2009年01月26日

「軍事力の増大とナショナリズムによる周辺諸国との摩擦」

「2008年10月22日、英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」がこのほど2008年世界軍事力ランキングを発表した。上位5か国は米国、フランス、ロシア、中国、英国だった。中国は4位。日本は22位。多くのランキングで中国は過大評価されるケースが多いが、隣国の軍事的脅威を誇張することで、自国の軍事予算を増やす狙いもある。」(レコードチャイナ 2008年10月23日)

日本の自衛隊の防衛予算は長い間、GDPの1%に押さえられて来た.現在は0.8% (2008)で、4兆7,797億円(2008)、自衛官:248,303 人(2008)、一方、中国はGDPでは1.8%、2008年は約6兆600億円、224万人で、予備役50万人、武装警察66万人.(ウィキペディア)このように見ると、予算も拮抗していて、日本との違いは兵隊の人数ぐらいかと思うが、実は全然違う.国を挙げて、周辺諸国だけでなく、主要な利害の対立国にたして、周到な軍備を行って来ている.中国においては軍事は最重要な国策だ.日本とは全く違う.

戦争と言うと物理的なものを想定してしまうが、そうではない.2007年6月、アメリカ国防総省にあるロバート・ゲーツ国防長官のコンピューター・システムへの不正侵入のようなサイバー攻撃もあれば、長い年月にわたって計画するスパイ活動もある。こうした中国のスパイ活動は中国の歴史のなかにその事例は数限りがない。日本人はそうしたことに対して、全くと言っていい程、鈍感だ.まさかそんなことはないと言う感じだが、中国はこの5000年以上にわたって、国内で、絶えず戦争をして来た国だ.その戦略とか戦術は国外に対しても全く同じだ.そうした事から、こうした軍事に長けている国は中国をおいてほかにない.

「米国防総省は3日、2008年度の「中国の軍事力」報告書を発表した。同報告書は中国が不透明な体制で軍事力を大幅に増強し、台湾制圧の能力を短・中距離ミサイルの1000基以上の配備で高めるほか、海軍力の強化で尖閣諸島の領有や東シナ海の権益をめぐる紛争への対処能力を高めている実態を伝えている。中国は米国本土に届く長距離核ミサイルの強化や航空母艦の開発にも着手しているという。

2007年の公表国防費は前年より19・47%増の約500億ドルだが、実際の軍事費は年間1400億ドルにも達する。自国防衛の消耗戦から遠隔の地での領有権や資源の獲得を争う戦いを遂行する能力の保持を目指す。中国の軍事力の目的として台湾攻略や米国との競合、その他の国家主権の発揚をあげ、日本との尖閣諸島の領有権紛争や東シナ海でのガス田開発をめぐる排他的経済水域(EEZ)の権益争いの軍事的解決をもその主目的の一つ。」(産経ニュース 2008.3.4)

先ほど軍事は国策と言ったが、経済の海外展開と同じように、軍事においても同様の展開をして来ている.軍事予算は実際には日本の比ではない.領土摩擦においても日本以外は軍事に依存するところが多いが、中国も同様だ.軍事力による威嚇は常套手段だ.テポドンの飛来すら確認出来ない国とは大違いだ.

「中国外務省の秦剛副報道局長は中国の国防費が20年連続で2けた台の伸びを示したことについても「中国の軍備は防御的なものだ」と指摘。「軍事的な透明性を口実に“中国脅威論”をまき散らし、中国の内政に干渉することに反対する」と批判を突っぱねた。」(産経ニュース 2008.3.4)

こう言うメッセージは中国は得意だ.中国の国家戦略として、1992年の南巡講話は経済の発展を促したが、外資の導入と相俟って、海外への輸出、資源の輸入がこの経済の発展の維持には必須だ.当然その裏腹として、軍事的な行動が世界に向けて展開されて来ている.それも物理的なミサイルのようなものばかりでなく、情報とかインターネットによる軍事行動が目立って来ている.

「米政府はサイバーセキュリティ対策に巨額の資金を投じてきたにも関わらず、その努力がほとんど認知されていない。向こう4年間における米国の最大のサイバーセキュリティ脅威は、他国の正規軍からもたらされると見ており、現時点では中国およびロシア軍が最大の脅威である。」(エンタープライズニュース 2009年01月13日)

「靖国神社はこのほど、Webサイトにサイバー攻撃が続いているとして、攻撃の状況を公開した。昨年9月から現在まで継続的にDDoS攻撃を受けており、ほとんどは中国ドメインからと見られるという。靖国神社によると、DDoS攻撃は9月3日夕に始まった。毎秒1万5000回のリクエストを受けることもあったという。攻撃は現在も続いている。」(IT Media ニュース 2005/01/06)

「DDoS攻撃:DoS攻撃がサーバなどのネットワークを構成する機器に対して攻撃を行い、サービスの提供を不能な状態にすることだが、DDoS攻撃は数千・数万のホストからの攻撃で、防御が出来ない.OS上のセキュリティホールから侵入する.」(ウィキペヂア)

こうした類いの攻撃は数限りないようだ.今まではインターネットは反日活動のように情報操作に使って来たが、インターネットの普及が3億人を超えてしまい.操作しきれなくなって来ている事は事実だが、こうしたサイバー攻撃は諜報活動と会わせて、今後減ることはない.日本は民間の銀行も含めて、金融システム、交通管制はサイバーセキュリティを前提に設計はされていない.

