給油活動のような後方支援は全く問題がないが、敵と遭遇したりするような場合には相当気をつけないと、日本人は問題を起こしてしまう可能性がある。これは多分に日本人の精神構造の特殊性からだと思う。決して無いとは言えない。

インド洋での給油活動は継続するべきであったし、警察官の教育は行うべきではない。タリバンが混在しているからである。今日はアメリカ軍の戦争に於けるメンタルヘルスの問題を取り上げた。ベトナム戦争でも帰還兵の10万人が精神的な問題で自殺しているようだ。かって日本軍が戦後こうした後遺症で、自殺したと言う話は聞いたことが無い。

たぶん、戦争をする目的をどのように兵士に刷り込むかと言うことなのだろうか。今のアフガニスタン戦争は兵士自身が納得していないのではないだろうか。アルカイダの方はジハードだから、死ねば天国に行けると信じている。かっての日本もそうであったが、タリバンは日本と違い、イスラム圏に分散している。

アフガニスタンだけでなく、パキスタンの山岳地帯もタリバンの軍隊がいる。だから、かっての日本との戦争のように、アメリカ軍は勝つことが出来ない。それはこのアフガニスタンへの1979年に始まったロシア軍の侵攻の失敗が物語っている。なぜまた同じ失敗を犯しているのだろうか。

では始めよう。




アメリカ軍は自殺で戦争に負けているのか?
Is the U.S. Army Losing Its War on Suicide?
By Mark Thompson / Washington Tuesday, Apr. 13, 2010


Chris Hondros / Getty Images

アフガニスタンへの侵入から、昨年の夏までに、アメリカ軍はそこでの戦闘で、761名の兵士を失った。しかし、軍隊でのもっと大きな数字ー817名−が同 じ時期に自殺している。自殺は5年連続して増加して来ている。この急増は困った問題になって来ていて、そのための軍隊の指揮の最高レベルでも解決策がまだ見つからない。数百人の精神衛生の専門家を配備し、数百万ドルを投資しているにもかかわらず。

そして、この問題の公式な討議の多くの中で、誰もが知っているのにわざと避けている問題は戦闘任務で繰り返し偵察に出る負荷によって兵士の精神がぼろぼろ になっていると言うことだ。

From the invasion of Afghanistan until last summer, the U.S. military had lost 761 soldiers in combat there. But a higher number in the service — 817 — had taken their own lives over the same period. The surge in suicides, which have risen five years in a row, has become a vexing problem for which the Army's highest levels of command have yet to find a solution despite deploying hundreds of mental-health experts and investing millions of dollars. And the elephant in the room in much of the formal discussion of the problem is the burden of repeated tours of combat duty on a soldier's battered psyche.

この問題は任務に直面した兵士の有効総人数の挑戦によって、悪化している。と言うのは新しい研究が提唱しているは繰り返しの戦闘の展開は自殺の急増に結びついているようだ。これを抑える唯一の方法は兵士あたりの展開の回数を減らすことであり、軍隊では「滞留時間」と呼んでいるものを延長することである。この時間は戦闘地域に出て行く間を自宅で過ごす時間である。しかし、それを可能とするための唯一に方法は軍隊の兵力を増強するか、戦争に参加する兵士の数を減らすかである。
トラウマ(心的外傷)に奮闘する軍隊の町の写真参照のこと

The problem is exacerbated by the manpower challenges faced by the service, because new research suggests that repeated combat deployments seem to be driving the suicide surge. The only way to apply the brakes will be to reduce the number of deployments per soldier and extend what the Army calls "dwell time" — the duration spent at home between trips to war zones. But the only way to make that possible would be to expand the Army's troop strength, or reduce the number of soldiers sent off to war.
See pictures of an Army town's struggle with PTSD.

