2010年02月

2010年02月28日

日本の経済モデルの隆盛と凋落3

あっと言う間に2月が終わってしまいそうだ。今日は東京マラソンなので、いつものスケートのコースは通れない。気候もまるでもう春だ。午前中は雨のようなので,荒川のスケート20kmは中止になった。だから、今朝はのんびりだ。普通の大きさの2倍の車輪を持った昔のスケートを手に入れたので,午後からはれるので,それをトライしてみよう。

今日チリの地震があったが,日本は何で,津波予報ばかりで,チリの地震の状況のニュースと支援の話をしないのだろうか。なぜ、政府は鳩山さんを初めそうした海外のことに関心を示さないのだろうか。私は不思議でしょうがない。やっぱり日本の報道はガラバゴスの象徴なのかもしれない。

さて、今日は日本の経済の勉強3日目だ。20年毎にそんなことがあったのかと言う反省をこめて読んでほしい。勿論、今の経済は当時のままではないが,未だにいろいろ思い当たるところもあるし,変えて行かなければならないところもある。ここで言うところのアメリカの自由市場が日本にないと言っているが,銀行との株の持ち合いこそなくなったが、自由市場は依然としてないと言えよう。

日本の社会は保守的なところがものすごくあって,顧客とのつながりを変えようとしない。そこに自民党政権が崩壊したので,政府と企業、農業、公共事業との癒着がなくなったので,今がチャンスだ。 そこを切り崩してしまえば,あとは企業同士の癒着しか残らない。今回トヨタがアメリカ政府に叩かれても、こうした日本の保守慣行は何も変わらない。それをどうするかと言う課題は残る。

それが日本の企業のグローバリゼーションなのだが。そもそも日本の経営者はアメリカの経営者とは責任も権限もリーダーシップも違う。今回トヨタの公聴会で,アメリカ人は日本人の豊田社長を変に思っただろう。アメリカの経営者とは全く違うからだ。そこのところは根深い課題だ。今回だけでなく,ここのリーダーシップのところはじっくり構えて勉強して行こう。

1993年にバブルがはじけて,日本の経済は落ち込んだ。それがそのまま今日まで続いている。日米関係もぎくしゃくして来た。今の日本は今まで,何が問題で,バブル以降何が変わって来て,何が変わっていないのか。何を我々は変えて行かなければならないのか。ここで勉強しよう。では続けよう。



Prestowitzは1980年代後半に於ける日本株と不動産の重力を無視した上昇に言及していた。その現象はいまや「バブル経済」として知られているが,その崩壊は日本を経済的にだめにしてしまった。その崩壊の規模はびっくりするものであった。東京の株式市場は1989年の高い時から60%も下落し, 不動産価格は80%も下落した。資産価値のこの暴落は日本の銀行を不良資産の呆然とするような水準にまで陥れた。昨年末に(1997年)財務大臣は問題と なる貸付金は76.7兆円(当時の135円換算で,5680億ドル)もしくは国内総生産の15%と推定した。

加えて,上席財務事務官は銀行協会が採用しようとして計画した、より厳しい基準よりも、不良債権の実際の水準は30%以上高いと警告した。不良債権の危機の影響は日本の金融機関とそれとともに,より大きな経済を麻痺させてしまった。日本政府は1992-1995年にかけて,「呼び水政策」の公共工事プロジェクトとし て,75兆円ほど出費した。

そして利率は歴史的な低さまで落とし,短期金利を0.62%としたが、経済活動は無気力のままであった。 1992-1997年までの日本の平均経済成長率は年1%ぐらいで,アメリカ合衆国は2.9%で、世界より丁度3%低かった。経済は実際には1997年に0.7%縮小し,四半期が2連続マイナス成長となり、日本は今や,1975年以来公式的に始めて、リセッションとなっている。

他の統計資料も等しく気のめいるような絵を描いている。企業の倒産も昨年同月比で,1998年5月に37.5%上昇し,個人破産も昨年の7万人と比較して,ことし は10万人を超えるかもしれない。円も1998年6月にはドルに対して,この8年で,最も低く推移し,金融市場に対して,公式の政府の介入を行った。

失業は日本では歴史的には低いのであるが、この数十年で,最も高い数値となった。日本政府によると,1998年6月に4.1%となった。(2009年12月 5.1%)「私はもっと悪くなると予測している。」とRobert Alan Feldmanはいっているが、彼は証券会社であるMorgan Stanleyのエコノミストである。

非公式には日本の失業率はもっと高いと言われている。日本の公式統計では仕事を探していても,登録していないと除外されてしまう。(たとえば、女性は失業統計から除外されている。)総務庁が行った調査では失業率は広い範囲の定義で測定すると,1994年2月に8.9%であった。日本の公式な失業率はそれ以来かなり高くなっているので、その定義で言うと,いまは10%を超えているかもしれない。

