2008年12月14日

今日は寝坊.テーマは「部品・原材料の現地調達」

今日は8時半には出なければならないので、7時半まで.今日は「部品・原材料の現地調達」。

製造コストに占める原材料費の割合は、日中投資促進機構の第7次日系企業アンケート(実施時期:2002年5月~7月 回答企業:403社 によれば、総コストの70%以上と回答した企業が40%、総コストの50%以上とする と回答企業数の75%に達する。この結果は、人件費では56%の企業がコストの10%未満と答え ているのと対照的であり、質・量ともに製造に必要十分な原材料をいかに安く調達できるかが今 後の競争の中で勝ち組として残るための大きなファクターであることは間違いない。

1994年にジェトロが「逆見本市」と呼ぶ展示・商談会を大連市で最初に開催して以来、平成15年度末までに15カ国54カ所で開催した。従来の見本市と言えば売りたい物を展示するわけだが、この「逆見本市」では日本企業が買いたい物を展示し、それを製造、提供できる部品・原材料メーカーを発掘しようという主旨のもとに行う事業だ。中国国内では、これまで日本企業による部品・原材料の現地調達の拡大を支援するために、大連、北京、上海、深圳、天津、威海などで「逆見本市」を10年以上にわたり開催し、日系進出企業にとっては必要とするパートナーを見つけること、さらに中国企業にとっては商機の拡大や技術水準を向上させることなどで多くの成果を収めてきた。(JETRO 2006)

以上、現地調達に関する中国での一般常識を拾ってみた.さて、このテーマでいつも気になっている事を話そう.大連医諾(Innobio)生物有限公司の総経理 呉 文忠さんの所に時々訪問している.彼の企業は創業未だ5年で、昨年まで工場を借りていて、新しい工場がやっと昨年できた.彼はドイツで化学バイオを専攻し、6年前に大連に戻って起業した.彼の会社には起業してから、何度も訪問するだけでなく、日本にも来てもらい、何社も化学会社を紹介した.

彼の勉強の背景がドイツなので、彼は英語とドイツ語を話す.日本語はダメ.だから、顧客は全部欧米.さて、中国の大学では中国人は90%が英語が専攻、5%が日本語専攻なので、日本語を習得して日本に留学したい学生は少ない.
留学先は2005年度は:
アメリカ
イギリス
フランス
オーストラリア
カナダ
日本
の順で6位。

2007年度は:
英国
アメリカ
オーストラリア
カナダ
フランス
オランダ
スイス
ニュージーランド
日本
シンガポール
で、9位。この調子だと2009年度はもう番外になってしまいそうだ.この呉 文忠さんは欧米の仕事に忙しいので、日本企業と商売したいと言う気はあってもその暇がないのは事実だ.今から3年前に彼を日本に連れて来て、日本の化学企業の主なところを全部紹介した.結果は思わしくなかった.天延資源から食品添加剤などを抽出するのが彼の製品なので、化学原料に比べて、製造コストが安いのが特徴だが、誰も買ってくれなかった.

その後、何度もかれの会社を訪問し、なぜ日本企業が彼の商品を買ってくれないのか。彼の何処がまずいのか。日本企業の何処に問題があるのかを何回も議論して来た.この5年間で、彼のところに訪問した日本企業の訪問者は300人以上で、訪問のテーマがこうしたテーマで議論して来た.日本人の誰もが彼の会社には日本企業向けの窓口がないといっていた。

日本の企業に売り込むためには日本語を話す部隊が必要だし、日本の商慣習にいそしまなければならないと言った.その都度、呉 文忠さんはその通りだと答えた.そうしたいとも言った.しかしながら、彼にはそうした準備をする時間がないままに5年経ってしまった.いまでも、日本語を話す体制はない.その間、訪問した企業の中には彼の商品に関心を持って何人かの方が彼の会社を紹介してくれた.

彼は何度も商品サンプルをこうした企業におくって来た.メールのやりとりも英語でして来たが、続かなかった.そこで、そうしたはなしを彼の企業を訪問する研修の参加者に聞いてみた.一様に彼の対応の仕方がまずいと言う一語だった.今までの日本企業のとつきあう企業は日本企業に売り込むための相当の努力をして来ている.彼は何もしていない.だから売れないと言う.

彼は違った考えを持っているが、参加者の日本人には言わない.彼が販売している欧米の企業はすべて購買の窓口が統一されていて、彼の商品を持って行けば、何処に売りに行けば良いのか直ぐにわかるそうだ.先方の対応が日本の購買のように、「買ってやる」と言う対応ではなく、販売と同じような対応をとるそうだ.良いものを安く買うための努力を惜しまないと言う事だ.日本企業は違っている.

まずは窓口がわからない.何処に聞いて良いのかわからない。私も紹介する時には苦労した.何かを買いたいと言う時には直ぐに営業の部門がわかるのだが、何かを売りたいと言うときにはどこに行ったら良いのか日本の企業はわからない.ここが欧米の企業と違う.だから、彼は欧米の企業と商売している.中国の企業の大半がこうした状況にあると言えないか.

「買ってやる」と言う体質が日本企業にはある.中国企業はそもそも英語圏を見ているから、日本企業に売ろうと言う努力をしない.ましてや、日本企業の対応が欧米企業と違い、何処に売って良いのかわからない.もしくは日本企業の購買の体制が販売のようにマーケティングされていない.売りにくるのを待っている体制だから尚更だ.

かって、この4年間で上海で、中国企業を250社訪問した.そのうち、日本企業に感心のある企業は10%しかなかった。その他は国内か欧米が顧客だった.中国企業はやっぱり、日本企業をターゲットにはしていない.また、日本企業はそうした中国の企業を購買の対象にしていない.日本企業によってくる企業だけを対象にしている.日本語がわかる企業からものを買うと言う事は高いと言う事だ.

わかりやすい例を話そう.大連で、我が社の社員の泊まるホテルはアメリカ資本のホテルで一泊200元で、英語も日本語もわからない.5つ星のホテルの5分の一だ.部屋はそこと遜色ない.上海も同じで、320元だ.日本語を要求すると言う事はこの中国では高くなると言う事に他ならない.

今日はもう時間が来てしまった.あすは「限界に近づきつつあるコスト削減」本当か?ちょっと考えてみる.

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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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