「我々がそこでつぎ込む労力をしっかりとやっても、我々は自殺の流れを取り除いて来ていないことに率直に言って失望している。」軍隊の総指揮官である George Casey将軍は3月23日の公聴会で語った。先月、議員によって、軍隊はこの挑戦の解決に近づいているのかどうかについて求められた時に、陸軍長官の John McHughは率直に答えた。「残念ながら、その答えにあまり近づいていない。」と2月23日の上院軍事任務委員会に答えた。「人々がなぜこのステップをとるのかについて。ー特に、男も女も一様になぜするのかについてー我々は様々な意味で、まだ困惑している。」

"It's frankly frustrating that with the level of effort that we've put out there, that we haven't stemmed the [suicide] tide," General George Casey, the Army's top officer, told a House panel March 23. When pressed by a lawmaker the previous month on whether the Army was getting closer to solving the challenge, Army Secretary John McHugh was blunt. "Sadly, the answer is not much closer," he told the Senate Armed Services Committee Feb. 23. "As to why people take this step — particularly as to why men and women in uniform do — we're still in many ways befuddled."




平和な世界から、こうして戦場に出向くとこうした現実との違いに精神がいかれてしまうのだろう。湾岸戦争の時に日本が140億ドルも拠出したのに、どこの国も日本を感謝しなかったが、こうした戦争の物理的な苦痛があることは事実だ。日本がそれを避けて来ているとヨーロッパとかアメリカの国民は思っている。平和憲法に対する理解は無い。アンフェアだと考えている。

かといって、日本軍を派兵すると、中国を始めとして、かっての日本軍を知っている人たちは恐怖を持ってしまう。日本軍は他の国の軍
隊とは違っていたからだ。かって日本軍は大陸の中国軍に負けないままに戦争が終わってしまったから、その日本軍に対するイメージは勝者のイメージではなかった。そうした記憶があるために、アフガニスタンへの平和的な派兵ですら、アジアの諸国は大反対だ。私もそう思う。戦闘はしないと思うが万が一がある。

日本人は集団的な行動力を持っているだけでなく、兵士の品質が均等なところがある。すなわち、均一に指導力を発揮する能力を持っている。トップの100人がいなくなってもまた次の100人が出てくると言うような軍隊は日本人だけなのかもしれない。それがかってアジア人に恐怖感を与えて来た。特に中国政府が日本の軍人に敏感なのはかってのこうした経験があるからだろうか。日本軍に勝っていれば、こうした現象は無いのかもしれない。

日本人として考えても、本来であればアフガニスタンに派兵すべきであろうが、日本軍のというか日本人の神風的な精神構造がかってあったことを考えると、交戦の可能性のある地域への派兵は回避すべきかもしれない。率先して前へ出て行く国民性は葉隠れ的な要素が多分にあるのかもしれない。日露戦争の203高地での戦闘とか、第二次世界大戦でのオーストラリアでの潜水艦の戦死の仕方であるとか、沖縄、硫黄島での戦闘など例を挙げればきりがないが、日本人を戦場に向かわせては行けない。

もちろん、兵士がその戦争の目的を納得していればの話だ。今のアフガニスタンでの戦争はどこの兵士でも納得させることは難しい。いわゆる無駄死にだからだ。テロとの戦いはさすがの派遣国アメリカも敗北するしかない。そう考えるとベトナム戦争と同じで、兵士はますます殺戮以外の何ものでもない泥沼に入って行くことになる。しかも同僚の兵士が毎日殺されていると言う現実がある。そこら辺のシナリオがアメリカには無いのだろうか。

私は2月にマイケル・フィネガンの大論文を翻訳したが、その際に私の意見として、世界のアンフェアの大合唱を日本が受けている現実をわきまえて、日本は1万人ぐらいの派兵をするべきだと言ったが、それは世界の50ヶ国の参戦している諸国への仲間となると言うことで、戦争をアメリカのように実質的にすると言うことではない。

フランスとかイタリアと同じで良い。日本軍の場合には彼等と違い戦場では戦争をしてしまう危険性があるので、その一万人は本当の後方支援に当たるべきだ。それにしても、なぜ、インド洋での給油活動を止めてしまったのだろうか。
キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)もそうだが、なぜ、白紙にしてしまったのだろうか。いままで、こうして勉強してくると、どうしても納得がいかない。鳩山さんは何を考えているのだろうか。

今日はここまで。






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コメント一覧

1. Posted by 鶴見   2010年04月25日 12:26
4 海野さん


鶴見です。MLではお名前を良く見ていますが、実際はお久しぶりですよね(笑)

さて、ブログで自衛隊に触れられていましたので、元自衛官としての意見を、少々古い記憶だったり教育だったりしますので、もしかすると、現況とずれがあるかもしれませんが、つらつらコメントします。


