2010年07月30日
オバマ32
今日は待望の船だ。定員を超えてしまう応募があった。昨年からの事業だが、このイベントは私のビジネスとは関係ないのだが、人気が高いので続けることにしている。かって、青年会議所主催で、1985年に青年の船を主管させてもらえた。600人以上の日本人の若者と60人以上の外国人を海外から招聘して、2週間の研修を行った。この2週間と言う閉鎖された架空の社会を作り、そこでのシナリオを考え、若者に夢を与えた。そして、お互いに夜を徹して話し合う場を提供した。コミュニケーションの重要さを教えた。
途中、台北と香港に寄港したが、こうした研修は若者に対しては重要だ。今スウィングバイではグローバル・リーダシップ研修を大連で行っている。3泊4日だ。 これだけでも強烈だ。強烈な印象を持って教育できる最低の日数かもしれない。外国人に対する英語による研修は上海で行っている。私が行うので、目一杯行っても、月に一回しか出来ない。今期は住友化学様のために5ヶ月が埋まっている。研修は自らのチェンジだ。昨日のMatt Millerの言うDead Ideasをぶち壊すのが目的だ。日本の政治に行けるこの様な行為は気が遠くなるが、個人は変えられる。
特に日本語の世界だけで我々は生きて来ているので、世界から見ると日本人は「知恵おくれ」かもしれない。一昨日のブログで、Matt Millerが以下のように言っている。
「Rahm Emmanuelはアメリカ合衆国大統領首席補佐官だが、民主党員にひどい目に合わそうとした人々が「知恵おくれ」と彼等を呼んだので、身体障害者のグループと問題を起こした。」
これは今ままでの固定観念 conventional wisdomsに執着しているからに他ならない。彼はアメリカの大統領もそうだと言っている。だから、ましてや、我々日本人はさらに狭いこうした観念にとらわれている。このブログはそれを打破することが目的だが、最も日本人の欠点であり問題点だが、それを変えることは相当な苦痛が伴うから、一般の日本人には無理だと思う。だからここではグローバリゼーションを志した経営者を前提に講義している。
こうして書く方も大変だが、読んで理解する方も大変だ。思考の時間は書く人も読む人も同じだ。このブログを読んで、どう考えるかだ。それがなければ、このブログの中身は消化できない。日々の世界とは全く違う世界での、頭の修練だから、日々の生活へのフィードバックは当然あるはずだ。どこが変わって行くかと言うと、ものの見方が日本の報道テレビのように良いとか悪いとかの鶏みたいな判断ではなく、ものごとを深く追求する姿勢が生まれてくるはずだ。それが、トッ プレベルのグローバル人材に要求されるテクニックだ。
時々、このようなレベルまでの勉強は外国人とつきあう上で必要ではないのではないかと言う質問を受けることがあるが、そうではない。私は一般大衆の外国人を対象にはしていないからだ。今月のオバマもこの内容であれば、対象は首席補佐官だ。だからついて行くのが難しい。そうしたレベルで、ものを考えていれば、 自ずと、報道テレビの内容が物足りなくなってくるはずだ。日本人も戦前の人たちにはものを考えるそういう人たちが多くいたが、近年はあまり見かけなくなった。ここではそうした人材を100人は育成したいと考えている。
アジアにこうした日本人が100人いれば日本がアジアをリードできる。今の日本人では全くリードできない。英語が出来ても相手にされない。中国では学生が3,000万人いる。今月の12日に中国に招待されて、環境のカンファレンスに出て、講演したが、出席者は学生だった。学生だと馬鹿にしては行けない。 3,000万人からの選別された200人の学生だ。話す講師もアメリカから10人、アメリカ在住経験者が10人、発展改革委員会から10人と言う具合だっ た。いわば中国の環境のトップエリートが講義した。そういう国だ。これからはそういう国と我々は渡り合わなければならない。日本ではこうしたイベントは聞いたことがない。
つい最近まではODAと称して、この中国の環境にお金を寄付して来た。今は全く違う。ある先端の部分は日本を遥かに越えてしまったのかもしれない。気象変動ではアメリカがリードしていくのか。中国がリードしていくのかの時代になった。日本ではない。明日からはこのテーマのディベートが始まる。日本人はこのディベートに対してどう対応していくべきだろうか。このブログの読者はそれを考えることが期待されている。そうしなければ、本当に日本は取り残されて行く。
世界のリーダーの仲間には日本人100人が入って行ければ良い。10,000人は要らない。この100人で、勝負が出来る。あと10年だ。2020年までだ。それが私の会社の社名になっている。さて、オバマの最終回の本題に入って行こう。今日は勝者の発表なので、中身はない。明日からの気象変動のサワリの分もついでに紹介しておこう。
さて今日はオバマの最後だ。
勝者の発表
Winner announcement
Barack Obama is not failing. That is your verdict; but it was hardly a landslide. Votes in favour of the motion were typically between 46% and 48% of the total on each day of our debate. Votes against it were between 52% and 54%. Congratulations to Elaine Kamarck, who eloquently opposed the motion, and commiserations to David Boaz, who put up a spirited defence.
