2010年12月26日

オバマとビジネス68

昨日のグローバリゼーション研究会は参加者で、部屋がいっぱいになってしまった。申し込んでいない人たちが数人にいたので、あわや入れなかった。次回からは是非申し込んでから来てほしい。会社の会議室はどんなに頑張っても10人までなので、それを越えるとなると、隣のパールホテルを借りないとできなくなってしまう。次月からよろしく。

研究会に利重がドコモのGlaxy Tabを買って持って来た。私も買ったばかりだが、重さを考えるとこの方がiPadよりも使える。New York Timesとか、Time、USA Todayが手に入るし、オフラインで読めるのが良い。しかも只なのには驚いた。Kindleの場合は毎月27ドル払っている。なぜ只なのか理由はわからない。この端末はAmazon Kindleで買った書物だけは見ることができる。問題はドコモがSkypeを使えないようにしていることだ。

iPhoneでは使えるのだが。ただ、ネッ トを直接見ることはできるが、iPadのようにパソコンの画面の大きさで見ることはできない。スマートフォン版に変換すれば、問題がない。Kindleは 英辞郎が自動的に表示されるので、便利だが、地下鉄の中では目が疲れてしまう。結局、毎日、Mac Air、Kindle、Galaxy Tabの3台を持ってあるっている。これに電子辞書があるからかなり重い。それにニュース専用のiPodもある。電子画面ばかり見ていれば、目が見えなくなるのも当たり前かもしれない。

今年も後1週間となった。今年の年末年始は某社の海外のトップ研修が1月の13日からあるので、そのための準備だ。欧米から外国人が3泊4日で、上海に来る。彼等に日本企業のあるべきグローバリゼーションと忠誠心、日本人のものの考え方と中国人との違い、勿論、アメリカ人との違いを教える。この10人は欧米アジアから集まるので、文化の背景が全く違う。そうした認識の違いを相互に議論しながら、日本企業に勤めることの良さと課題を議論する。どう考えても、一致点はなさそうだが、彼等が日本企業に勤めることの良さを理解し、日本企業のグローバリゼーションに貢献できるように研修する。そのために、この年末年始は準備をする。私にとっては楽しいことだし、こうした課題を与えてくれた某社に感謝している。この外国人研修も今年で、3回目だ。

今日の読者のコメントは以前の「オバマとビジネス」を参照しないと理解できないので、最初の頃のGenias女史の意見を参照するので少し長い。それと、この読者は大分気取った人で、自分を衒っているので、理解するのが難しい。こういう人に限って頭が良くない。今日は日曜日なので、過去の復習のつもりで読んでほしい。

では始めよう。

Marcus Aquinas wrote:

"The lady doth protest too much, methinks." I am not a financial whiz-kid (nor am I a literary scholar and apologize if I have misquoted the Bard), but somewhat more than 2.2 trillion shares have changed hands on the NYSE with a gain of about 30.5% (using the DJIA) since Mr. Obama took office last year. This hardly sounds like an environment starving for capital or reluctant to invest due to unpredictability.

「このご婦人はあまりに異議を言い過ぎだと私は考える。」私は財務の神童ではない。(私は文学の学者ではないし、私が吟遊詩人を間違って引用しているのであれば,謝罪する。)しかし、ちょっとした2.2兆株以上の取引がNYSEで行われ、オバマが昨年就任して以来、(DJIAによれば)30.5%の利益があっ た。このことは資本に飢えているとか、予測できないから投資ができないというような環境には到底思えない。

NYSE:New York Stock Exchange ニューヨーク証券取引所
DJIA:Dow Jones Industrial Average ダウジョーンズ工業株30種平均株価

One might also consider that home buyers typically "borrow large sums of money in order to buy a house," and that money would not be available for investment, regardless of who is in office. That is the essential nature of a mortgage and the nature of opportunity cost.

