2012年07月28日

ユーロ危機 ファンロンパイの提案2

Herman Van Rompuy(ファンロンパイ)は欧州理事会の議長をしているが、彼はメルケルとサルコジが選んだひとで、ベルギー人の俳句作家だ。2009年までベルギーの首相を務めていて、この理事会の初代議長となった。最近彼が発行した報告書は蒼々たるメンバーによって作成され、このユーロ危機への対応策だ。彼の写真は下記に示したとおりだが、彼に対するヨーロッパの主導者からの評価は今イチのようだ。
ヘルマン・ファン・ロンパウ

It sets out four “building blocks” for deeper euro-zone integration: a European system to guarantee bank deposits and manage troubled banks; fiscal integration to exert greater control on national budgets and steps towards issuing joint debt; more integration in economic policy-making to boost competitiveness; and more democratic accountability in European-level decisions. Precisely what these building blocks consist of, how the steps should be sequenced and how much can be done within existing treaties is all left a bit vague. The paper is peppered with words like “appropriate” and “commensurate” without attempting to define them.

更に深いユーロ圏の統合の為には4つの「構成要素」を設計する。:銀行預金を保証し、問題の起こった銀行を管理する為のヨーロッパのシステム;より大きな統制を国家予算にかけ、連帯債務を行う方向に踏み出す財政統合;競争力を強化する為の経済政策実行に於ける更なる統合;そしてヨーロッパレベルの意思決定に於いて、より民主的な責任。まさに、こうした構成要素が何から構成されているのか、このステップはどのように順序づけられるべきなのか、そして既存の合意の中で何処まで出来るのかは少しばかり曖昧なままだ。この報告書は「適正な」とか「整合性のとれた」とかその言葉の定義を試みる事なく、そうした言葉がばらまかれている。

On what many in Brussels call “banking union”, it proposes creating a fund, “primarily funded” through contributions from banks, to help guarantee deposits and wind up failed banks. To be credible the fund should be backstopped by the euro zone’s permanent rescue fund, the European Stability Mechanism (ESM), expected to be activated in the coming weeks.

ブラッセルの多くの人たちが「銀行業務の連盟」と呼んでいる事の中に、基金の創設を提案していて、銀行からの拠出金によって「主として資金提供され」、預金保証の手助けをしたり、倒産した銀行を精算する。この基金を信用できるものにする為にはユーロ圏の永続的な救済資金である欧州安定メカニズムのよって補強されねばならない。これは来るべき数週間のうちに稼働すると期待されている。 

European Stability Mechanism:ユーロ参加国が財政危機に陥った場合に金融支援を行うための恒久的な制度。2013年6月までの時限措置として設けられたEFSF(欧州金融安定ファシリティ)を引き継ぐもので、5000億ユーロまで融資可能。2013年7月に始動予定。欧州安定メカニズム。 

On fiscal union, the report goes beyond the current system of euro-zone controls on national budget. It suggests jointly setting the ceiling for each country’s debt and deficit. Governments would have to seek permission to break these limits, and Brussels could demand changes. Greater budget controls could, later on, lead to some form of Eurobonds (or “Eurobills” for short-dated debt). This is how the report puts the delicate issue:

財政連盟に於いて、この報告書は国家予算のユーロ圏統制の現行システムを越えている。それは各国の債務と赤字の上限を共同で設定する事を提案している。各国の政府はこの制限を破る為には許可を求めなければならないだろうし、ブラッセルは変更を要求することができる。より強力は予算統制は、あとから、何らかの形式のユーロ債へとつながりうる。(もしくは短期債務のための「ユーロ手形」)このことがこの報告書がデリケートな問題を起こしているやり方だ。:

In a medium term perspective, the issuance of common debt could be explored as an element of such a fiscal union and subject to progress on fiscal integration. Steps towards the introduction of joint and several sovereign liabilities could be considered as long as a robust framework for budgetary discipline and competitiveness is in place to avoid moral hazard and foster responsibility and compliance. 

中期的な視点では共通債務の発行はそのような財務連盟の要素として研究されうるし、そして、財務統合への進展次第だろう。予算の統制と競争力の為の強力なフレームワークがモラルハザードを回避し、責任とコンプライアンスを助長する為に整う限りに於いて、共同の、幾つかの公的債務の導入に向けてのステップが考えられうる。

The process towards the issuance of common debt should be criteria-based and phased, whereby progress in the pooling of decisions on budgets would be accompanied with commensurate steps towards the pooling of risks. Several options for partial common debt issuance have been proposed, such as the pooling of some short-term funding instruments on a limited and conditional basis, or the gradual roll-over into a redemption fund. Different forms of fiscal solidarity could also be envisaged.

共通債務発行に向けての過程は基準に基づいた、そして段階別でなければならない。そうすることによって、予算の意思決定を貯めておく進捗がリスクを貯め込む整合性のとれたステップを伴って達成しうるだろう。制限され、条件付きの幾つかの短期資金調達手段もしくは償還資金への段階的な回転調達を貯め込むように、部分的な共同債務発行の幾つかの選択肢は提案されて来ている。財政上の連帯の異なった形式もまた予想しうるだろう。

Even further in the future, the euro zone could create a common treasury with some kind of central budget. The report has been toned down in drafting, and some contentious ideas have been dropped. Gone is the call, made in an earlier version, for an “immediate and permanent” mutualisation of risk to backstop the banking sector. 

更にもっと将来になるが、ユーロ圏はある種の中央予算とともに共通の公庫を創設するだろう。この報告書はドラフト段階でトーンダウンして来ていて、幾つかの議論を呼ぶような考えは削除して来た。銀行業務部門を補強する為にリスクの「直裁的かつ永続的な」相互化のために早期のバージョンにはあった「コール」はなくなった。

コールローン:コール市場において、資金を貸し手(運用)側から見た場合の名称をいう。これに対して、資金を借り手(調達)側から見た場合の名称を「コールマネー」という。コール市場とは、日本で最も歴史のある代表的な短期金融市場であり、銀行などの金融機関同士で短期の資金の貸借が行われるマーケット(インターバンク市場)をいう。その取引には、担保を必要とする「有担保コール」と、担保を必要としない「無担保コール」の2つがあり、その中で取引の中心となるのが、今日借りて(貸して)、明日返す(返済する)「無担保コール翌日物」である。また、借りた当日のうちに資金を返済する「日中コール」が取引期間の最短である。なお、投資信託や年金の資金がコール市場で運用された場合、運用資産の中に「コールローン」と表示される。 

ここで言う相互化とは銀行間の資金融通の意味。今日はこれまで。


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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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