そこで、我々はこの楽しいが非科学的な演習から何を学んだのか?この結果の一つの可能な解釈はこのThe Economistの読者が幾分共和党より民主党の方が多いようだということだ。もう一つはKamarck女史はBoaz氏よりも幾分説得力があった。私は異なった結論の方向に傾いていた。:The Economistの読者は公正だ。彼等はオバマ大統領が就任して最初の一年で行ったやり方に関して数多くの懸念を持ったが、彼等は疑わしきは罰せずと言う態度を取った。
So what have we learned from this enjoyable but unscientific exercise? One possible interpretation of the results is that The Economist's readers are slightly more likely to be Democrats than Republicans. Another is that Ms Kamarck was slightly more persuasive than Mr Boaz. I'm inclined towards a different conclusion: that The Economist's readers are fair-minded. They have plenty of concerns about the way President Obama has handled his first year in office, but they are prepared to give him the benefit of the doubt.
彼は危機の時に引き継ぎ、良く分別をわきまえて行って来ている。金融システムは安定して来ているし、経済は一つ二つの回復の兆しが見えて来ている。失業率はまだひどく高く、財務状況は警戒状態である。しかし、The Economistの読者は彼のこの問題に費やす時間をもう少し与えようとしている。我々の読者の多くは又単に、彼の外見が好きだ。彼等自身が思慮深く、 理性的なタイプなので、ホワイトハウスに於ける思慮深く、理性的な男であることを評価している。
He took over at a time of crisis and has dealt with it reasonably well. The financial system has stabilised and the economy is showing one or two signs of recovery. Unemployment is still horribly high and the fiscal situation is alarming, but The Economist's readers are willing to give him a bit more time to address these problems. Many of our readers also simply like the cut of his jib. Being thoughtful, rational types themselves, they appreciate having a thoughtful, rational man in the White House.
とは言うものの、我々の読者のほぼ半分の投票者はオバマ氏が失敗していると思っている。それは彼のしている仕事を否定しているアメリカ人の比率と同じ数である。我々は彼が第二年度をうまくやることを期待するが、彼は余分な仕事を取り除くことだろう。
That said, nearly half of our readers who voted think Mr Obama is failing. That is about the same as the proportion of Americans who disapprove of the job he is doing. We hope he has a better second year, but he will have his work cut out.
私は我々のすばらしい論客、Boaz氏、Kamarck女史、われわれの優れた論客Nicole Gelinas, Matthew Yglesias, Reihan Salam、Matt Millerと意見を寄せる努力をしてくれた数百人の読者に感謝して、結論としたい。
I'd like to conclude by thanking our splendid debaters, Mr Boaz and Ms Kamarck, our excellent guests, Nicole Gelinas, Matthew Yglesias, Reihan Salam and Matt Miller, and the hundreds of readers who took the trouble to post their views.
