2010年10月06日

オバマとビジネス1

昨日は愚妻につきあって,8時半頃まで,会社に残っていた。四六時中、会社のことを考えているので,何時までいても同じだが,各社員の退社時間が良くわかった。みんな一生懸命だ。会社の場所を変更して,無駄なスペースを排除したことによって,コミュニケーションが良くなった。ただ問題なのは,12時間近くも会社にいると,外に出る時間があったにしても,何時間もパソコンを見ているので,目が見えなくなってしまう。全く見えないのではないが,だんだんにじんで来てしまう。本来であれば,3時間毎に2時間は目を休ませないと,回復しない。歳とともに,確かに眼は年ごとに悪くなってしまう。これはどうしようもない。

年末に自宅をこの会社のビルに引っ越してくると愚妻は言うのだが,うまく自分を管理しないと,社員に迷惑をかけてしまう。四六時中、会社に社長がいたのではたまらないだろう。新しい自宅では私の机がないそうで,会社の机を使うことになっているようだ。と言うことは朝4時から出社して、夜9時までいることになり,社員には良く言っておかないと,たまらないだろう。間違いなく私自身は極めて効率がいいが。

習慣とは恐ろしいもので,どんなに忙しくても,どんなに遅く寝ても,朝早く起きて,このブログは続けている。それも不思議だ。朝起きる習慣のためかもしれない。この朝の3時間が私にとっての, 頭の体操であり,精神修養だ。この習慣がないと,きっと、物事を何でも単純に考えてしまうかもしれない。思考の選択肢を開拓するにはこのブログが最適なように思う。

もともと、白人の仲間に入っても遜色のない日本人の育成で始めたのだが,やって行くうちに,知識の幅を広げるだけでなく,思考のやり方も変えて行かないと行けないことを理解したし,英語の文章の言い回しが,日本語とは全く違うこともわかって来た。構文の関係で,日本人には理解しづらい。さらに、こうしたディベートが欧米人のトップの人材を対象としたものにしていることで,さらに、内容が,難解になっている。

今日からはThe Debateの「Obama and business」だ。今までは翻訳した日本語が先で,元の英語があとだったが,今日からは英語を勉強すると言う意味で,英語を先にして、その翻訳文をあとから掲載することにした。英語もしっかり勉強してほしい。今までとは違い,英語を先に持って来たので,英語と日本語との訳の内容が気になるようになるはずだ。また、私の訳文が行き届かないところがあったら、指摘してほしい。

扱っている内容が内容だけに,内容もさることながら,英語自体も難しい。そういう意味で,英語を先に掲載することにした。

さて、このディベートは2010年9月27日から10月4日までThe Economistで行ったもので,提議は以下の通りだ。

Obama and business オバマとビジネス

This house believes that the Obama administration has been good for business.

提議はオバマ政権はビジネスにとって良かったかである。

Background reading

Barack Obama and business: The wages of negligence
Barack Obama and corporate America: No love lost
Barack Obama's economic proposals: Just don't call it stimulus
Corporate reform in America: A chill in the boardroom
Government and business in America: Piling on
Government v market in America: The visible hand

Opening statements オープニングの意見

William George
Defending the motion 提議の擁護
William George  
Professor of Management Practice, Harvard Business School ハーバードビジネススクールの経営実務の教授

As America gears up for mid-term congressional elections, politicians and business leaders have been quick to criticise Barack Obama's economic initiatives. To demonstrate that these criticisms are patently unfair, take an objective look at his record.

アメリカは中間議会選挙にむけて準備を整えているので,政治家やビジネスリーダーはバラックオバマの経済の取り組みを素早く批判して来ている。こうした批判が明白にアンフェアだと言うことを証明するために彼の記録を客観的に見てみよう。
Nicole Gelinas
Against the motion 提議に反対
Nicole Gelinas
 


Searle Freedom Trust Fellow, Manhattan Institute マンハッタン機関のシアール自由信託のフェロー

For American business to thrive, it needs the federal government to create a safe, predictable environment for investment capital. Barack Obama has not created a safe, predictable environment for investment capital. Therefore, he has been bad for business.

アメリカ経済が成長するためには投資資本のために安全で、予測できる環境を連邦政府が作る必要がある。バラックオバマは投資資本のための安全で,予測できる環境を作って来ていない。それゆえ、彼はビジネスにとって悪かった。


The Economistのアメリカビジネス編集長のBishop氏だ。
Matthew  Bishop
The moderator's opening remarks 司会者のオープニング・リマーク
Sep 27th 2010 | Matthew Bishop  

Mention President Barack Obama to an American business man or woman nowadays, and you will be listening for a long time. If she happens to be a Republican, the angry rant will certainly include the words higher taxes, health care, cap and trade and uncertainty—and quite likely big government and socialist, too.

当節、アメリカ人のビジネスマンもしはウーマンにバラックオバマ大統領について話をしよう。そして、あなたは長い間聞いているだろう。もし彼女が共和党であったならば,怒りのことばとして,確かに,次のように出てくるだろう。高い税金,健康医療、キャップアンドトレード、そして、(経済の)不安定さ,ーそして、おそらく、大きな政府そして社会主義も。

If he is a Democrat, the monologue will probably begin with a sigh, and a regretful shake of the head, before starting with "I voted for him, but" and ending with "he just doesn't get business".