自宅を買う人は通常は「家を買うためにたくさんの金を借り」,そして、誰が政権を取っていようとお金は投資のためには入手出来ないだろうを人はまた考えるかもしれない。そのことは担保ローン本質的な性格であり,そして機会費用の性格である。

この文章はGarinas女史のこの「オバマとビジネス」の冒頭の発言を思い起こさないと、全く理解できないし、それでも、しばらく考えないとなんだかわからない。この読者は自分を衒っているとしか考えられない。以下長くなるが説明しよう。まずは機会費用から。ここで機会費用をビジネス投資と比較している対象は住宅への貸出のこと。

機会費用:ある行動を選択することで失われる、他の選択肢を選んでいたら得られたであろう利益のこと。実際に会計上の費用の発生や金銭支出を伴わずに発生する経済学上の費用のこと。これは、利用することのできる資源が有限であるために生じる。例えば、大学で勉強するということは、大学に授業料を納めなければならないというだけでなく、その間、正社員として働くことを諦めることでもある。このとき、もし大学に通わずに働いていたならば得られたであろう収入が、 機会費用にあたる。また、現金を所有するということは、それを運用することで得られる利益という機会費用を諦めていることになる。m-words.jp/w/E6A99FE4BC9AE8B2BBE794A8.html

ここの文章はGelinas女史の10月9日の「オバマとビジネス4」を読み直さないと理解できない。ここに一部をもう一度掲載しておく。

以下引用。

This strategy of supporting house prices at all costs harms business. HAMP, by extending borrowers' loan terms for a few more years, keeps people in houses that they cannot afford. Because programmes such as HAMP have discouraged homeowners from cutting their losses, the homeowners are reluctant to move to find a new job, meaning business now has a less efficient labour pool.

費用が幾らかかっても住宅価格を維持する戦略はビジネスに悪影響を与えている。HAMPはさらに数年の間、借り手の借り入れ期間を延長することによって、余 裕のない人々に,家を維持させてしまう。と言うのはHAMPのようなプログラムが彼等の損失の削減を思いとどまらせてしまい,住宅の所有者に新しい職を見 つける気持ちをそいでしまい,ビジネスはいまやあまり効率的でない労働のプールを持つことを意味する。(この最後の行は誤訳していたので、10月の訳を訂正した。)

New buyers, too, must continue to borrow large sums of money to buy a house, so they have less capital to invest in more productive areas of the economy via the stockmarket. Similarly, the government, by encouraging investors to lend too much of their scarce capital to the mortgage market, starves other industries of necessary financing.

新しい購入者もまた家を買うために多額の金を借り続けなければならない。だから、彼等は株式市場を通じて,経済のより生産的な領域に投資するための資本がより少なくなっている。同様に政府は投資家に住宅ローン市場へ彼等の乏しい資本をあまりに多くを貸すことを奨励したので、他の産業が必要な財源に窮している。

The Obama administration's approach to financial services companies also harms business. Lenders to large or complex financial services firms have a reasonable expectation that in a crisis, the government will rescue them. Because of this implicit guarantee, large banks can borrow too much, too cheaply—and thus compete with the rest of the economy rather than supporting it.

オバマ政権の金融サービス企業に対するアプローチはまた、ビジネスに悪影響を与えている。大規模もしくは複雑な金融サービス企業に対しての貸し手は危機に際しては政府が彼等を救うであろうと言う合理的な期待を持っている。この暗黙の保証があるので,大きな銀行はあまりに多くの金を,あまりにたやすく、借りることができ,ー そして他の業界を支援するどころか、競争している。

以上が引用だ。


と言うことはここでの読者は皮肉を言っていることがわかる。金を住宅の購入のために借りることは「担保ローン本質的な性格」と言っているが、政府がそういう借り入れに積極的な対応をしたことを揶揄して言っているのであって、また、後半の企業がお金を借りることができないと言うところで「機会費用の性格」と言っているのは住宅の貸出を優先してしまったので、企業の貸す金が回らないと言うことを言っている。回りくどすぎて、この「オバマとビジネス」を最初から読み直さないと、ここだけよく読んでもわからない。さて、続きを見てみよう。

"[L]arge banks can borrow too much, too cheaply" is not a workable argument. Banks and other entities do not borrow for the sake of borrowing. If they can borrow cheaply, they can also lend cheaply. One would think that this is not a problem for anyone other than a lender who wants to see a larger return. A larger return for lenders would equal greater costs for borrowers, which costs would inevitably be passed along to consumers in the form of higher prices, which reduces demand, and which (I believe) is characteristic of a recession. If I am following her reasoning, then, cheap capital is bad for business and expensive capital is good for business?