中国とアメリカ
中国は気象変動との戦いで、アメリカよりリーダーシップを示そうとしている。
China and the US
This house believes that China is showing more leadership than America in the fight against climate change
このディベートについて
About this debate
中国とアメリカは気象変動は取り組む必要があることに合意している。しかし、彼等は極めて異なって、進行している。中国は半資本主義経済と命令と統制の政治リーダーシップが結合していて、選択しさえすれば、ソーラーパネルの設置を命令することが出来る。
China and America agree that climate change needs to be tackled. But they are proceeding very differently. China combines a semi-capitalist economy with a command-and-control political leadership that can order solar panels to be installed when it chooses to.
そして、実際に、中国はエネルギーに対して、クリーン電力を加えることを大胆に進展させて来ている。しかし、また、世界最大の温室効果ガス排出国でもある。 現在の傾向ではこの排出ガスは2020年もしくは2030年まで増大し続ける。それはクリーン電力と並んで、汚れた電力を増加し続ける。
And indeed China has made ambitious strides in adding clean power to its mix. But it also is the world's biggest greenhouse-gas emitter, and on current trends is set to go on growing its emissions until 2020 or 2030, as it continues to add dirty power alongside its clean power.
対照的にアメリカは2005年に排出ガスはピークを迎え、キャップ・アンド・トレードの法制化の最中である。
キャップ・アンド・トレード:京都議定書では、附属書I各国毎に削減目標を定め、排出権取引を認めているが、個々の主体(工場等)間の排出権取引ではキャップアンドトレードとベースライン クレジットというふたつの方式がある。キャップアンドトレードは、政府が温室効果ガスの総排出量(総排出枠)を定め、それを個々の主体に排出枠として配分し、個々の主体間の排出枠の一 部の移転(または獲得)を認める制度のこと。
これに対してベースラインクレジットは個々の主体に対しての排出枠というものが設定されていない。温室効果ガスの排出削減プロジェクト等を実施し、プロジェクトがなかった場合に比べた温室効果ガスの排出削減量をクレジットとして認定し、このクレジットを取引する方式である。
イギリスでは政府と産業界の議論の末に2002年4月から「キャップ・アンド・トレード」方式に基づく「気候変動税」を導入した。これは政府が決めた各企業の排出削減量(キャップ)に対し、目標を達成できたら税の8割を減免し、さらにあまった分を売る(トレード)ことができるというものである。日本では、2003 年7月に39社が参加して「排出量取引試行」 が始まり、自主削減目標を設定する「キャップ・ アンド・トレード」参加企業が34社に上った。http://www.eic.or.jp /ecoterm/?act=view&serial=614
京都議定書の詳細については2009年11月の私のブログに詳細な内容が書いてあるので、関心があれば参照のこと。
しかし、アメリカのしばしば機能不全に陥る、政治システムはこの法案の通過が今年かいつになるのか保証するにはほど遠いことを意味する。そして、 George W.BushからBarak Obamaへの変遷がコペンハーゲンでの包括的な取引の背後の必要とされる弾みを十分に付けてはいない。
America, by contrast, saw its emissions peak in 2005, and has cap-and-trade legislation in the pipeline. But America's often dysfunctional political system means that passage remains far from guaranteed, this year or any year. And the transition from George W. Bush to Barack Obama was not enough to put the needed momentum behind a comprehensive deal in Copenhagen.
オバマ氏は何かをすることが必要だと信じているのかもしれない。しかし、彼の国の人々は本当に準備してるのか、しようとしているのか、出来るのか?世界で二つの最大の温室効果ガス排出国であるアメリカか中国のどっちが本当に最も世界のリーダーシップを示そうとしているのか?
Mr Obama may believe in the need to do something, but is the rest of his country really ready, willing and able? Which of the world's two biggest greenhouse-gas-emitting countries, China or America, is really showing the most global leadership?
Background reading
America, China and climate change: Let's agree to agree
Economics focus: Green with envy
Not-so-wonderful Copenhagen
A special report on China and America: The price of cleanliness
Global-warming diplomacy: Bangkok blues
Cap-and-trade: The road to 60
Climate change and the UN: Nice words
Climate change talks: Wanted: fresh air
このディベートはThe Economistの2009年11月のものなので、日米の環境問題を取り扱う上では最新の議論が出来ると考えてよい。この一年間で、この議論に関連した大きな変化は世界にない。今日はこれまで。今日は6時から経営会議だ。ではまた明日。