2011年12月29日

中国のインフレの謎

昨日で今年の仕事は終わった。自宅のMACのバージョンアップをしようとしたが、なんとパスワードを聞いて来た。何年もこのパソコンでパスワードを使った事がないし,この数年は幾つかのパスワードを決めているが,どうも違うようで立ち上がらなくなってしまった。自宅のパソコンにパスワードなど不要なのだが,なぜ設定したのかすら覚えていない。何を入れても駄目なので,アップルにその解除の仕方を聞くしかないが,もう正月休みだろうか。だとすると来年まで塩漬けになってしまう。ノートブックがあるので、困らないが,不便な事に変わりはない。さて、今日から本を書くことにしている。 今日はその内容をどうするかを検討しようとおもう。まずは今まで書いて来たものを読み直そう。ワードで150ページはあるので,3時間はかかりそうだ。いずれにしてもこの年末年始は一週間しかないので、たいしたことはできそうもないが。さて、今日は中国のインフレについてだ。では始めよう。これは珍しくファイナンシャルタイムだ。

China: the case of the missing inflation
中国:失ったインフレの事例

China inflation - pork for sale Oct 2011


Buried in China’s GDP data this week was an inflation conundrum. While most analysts pored over the numbers to get a sense of how growth was holding up, at least two spotted a large discrepancy between reported price changes and implied price changes.


今週中国のGDPのデータの中に埋め込まれたのはインフレの謎であった。多くの分析者達がどのように成長が持続しているのかの感覚を得る為の数字を凝視しているが、少なくとも報告された価格の変化と公式に言われていない価格の変化との間の大きな食い違いを2人の分析者達が見つけた。


The gap is more than just an academic curiosity. It suggests that inflation is a lot stronger than the government has been saying and could explain why Beijing has been so reluctant to loosen policy despite a slowing economy. The broadest gauge of inflation – and the source of the discrepancy in China – is the GDP deflator, which measures the change in prices of end-products, whether used for consumption, investment or export. The deflator reduces the nominal growth rate to the real growth rate by stripping it of the effect of all of these price changes.


この相違はまさに学究上の好奇心以上のものだった。それはインフレが政府が言って来たものよりもずっと強い事を暗示していて,そしてなぜ北京が活気のない経済にも拘らず政策を緩和する事にあまり乗り気でなかったかを説明する事ができるだろう。インフレの最も広範囲な基準はー そして中国におけるその食い違いの源泉であるが,ー GDPデフレーターであり、これは消費、投資、もしくは輸出に使われたかどうか最終製品における価格の変化を測定する。このデフレーターはこうした価格変化のすべての影響を取り除くことによって名目成長率を実質成長率に換算する。


GDPデフレーター:一国や一地域など一定経済圏内の全生産物の物価動向を付加価値ベースで表した指標。名目の国内総生産(GDP) を実質GDPで除して計算する。GDPデフレーターが1.0を割る(名目GDPが実質GDPを下回る)状況を名実逆転現象とよび、経済がデフレ状況にあることを示す一つの目安とされる。日本では1990年代後半から2008年までGDPデフレーターが四半期ベースで前年同期を下回り続けている。なお、GDPデフレーターは生活実感とはやや異なった動きをすることがあるため、日本銀行はGDPデフレーターよりも消費者物価指数を重視して金融政策にあたっている。注


China chalked up an implied GDP deflator of 10.3 percent year-over-year in the third quarter, the highest since it started publishing quarterly growth figures in 1999, noted Wei Yao, an economist with Societe Generale. That was well above the 6.3 percent rise in the consumer price index during the same three months. Diana Choyleva, an economist with Lombard Street Research, found that the chasm was even bigger in quarter-on-quarter terms: the GDP deflator was up 3.8 percent, while CPI was up just 1.5 percent.


ソシエテジェネラルのエコノミストであるWei Yaoが言及しているが,中国は1999年に四半期の成長の数字を発表し始めて以来最高値である,第3四半期の前年比10.3%の公式に言われていないGDPデフレー ターを記録した。その事はこの同じ3ヶ月の間に消費者価格指数の6.3%の上昇を遥かに超えていた。Lombard Street ResearchのエコノミストであるDiana Choylevaはこのくい違いは前年同期比と比べるとさらに大きい事を発見した。:GDPデフレーターはCPIがちょうど1.5%上昇したら、3.8%上昇した。


Now, the GDP deflator is an odd number in China. It consistently comes in higher than the CPI figure, mainly because investment is the dominant component in Chinese growth and the prices of investment goods have been rising faster than those for consumer goods. But the gap between the deflator and CPI is usually innocuous, just a couple of percentage points. The fact that it could have grown to 4 percentage points on an annual basis and nearly 10 percentage points on an annualised basis is an indication that price pressures have probably been even more serious than previously believed in China.


現在,GDPデフレーターは中国では奇妙な数字だ。それは一貫してCPIの数字よりも高くなっていて,その理由は主に,投資が中国の成長の支配的な要素であり,投資財の価格が消費財のそれよりも早く上昇して来ているからである。しかし、このデフレーターとCPIとの格差は通常は気にならない、わずか2%である。それが年率4%そして年換算による10%近い数字に増加して来た事実は物価圧力が多分以前中国で信じられていたものよりもかなり深刻であった事を暗示している。


Signs of slower Chinese growth have to a certain extent been welcomed by investors hoping that they could pave the way for a broad relaxation of monetary policy and a launch of fresh fiscal stimulus. Inflation is also beginning to slow. But if the deflator is right and inflation is slowing from a much higher level than officially reported, the hoped-for policy shift may not materialise, disappointing markets. “The PBOC (People’s Bank of China) is probably aware of this problem and that is why they haven’t singled any monetary policy easing yet, which is a very sensible decision so far,” Yao said.


より緩慢な中国の成長の兆候はそれが金融政策の広範な緩和と斬新な財政の刺激策の着手への道を開くことができる事を希望する投資家達によってある程度まで, 歓迎されて来た。インフレは又減速し始めている。しかし、このデフレーターが正しくて、そして、インフレが公式の報告されたよりもより高い水準から減速しているのであれば、期待された政策転換は実現せず、市場を落胆させるかもしれない。「中国人民銀行は多分、この問題に気がついていて、そして、そのことが なぜ彼らがまだ、如何なる金融政策を緩和する事を選んで来ないのかの理由であり、今までのところ、それはかなり賢明な意思決定である。」とYaoは言っ た。



“They are nowhere near to reining in inflation,” added Choyleva. “What I am 99 percent certain of is that there is no way the deposit rate is going down anytime soon. Over the next years, it is much more likely that it will go up.”


「彼らはインフレを抑制する近くにはいない。」とChoylevaは加えた。「私が99%確信していることは近い将来、預金利率は決して下落しないと言う事だ。次の数年の間、それは上昇する傾向が強くなっているようだ。」


インフレが進行しているが、このインフレの上昇率よりもGDPデフレーターすなわち名目成長率が実質成長率を上回っている状態の方が大きいので,インフレが沈滞して来ても、政府は金利を下げたり,貸出を緩和したりしないと言っている。この中国のインフレを易しく解説している日本総研のレポートを参照してほしい。http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=20409 今日はこれまで。明日はイランとイスラエルの話だ。これも面白い。ではまた明日。



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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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