「大 きな銀行はあまりにたくさん、あまりに安く借りることができる」と言うことは有効な議論ではない。銀行とその他の事業体は借金するためにお金を借りない。 彼等が安く借りることができるなら,彼等はまた、安く貸すことができる。大きな利益をあてにしている貸し手こそ問題であると思うだろう。貸し手のための大 きな利益は借り手にとってのより大きな費用に他ならない。その費用は必然的に,より高い価格と言う形で,消費者に回って行くことになり,それは需要を減ら し,そして、(私の信じるところによれば)それは景気後退の典型である。もし私が彼女の理由付けに従うのであれば,安く手に入る資本はビジネスにとってマ イナスで,高いコストがかかる資本はビジネスにとってプラスなのか?

この彼の全般の意見は全くでたらめだが、最後のところは10月5日の「オバマとビジネス5」の部分を引用しないとわからない。

以下引用文。

The Federal Reserve's policy of 0% interest rates also harms businesses. If you are thinking of investing in a toll road or a factory, you have no idea what it is worth. Because the government has juiced up the value of assets by allowing financial services firms to borrow nearly for free, nobody has any idea what anything is worth.

連邦準備制度理事会の金利0%の政策はまた、企業に害を与えている。もしあなたが有料道路もしくは工場に投資を考えているとするならばあなたは何に価値があるのか全くわからない。と言うのは政府は金融サービス企業が殆どただで,借りられるようにしていて、資産の価値を増強しているので,何に価値があるのか誰もわからない。(10月の訳を手直しした。)

A conservative business person, in such an environment, simply waits—but investors and customers will not let business wait forever. Thus more business managers succumb to the government's temptation: to borrow and buy something too dearly, contributing to the problem.

保守的なビジ ネスマンはそうした環境に於いて,ただ待っているー しかし、投資家や顧客はいつまでも企業に待たさせはしないだろう。それ故に,より多くの企業のマネー ジャーたちは政府の誘惑に負けてしまう。:あまりに大きな犠牲を払って金を借り,ものを買ってこの問題に貢献してしまう。

以上が引用。

彼が言うのは彼女はここでは安く資本が手に入ることが問題だと言っている。だから、彼はそれはおかしいと指摘している。

では続けよう。

Ms. Gelinas also misunderstands the fundamental nature of our federal system of government. The national government does not control state and local governments. It might in a unitary system, but not our federal one. Just as Mr. Obama cannot control the Fed, he cannot not control the budgets of state and local governments, so the blame for this should not be laid at his doorstep.

Gelinas 女史はまた、我々の政府の連邦制度の基本的な本質を誤解している。国家は州とか地方自治体を管理しない。それは中央集権制ではそうかもしれないが,我々の連邦制度ではそうではない。ちょうど、オバマ氏が連邦準備制度理事会を管理出来ないように、彼は州と地方自治体の予算を管理することは出来ないので、これに対しての責任を彼のせいにするべきではない。

ここも同じ10月5日の「オバマとビジネス5」の部分を引用しないとわからないので以下引用しよう。

以下引用。

State and local governments have hampered the recovery in another way: they have spent far too much on public-sector labour costs, education and medical care at the expense of infrastructure investment. The federal government did not use its stimulus funding to encourage them to correct this imbalance. As the nation's infrastructure continues to deteriorate further, then, as all levels of government devote their finite resources to entitlements and public-sector benefits, private-sector businesses will become less productive.