もし彼が民主党であったならば,独り言が多分、ため息で始まり、頭を残念そうに振って,「私は彼に投票したが,」と話し始める前に言ってこう締めくくるだろう。「彼は全くビジネスを知らない。」

Is this negativity fair?  Our debate looks at the question from the opposite perspective to that currently to be found in corporate America, by proposing that, in fact, "The Obama administration has been good for business".

この消極的な言い方はフェアか?我々のディベートは実のところ,「オバマ政権がビジネスのために良くやって来た。」ことを提案することによって,アメリカの実業界の中で,現在見出されている、それにたいする反対の見地からこの質問を見ている。

Our proposer is Bill George, a former CEO of Medtronic, a big medical technology company, and now a member of two of corporate America's most important boards of directors, Goldman Sachs and Exxon Mobil. Mr George, who also teaches at Harvard and has written an inspirational book of career advice, "True North", argues that the main reason business is currently so unhappy with the president is the policies he has had to pursue to tackle the mess he inherited from his Republican predecessor.

我 々の提議者はBill Georgeで、元メドトロニックのCEOで、そこは巨大な医薬技術企業で,そして、現在はアメリカの実業界で最も重要なGoldman SachsとExxon Mobilの2つの理事会のボードメンバーである。George氏はまた、ハーバードで教えていて,キャリアを助言するインスピレーションを与える本 「True North」を書いていて,ビジネスが現在、あまりに大統領とうまく行っていない主な理由は彼の共和党の前任者から引き継いだ混乱に取り組もうとしなければならない政策であると主張している。

"In his first two years President Obama had to deal with a highly recalcitrant Congress, with Republicans trying to block and undermine every initiative, and with Democrats trying to shift to a larger public sector with a heavily regulated private sector.

「彼の最初の2年間の中で,オバマ大統領はかなり手に終えない議会を扱わねばならなかった。共和党員はすべての主導権を妨害し,弱体化させようとし,民主党員とともに,極めて規制された民間部門とともに,より大きな公的部門に移ろうとしている。

自動車業界の国有化のことを言っている。注

Navigating that chasm has not been easy, but he has done it extremely skillfully," argues Mr George. "This objective examination of President Obama's efforts to rebuild the economy can only lead to the conclusion that he has been very good indeed for business."

亀裂が容易ではなかったところをなんとか進みながら,彼は極めて巧みに成し遂げて来た。」とGeorge氏は主張する。「オバマ大統領の経済を再構築するための努力の客観的なテストは彼が本当にビジネスのために大変良くやって来たと言う結論に導くことが出来るかどうかだけである。」

Opposing Mr George is Nicole Gelinas of the Manhattan Institute. The author of the book, "After The Fall: Saving Capitalism From Wall Street—and Washington", Ms Gelinas takes a different line of attack from many of President Obama's business critics, who see him as an inveterate activist big-government expansionist.

George 氏に反対するのはマンハッタン機関のNicole Gelinasである。「崩壊のあとで。:ウォ−ルストリートから資本主義を救う。ー そしてワシントン」の本の著者であるGelinas女史はオバマ大統領の数多くのビジネスの批判者達からの攻撃の異なった考え方をとってきて、彼等はオバマを根っからの実践主義者で,巨大政府拡張論者だと見ている。

On the contrary, she argues, President Obama's main failing is that he has not been activist enough in reforming a Wall Street that had abandoned real capitalism in favour of a sort of "state capitalism" in which the rewards of risk-taking were privatised but the losses were socialised.

反対に、オバマ大統領の主な失敗はウォールストリートを改革するのに十分な実践主義者ではなかったと言うことであり,「国家資本主義」の類いの見地から本当の資本主義を放棄した。それはリスクを取る褒賞は民営化であり,損失は国営化であったと彼女は主張する。

国家資本主義(state capitalism):学者や立場によって、異なった色々な意味で使用されている。通常は国家が資本主義に介入し管理するもの(修正資本主義)、国家が資本主義を推進するもの(開発独裁など)などを指す。ja.wikipedia.org/wiki/国家資本主義

President Obama has failed to make the big reforms needed to end the culture of "too big to fail", she argues. Wall Streeters are more likely to agree with her final criticism, however: "In just three short months, Washington is set to increase capital gains and dividends taxes, further punishing investors who choose to put their money into productive companies rather than into the still-overvalued, government-favoured housing market."

オ バマ大統領は「倒産させるにはあまりに多きすぎる」と言う文化 を終わらせるために必要であった大きな改革をすることに失敗して来たと彼女は主張する。ウォールストリートの人たちは彼女の究極の批判に大方賛成であるが,しかしながら,「たった3ヶ月の短い期間の中で,ワシントンは資本収益と配当に対する税金の増額を決め、まだ過大評価だが、政府が優遇した住宅市場よりも,生産的な企業に金を入れることを選んだ投資家をよりひどい目にあわせた。」

What do you think? Let the debate begin!

あなたはどう思うか。ディベートを始めよう!

The Economistのアメリカビジネス編集長のBishop氏はこれでおわり。英語の訳をあとにすると,やっぱり読み方が変わってくる。英語を読んで,訳を追ってしまう。それはそれでいいことかもしれない。順序を変えるだけで,こんなにも変わるものかと自ら,不思議に思っている。英語の訳よりも内容を考えてほしいのが,本意なので,そこのところは十分に注意してほしい。ここでは自動車産業の国有化を「国家資本主義」と言って,サブプライム危機に対する優遇措置を「社会主義」と称している。オバマはビジネスを知らないとまで言っている。面白い。今日はこれまで。



 



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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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