2010年08月31日

チャイナモデル5

ケンブリッジ大学政治学並びに国際研究シニアフェローのHalper氏の続きだ。彼の昨日の数字はちょっと古い様だったので,訂正したが,彼の言っていることは至極真っ当だ。彼の言うことを良く吟味してほしい。中国の政治制度を第三世界に輸出していることは目から鱗だ。

そうしたことを通じて,彼等は世界の資源を手に入れている。かっての帝国主義による侵略は今は出来ない。その代替手段として,こうした一党独裁制度を輸出している。彼はチャイナモデルと言う言葉を使うことを避けているようだが,それがチャイナモデルだ。一党独裁と情報統制の「金の盾」は第三世界にとっては統治の道具としていは民主主義よりも手っ取り早い。なるほど。

では始めよう。


共産党が国家公認の権力の唯一の根源であり、「抑制と均衡(政治の健全な運営をはかるための原理)」「司法の独立」「陛下に忠実な野党」「透明性」のような 考え方が大きく欠落している。多くの外国企業にとって貿易は悪夢だ。;中国と西側のビジネスの実務は非常に異なっていて、個人的は権利の侵害、知的財産の盗用、ー 年間で2,000億ドルのビジネスー そして企業機密の国家で許可されている盗用などはすべて良くあることだ。

The Communist Party remains the sole source of state-sanctioned power, and notions such as “checks and balances”, “an independent judiciary”, “a loyal opposition” and “transparency” are largely absent. Commerce for many foreign companies is a nightmare; Chinese and western business practices are very different, with privacy violations, intellectual property theft—a $200 billion per year business—and the state-sanctioned theft of corporate secrets all too common.

その上、これらのことが中国の社会の問題と断層線を強調しているとしても,中国の市場独裁システムは14億人の膨大な大多数に認められている。さらに、貿易の雇用、住宅、安定性、堅実に,開かれたみんなの広場のために生活の水準を改善することは世界の50億人の大多数に等しく認められている。彼等は他のこと (中国の独裁的な体制)を殆ど知らない。

Yet, if these accent the problems and faultlines in Chinese society, China’s market-authoritarian system is accepted by the vast majority of its 1.4 billion people. Moreover, trading employment, housing, stability and a steadily improving quality of life for an open public square is equally acceptable to a majority of the world’s 5 billion people, who have known little else.

この政府はその商業関係を拡張し、政治的な関係がついて来ていて,中国は今や,アフリカや,中央アジア、ラテンアメリカの多くの国々での最大の投資家である。中国の現地での指導して来た支配による一つの効果はその市場独裁主義的な事例が200年以上にわたって,西側の発展を特徴づけて来た統治の原則を横にどけて来ているということだ。

As the government has expanded its commercial relations, political relations have followed, with China now the largest investor in Africa and many parts of Central Asia and Latin America. One local effect of China’s mentoring embrace is that its market-authoritarian example marginalises the principles of governance that have informed western progress for over 200 years.

人々の関係で言えば,中国の市場独裁主義的な事例を複製することを賞賛し,小さな方法でさえも、それを求めてきた政府によって統治された人々は,経験して来た民主主義の市民社会の期待を遠ざけ,ー たぶん、なかったことにしてしまうことを意味する。

In people terms, it means that for those ruled by governments that admire and, even in small ways, seek to replicate China’s market-authoritarian example, the prospects of experiencing democratic civil society are remote—perhaps non-existent.

こうして、ポイントは「中国が西側諸国より良い開発モデルを提供している」ことではない。モデルの話はポイントからはずれている。むしろ、中国は国際開発, 経済,コミュニティの景観を静かにつくり直している。ー そして、政治の延長によってー 次第に、NATOブロックを飛び越えて,西側の影響と価値観の投影を制限するやり方で。

事実上、それ(そのやり方)は深く、憂慮すべきプロセスのための最高の触媒である。:中国は西側諸国の考え方を退けようとしている。

Thus the point is not that “China offers a better development model than the West”. Talk of models misses the point. Rather, China is quietly remaking the landscape of international development, economics and community—and by extension politics—in ways that progressively limit the projection of western influence and values beyond the NATO bloc. It is, in effect, catalyst-in-chief for a profound and disturbing process: China is shrinking the idea of the West.

以上で,Halper氏の提議者のオープニング・リマークは終わった。なるほど。彼が意図しているのはチャイナモデルと言う開発モデルではなく,政治思想そ のものだと言うことだ。彼等の政治思想がアフリカ,ラテンアメリカ,アジアを支配しようとしていることを警告している。なかなか説得力がある文章だった。 明日はカリフォルニア大学 グローバル紛争と協調機関 理事のShirk女史だ。








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コメント一覧

1. Posted by 柳田   2010年08月31日 16:10
海野様

北京の柳田です。
興味深いテーマを取り上げて頂き、大変ありがとうございます。

さて、今まで世界を席巻してきた「ワシントンコンセンサス」に対して、「北京コンセンサス」という対立軸を設定するやり方はわかりやすいと言えばわかりやすいのですが、私は「他の国にコピーすることができない「チャイナモデル」は「モデル」ではない」というHalper氏の意見に賛成です。

中国は自国の発展段階や国情に合わせて、政治や経済の運営を行ってきた結果、Halper氏がおっしゃる「市場独裁主義的」な体制になったわけであって、中国自身、この体制が100%他の国で機能するとは思っていませんし、また、そうしようとも思っていないように感じます。

中国は常々、「それぞれの国にはその国の発展段階や国情に合った、政治・経済体制がある」と言っています。このため、中国は先進国の民主主義や西洋式資本主義も否定しませんし、発展途上国がその国の発展段階や国情に合わせて、中国のやり方を一部採用する方が良いならば、そうすれば良いと考えているように思います。また、中国の外交政策は、クーデターで成立した軍事政権であろうが何であろうが、反中政権でない限り、その国の現政権を尊重し支持します。
2. Posted by 柳田   2010年08月31日 16:11
(続き)

その辺が、それぞれの国の発展段階や国情を全く無視して、世界一律に民主主義と西洋式資本主義を押し付けてきたアメリカと決定的に違うところだと思います。その押し付けがましくないところも、アフリカ諸国を始めとする第三世界の国々から圧倒的な支持を得ている大きな理由の1つなのではないでしょうか。

こんな理由から私は、中国が世界に広めようとしているのは、「市場独裁主義的」な体制ではなくて、「世界各国がそれぞれの国の発展段階や国情に合った政治・経済体制を、外国から強制されることなく自分で決める」という、従来の押し付けがましい「アメリカモデル」とは次元の違う、新しいコンセプトなのではないか、と思います。

以上、僭越ながら私見を述べさせて頂きました。この議論がどのような方向に進むのか、明日以降のブログも楽しみにしております。

柳田

3. Posted by swingby_blog   2010年08月31日 16:43
柳田さん
さすがですね。私もそう思います。本文の中にend of arroganceと言う言葉がありましたが,確かにアメリカの強引さはイラクでもアフガニスタンでも同じですね。日本にたしては違うように思いますが、気のせいでしょうか。

中国の第三世界への対応は相当の信頼を得て来ているようです。今年のメキシコのCOP16がどうなるんでしょうか。見物ですね。うんの

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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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