2009年01月23日

「一人っ子政策による弊害」

「一人っ子政策は改革開放政策が始動した1979年に始まったものを言う。食糧危機が叫ばれるようになったのが原因で、政府は「一人っ子政策」を打ち出した。幾何級数的人口増に法規制を加え、この政策の効果によって現在の中国本土では少子化が進行している。しかし、ひそかに産んだ子供が戸籍外で生まれた子を黒孩子(ヘイハイズ)と呼ぶが、認められていないため学校教育や医療などの行政サービスを受けることができない。

一人っ子政策は違反すると罰金を払うことになるが、高額所得者は罰金を払うことによって第二子以降を産んでいる。このため、政府は罰金の増加(年収の3-10倍)、違反者の公表、税金や社会保障での待遇格差をつけるなど、対策の強化を検討している。男児の出産を希望する農民が多いため、妊娠時に性別検査を行い、胎児が女子の場合は中絶手術を行うケースが多発している。

小皇帝(女児の場合小公主)とも呼ばれ、それ以前の世代とは異なる価値観を持っている。甘やかされて自分で家事を行う経験も乏しい。2015年頃を境に労働力人口が減少に転じるので、中国経済へ深刻な影響を与える。新疆ウイグル地区など地方では、一人っ子政策を進めようとする行政と、それに対抗する民衆との間で、衝突が起きている。

過酷な受験競争、就職競争を経験している。仕事に対する上昇意識が強く、大手企業のホワイトカラーとして働きたがる。自分らしい生き方に憧れる傾向があり、3億いるネット社会の担い手の中心である。成長してからは父母とその両方の祖父母合計6人の老後を支えることになる。一方、依存心が強く、忍耐力がないとも言われる。」(ウィキペディア)

以上が一般的に一人っ子政策に関連した話題である.「80後」世代とよばれ、一億人を突破した.80年代生まれの両親の多くは文革世代である。文革は1966年5月の紅衛兵結成から1976年10月6日の四人組逮捕までである。そして、この10年間で、大学生が10倍になり、現在2700万人いるが、今年の卒業生は600万人で、その3割の200万人は就職出来ない.

彼らはもう何年もそうした受験戦争の中で生きて来ており、小学生の時から大学を卒業する時に全員が就職出来ないことを知っている.一方で、一人っ子だから両親祖父母からの期待が大きい.私の子供も中国人だが、中国の学校を止めて、日本の学校に転校してしまうともう中国の学校には戻れない.レベルが高すぎるからだ.だから、子供に対する様々なプレッシャーも相当のものだ.

学生時代は昔の日本のように暗記が主体で、ともかく勉強をしなければ落ちこぼれてしまう.北京大学の学生数が32,000人、精華大学も大体同じ。復旦大学の学生数は11,000人。上海交通大学は38,000人。2700万人の学生数の中で、こうしてトップエリート大学の学生数はわずかでしかない.かっての科挙試験は3000倍であったと言うが、2007年の中国の大学入試受験者数は1010万人だから、600万人が合格するとはいえ、一流大学は相当な狭き門である.入学出来る可能性はほとんどない.

一方で、甘やかされて育ったおかげで、わがまま放題、自己中心的な世代になってしまったという批判もある。「憤青」と呼ばれる「憤怒青年」もいる。彼らは超愛国的な民族青年で、台湾は中国の一部であるとか日本人に対して強硬な態度をとるべきであるとかの意見を持っている。(ウィキペディア)いわば若者の右翼集団である.

また、「2007年夏頃から、日本のマスコミやネット上で、中国でいわゆる「コスプレ」(和製英語で、アニメなどの登場人物のキャラクターに扮する行為)がブームになっているという報道が盛んに行われるようになった。この流行が燎原の火のごとく広がってしまい、中国のコスプレ大会は、中国政府主導による国家事業として行われざるを得なくなってしまった.

なぜ政府がこんな命令を出さねばならないのか。それは、中国の青少年たちがあまりに日本動漫に熱狂しているからだ。しかも2000年頃から、コスプレ現象が突然国内でも爆発的に流行し始めた。若者たちは動漫というバーチャルな世界に耽溺するだけでは飽き足らず、そのキャラクターそのものに扮装し、自己実現を図ろうとしている。」(日経ビジネスオンライン 2007年11月7日)

今中国では「憤青」のような反日運動の急先鋒から日本の漫画ファンまで今までにない中国の若者の自由な世界が出現して来た.ネット社会が出現し、中央政府も地方政府もこの流れを阻止することはできない.いくら反日を煽っても、中国の若者に日本の漫画の流行を阻止することはできない.日本語熱もこうしたところから出て来ているのは誰も予想はしていないかったことだ.

また、この一人っ子政策によって、「2040年に15億400万人でピークに達した後、人口は徐々に減少する。生産年齢人口は、実数では2025年にピークを向かえ10億1400万人となる。中国は2000年以降、高齢化社会となり、人口の高齢化が加速していく。(http://hp.vector.co.jp/authors/VA039509/BookShelves/ls/cyugokujinkou.html)このように人口抑制の弊害もこれから出てくる。こうした規制を緩和しても、都市部は農村部とは異なり、「多子多福」(子どもが多ければ、幸せも大きい)という伝統的な考え方には戻りそうもない.

「中国経済は、市場経済を導入後、目を見張るような経済成長を続け、GDPを購買力平価で換算すると(2003年)、世界の総GDPの13%を占め、日本の7%を軽く抜き去り、アメリカの21%を追う世界2位の経済大国になった。上海、江蘇省、広東省、浙江省、山東省のGDP合計は、中国全体の半分以上を占めている。その人口は約3億であり、そこでは、年所得・300万円(購買力平価で換算すると、日本の3000万円)ぐらいの中産階級が増え、厚みを増している。

20年後には、高齢化率(総人口に占める65才以上の人口)は15%に達する見込みだ。中部や西部の貧困地帯では、若者が雇用機会が多い大都市に移住し、貧しいな老人世帯が残っているという状態になるかもしれない。」(http://www.takeuchikeizai.jp/sonotaron/hitorikkoseisaku.htm)

このように見てくると、新しい若者世代の出現と高齢化社会の到来と言うことになる.いま、毎年1000万人の新規雇用を確保しなければ、中国の経済が維持出来ない.そのため、毎年8%の経済成長を維持しなければならない.一方で、高齢化社会がもうすでに始まりつつある.そのためには今の産業構造を変えなければ、高齢者の生活を維持出来ない.それが産業の高度化である一方、昨日の環境問題を解決しなければならない.果たしてそううまくいくかどうかはこの一人っ子政策による最近の若者をどうして行くのかが大きな課題の一つであるのは事実だ.

明日は「水危機」。昨日の環境・汚染問題の続きだ.昨日、大同市の桑干河が干上がっていると言う高見さんの話をしたが、これは北京の水源の話で、北の方は水がない.1950年代に「南水北調」という構想を出されてからすでに数十年間に亘って南の水を北に持って行こうと計画して来た.未だに、北は水がない.

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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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