州政府と地方自治体はもう一つの方法で回復を妨害して来た。:彼らはインフラ投資の費用で,公共部門の人件費、教育、医療にあまりの多くの金を使って来た。 連邦政府はその景気刺激の財源をこの不均衡を是正させるために使用しなかった。国家のインフラがさらに低下し続けているので、それゆえ、政府のすべてのレベルが彼らの限られた資源をエンタイトルメントと公的部門の給付に支給するので,民間部門の企業はあまり生産的にはならないだろう。

以上が引用だ。

In closing (and perhaps I am misreading), but I believe Ms. Gelinas takes "business" to mean that which attracts capital, which is not the proposer's meaning. The opposition thereby equivocates and fails.

終わりに(そして、多分、私は誤った方向に導いているが)、しかしGelinas女史が「ビジネス」は資本を引きつけることを意味するとしていると私は信じているが,それは提案者の意図ではない。そのため、この反対(の彼女の意見)は曖昧であり、失敗である。


Gelinas女史の主張の基本は以下の文章なので、その意見を否定している。

その意見は以下の通り。

For American business to thrive, it needs the federal government to create a safe, predictable environment for investment capital. Only in such a setting can capital seek the best opportunities for profit, and in doing so support promising businesses and create jobs. Barack Obama has not created a safe, predictable environment for investment capital. Therefore, he has been bad for business.

アメリカのビジネスが成功するためには投下資本のために安全で、予測できる環境を連邦政府が作る必要がある。そのような環境においてのみ,資本が利益を生み出すための最善の機会を求めることが出来るのであり,そうすることによって,見込みのあるビジネスを支援し,雇用を創造できるのである。バラックオバマは投資資本のための安全で,予測できる環境を作って来ていない。それゆえ、彼はビジネスにマイナスであった。

以上引用。

確かに曖昧だが、なぜ企業が投資をしないのかは、オバマの政策が不安定であることは間違いなさそうだ。彼女が言う、「安全で、予測できる環境」が出来ていないことも事実だ。そのために投資が伴わないから、景気が停滞し、雇用が増えないと言う論理は正しいように思う。彼の文章そのものは短絡はしているが、その意図は間違っている。以下最後の文だ。

If the statement before the house were "the Obama administration has been good for the taxpayer", many of Ms. Gelinas's points would have greater merit. But is isn't and they don't.

もし仮に、住宅政策の前の意見が「オバマ政権は納税者に対してプラスであった」というのであれば、Gelinas女史の指摘の多くはより大きな功績があっただろう。しかし、そうではなかったし、彼等もそうではなかった。

彼の意見は以上だが、この最後の文章もなんだかわからない。ここでthe hauseと言っているのは政府の住宅政策のことを言っている。彼女は10月5日の意見で、住宅ローンへの支援を否定している。先ほども引用したように、政府が支援しすぎたために、一般企業の資金が足りなくなったと言っている。ここでの意見ではここでは実際にはそうではなかったし、オバマ政権はビジネスにはプラスだと言いたいのだろう。

この人の意見は格好を付けすぎていて、 理解しにくい。dothなどと言う言葉を使うこと自体が、自らを衒っている。いずれにしても、おかげで、このテーマのGerinas女史の意見を復習できた。皆さんはついて来れただろうか。いずれにしてもいろいろな人がいるなあ。こういうものの考え方に接触できるのはこうした英語の世界だけだ。日本語の世界ではあり得ない。掲載される前にボツになってしまう。

手間がかかって大変なことだが、こういう考えの人も巻き込んで議論しようと言う欧米流のやり方は大事だ。だから私は日本的な「あうん」の問題を指摘している。多様なもの、多様な意見を受け入れる文化を我々は持つ必要がある。そうしないと、異文化は受け入れることができない。間違っているとわかってもまずは許容してから、彼を説得しようと言う文化が我々にはない。今日はひどく長くなってしまったが、今日のメッセージを斟酌してほしい。


今日はここまで。

 

 



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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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