「1999年に中国人民解放軍の二人の空軍大佐が書いた「超限戦―グローバル化時代の戦争と戦法についての考え方」の中で「コンピューター攻撃、暗殺、爆弾テロ、麻薬密輸、生物・科学兵器、金融錯乱、宣伝・脅迫、環境破壊、メディア戦等」これまでタブーとされてきたあらゆる手段を動員して戦争を遂行することを説いている。DDoS攻撃により、航空管制システムや交通及び流通システムが機能しなくなり、電力はじめ多くのエネルギー供給が止まり、情報通信システムの機能が破壊されるなど政治・経済・社会・安全保障のシステムが機能しなくなる。」(サイバー戦に関する緊急政策提言 2002/10/30)

アメリカ軍ですら生物・化学兵器をイラク戦争で使った.クラスター爆弾禁止条約は物理的な戦争のためのものだ.日本だけでなく、サイバー戦争に対しては多くの国が無防備だ.人民解放軍はこうしたことに対して、タブーはなさそうだ.日本は「武士道」と言うのがあって、敵を背後から撃たないと言う暗黙のルールがある.これは世界でも日本だけだ.スパイ活動はするが、敵の情報は盗まないと言う正義感がある.敵の陣地に侵入するが、敵の情報は持ってこない.日本人のこうした文化は変と言えば変な国かも知れない.

「米連邦捜査局(FBI)は中国による軍事機密スパイ事件を摘発し、国防総省の分析官1人を含む計4人を逮捕した。ボーイング社の中国系元技師が関与した事件では、超大型ロケット「デルタ4型」や、スペースシャトルなど米国の宇宙航空技術に関する情報も中国に引き渡されていた。米国の軍事機密を狙った中国のスパイ活動は、事件が後を絶たない「モグラたたき」の状態となっている。」(産経ニュース 2008.2.12)

ここまで入り込むためには相当の年月をかけて来ているはずだが、そうした中国人がたくさんいる。中国の軍事設備はコピーばかりだと言われているが、一般の製品と同様に性能についてはきっと馬鹿に出来ないレベルなのだ.実際に、有人宇宙衛星が成功していると言う事は少なくとも日本の技術よりかはレベルが高いと言う事だ.そう言う認識を日本人が持っているのだろうか.つい最近まで日本は中国にODAを払っていたのは事実だ.これは日本人の価値観だ.さらにグローバルなセンスを全く持っていないと言える.

「中国は1986年3月に「863計画」と呼ぶ高度技術の総合的開発計画を決め、バイオ、宇宙、レーザー、情報、オートメーションなどの技術の外部からの取得を国家政策として決めた。産業スパイなど秘密や違法の手段でも取得する方針が決められ、実行されている。」(産経ニュース 2008.2.12)

もう20年も前からこうしたスパイ活動を国の政策として実施して来ている.1986年と言えば、中国はこの年を国際平和年と言っていた.中国の改革開放初期にあたる1986年、中国は猛烈な勢いで対外関係を発展させており、中国各都市は世界各国の都市との間に友好都市関係を築きつつあった。

「中華思想は中国を世界の中心にすえ、中国より遠方(夷狄の地)に住む民族を野蛮人とみなす。普遍性をもつ中央の文明を夷狄の地で教化していくことをミッションとしているので、外交も積極的である。中華思想は民族的な問題は特に気にしない。中国のナショナリズムは、徹底した愛国教育や情報統制によって築きあげられてきた。しかし、それがニューメディアの登場によって変化を余儀なくされているのは間違いない。

領土問題というのは、ナショナリズムというものが大きく寄与するが、尖閣諸島は1885年からは日本が実効支配し、一時アメリカに預けるものの1971年にアメリカから日本に返還されている。」(中国とナショナリズム 2006年作成)

中国は5000年の歴史が戦争の歴史だ.軍事の戦略、戦術はだから、世界一流だ.戦争は物理的なものが20%で、それ以外はその前の情報戦になる.そのための動きに対して、米中がしのぎを削っているが、日本は蚊帳の外だ.私は20年以上も前に、アメリカの軍事システムを日本の防衛庁に提案したことがある.確か、提案は200億円だったと思うが、彼らの予算は20億円だった.結局日本の企業がそのシステムを落札したが、その位の値段だと、敵機が決まった方角から決まった時間に飛来してこない限り、撃墜出来ないと言うことだった。昔のはなしだが、そのスタンスは今でも変わっていないんだろうなあ.その当時のシステムを防衛庁に売った会社の役員がその後何年かして、収賄で逮捕されたというオチもついた。

明日は「周辺の社会主義国」。なんだかわからないが調べてみよう.

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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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