1.旧日本軍と自衛隊

自衛隊は私がいた頃と戦術も変わり、テロ対策の関係から市街地戦闘訓練も盛んに行うようになりましたが(私の頃は幹部初級教育でのみ実施。それも1日だけです)いまだに、通常の演習場を使っています。実は演習場は中国の地形を模して明治〜昭和初期に整備されたものです。
その地形を現在の日本の地形に合わせて(専守防衛と考えれば)整備できないのは予算不足に過ぎないわけですが、もしかしたら、中国軍は自衛隊がいまだに中国の地形を模した演習場で訓練するのは侵略意図があると勝手に思っているかもしれません。
2. Posted by 鶴見   2010年04月25日 12:28
800字に収まらないので、コメント2として

2.一兵士としての自衛官

海兵隊との合同演習を経験した上で感じたことは、当時はベトナムを経験した軍曹がまだいましたので、彼らの実戦経験は自衛隊の陸曹にはかなり感銘を与えた記憶があります。
とは言え、逆に自衛隊の陸曹の質に対して、海兵隊員も驚いていましたので、「職業軍人」クラスは質が高いわけです。
また、一般兵士クラスも、今のような景気が悪い時期には質が高い隊員が入ってきますので上がってくるでしょうが、私がいた85-88年はバブル時期ですからけっして良いわけではなかったのです。自閉症と診断されてもおかしくないような隊員すらいました。
しかしながら、平均的な隊員は十分に機能します。(面白いのは、私が教育を担当していた陸曹候補生の号令だとうまく動かないのですが、私が号令をかけるとさくさくと機敏な動きをします。体が覚えるための、つまり、号令に対して反射的に動くための訓練を反復練習します。新隊員教育隊における教育プログラムが充実しているのではないかと思います。
また、ある程度自立的に動けるのは日本人の特徴でしょうかね? 役割分担が徹底しているアメリカ人に対して、そこがあいまいなゆえに日本人は他の役割ができてしまうのではないかと。それがひいては、独立的に戦闘を続けることができてしまうことかもしれません。
3. Posted by 鶴見   2010年04月25日 12:31
コメント3

3.兵士の自殺

私が富士学校で教育を受けていた頃も、古手の軍曹で選抜されて幹部になる者がいますが、彼らの中で期待を重圧と感じて自殺した方がいました。また、私の防衛大の先輩はメンタルヘルスの専門家として活動していますが、そうしたケアが必要になってしまったということでしょう。普通の会社と同じような気質が増えたと言うことでしょう。
日本人のメンタリティは確実に変わっている。でも、変わっていないところはどこかと突き詰めていくような調査分析が必要だと思っています。

米兵の自殺については、戦争の意義と言う部分だけではなくて、米軍の運用部分にあるような気がします。米軍では戦闘地域にいない場合はきわめてリラックスできるような環境が整っています。ベトナム戦争当時は、戦場を離れて沖縄やソウルに戻ってくると、そこは別天地です。酒があって女がいて・・・。ところが、
休暇が終われば、また、わずか5-6時間で戦場に着いてしまいます。
そのギャップが兵士を狂わせていくのではないかと。

4. Posted by 鶴見   2010年04月25日 12:33
コメント5


また、日本兵の場合は敵よりも上官が怖かったかもしれません。星の数より飯の数と言う言葉があるくらい古手の兵士が幅を利かせていたとも聞きます。案外、古い日本の戦争映画(大作ではなくて、「独立愚連隊」「兵隊やくざ」あたりです)が、当時の実態を正確に描いていたかもしれません。
だとしたら、上官から解放される喜びが戦闘の悲惨な状況よりも大きいゆえに戦争後遺症が起きにくい・・・と考えるのは飛躍が過ぎますかね?

とまあ、取り留めのない話ですが、私自身が思い当たる部分もあってコメントしました。
ご参考になれば幸いです。
5. Posted by swingby_blog   2010年04月25日 14:29
ありがとう。
今日インラインスケートの仲間と話をしましたが、最近の若い人は戦争をしても積極的には戦わないだろうと言っていました。時代の変化かもしれません。足しだ、中国を始めとしたアジアのトップは日本軍の凄まじい精神構造を知っている人がまだたくさん生きているので、日本の軍備を恐れているようです。

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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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