日本はまた深刻な財政上の問題に直面している。 ことしの財政赤字はGDPの7%もの数字に近づいてて,一方で,公債はGDPの100%以上にまで上り詰めてきている。結局のところ、財政上の問題は人口統計の傾向のためにより悪くなってさえきている。Morgan Stanleyは従属人口比率、すなわち、労働者が支える年金生活者の数は2010年には56%に達し,7つの産業民主主義国の中で,最も高い比率であ る。相当のリストラをしないと日本の年金制度は維持できない負荷のために崩壊してしまうだろう。

悪いニュースの続出によって,日本に於ける著名な発言者が警告を発して来ている。ソニーの会長兼CEOの大賀紀夫1998年4月に日本の経済は崩壊寸前であり,当時の橋本総理とHerbert Hooverを比較した。

Herbert Hoover:第31代大統領で, 任期は1929年– 1933年。大恐慌のときに有効な手を打てなかったので歴代大統領としての評価は低い。世界恐慌で未曾有の大不況に突入。フーヴァーは振り回されることになってしまう。彼は、 「不況はしばらくすれば元の景気に回復する。」という古典派経済学の姿勢を貫き、国内においては、政府による経済介入を最小限に抑える政策を継続した。その一方で、対外的にはスムート・ホーレー法のもとで保護貿易政策をとった。このことは、世界恐慌を深刻にさせた一因とも指摘される。次のフランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策で民間経済にも積極的に介入したのに対し、 フーヴァーは政府や国家レベルでの対策しか講じなかった。これが、結果として景気をさらに悪化させる事になってしまう。

三国陽夫は1980 年代に財務省の反対をものともせず,日本で最初に独立の格付事務所を設立し,(彼は格付は「日本人には向かない」と言われていた。)次の数年間は難しい年だと言うことを認めている。「日本の経済と財務のシステムの自己矛盾のマグマの圧力が爆発したら,日本の上場企業の10%、約300社、そのうち10から15の銀行も含めて,倒産するか,買収されるだろう。」と三国は予言した。

政府が経済を操縦する一般の不満はまた、ますます明らかになって来た。有権者は7月の参議院選挙で,支配的な自民党を否認した。争われた122議席のうち44議席を獲得しただけだった。殆ど直ちに橋本の辞職を発表することとなった。



今日はここまで。1998年の参院選は自民党が現有議席の大幅減を受け、橋本内閣は総辞職した。後継の小渕恵三内閣は、過半数割れした参議院対策に苦労し、連立を模索するようになる。彼が2年弱で,そのあとに森喜朗で、一年,小泉純一郎で,5年半,安倍晋三で,一年,福田康夫が一年、麻生太郎が一年,昨年の9月から鳩山由紀夫。これで,12年だ。自民党が如何に脆弱だったかがわかる。

政治が変われなかったから,ここで言うような,政府との癒着も変わらなかった。さすがに,景気の低迷を受けて,銀行主導の体制は崩壊してしまった。銀行の持ち株は放出され,それに代わって,外資が入って来た。政府の癒着はこの民主党政権が解決するだろう。先週までの外交政策で述べたように,対外的な日本の問題は残ったままだ。これは集団自衛権も含めて,一挙に解決するべきだ。

それが出来ると,あとは日本企業の中身の問題だ。正確に言えば政治家も役人も同じだ。私が商売で行っているBPOだ。「あうん」を止めれば30%生産性が向上すると言うことと,日本の経営姿勢を変えることだ。どう変えるかは欧米の人たちとコミュニケーションが出来,ネゴシエーションが出来る人材の育成で,このブログがそれを意図している。世界にはっきりした意見が言える経営者と政治家の育成だ。

「真面目」「勤勉」「正直」「嘘つかない。」この日本の価値観に加えて,世界の舞台に堂々と向かって行ける人材の育成だ。今まではそれがない。政府の役人も政治家も同様だ。日本の国内にしかものが言えない。それではいまのアンフェアな日本に加えて,外国では壁のシミになっている。言葉の問題ではなくて,考え方の問題だ。勿論言葉がわからないことには日米同盟のように,信頼をなくして行くことになってしまう。ではまた明日。

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2010年02月27日

日本の経済モデルの隆盛と凋落2

昨日の朝はインターネットの調子が悪く,このブログをアップしてから,落ちてしまった。一日経ったが,未だに原因がつかめない。現在は携帯用の無線を使用している。昨日は午前中に訪問したNHKの今井副会長、海野会の講師を務めた銀座ミツバチプロジェクトの田中淳夫さんから同じ質問を受けた。「トヨタをどう思いますか?」今回の外交政策の調査分析作業が役に立った。昨日は朝6時から夜9時までの,ハードな一日だった。

さて、昨日はケイトー 研究所が出したBrink LindseyとAaron Lukasの論文の冒頭を翻訳したが,今のトヨタの問題の原因のもう一つの一面を見て来た。今日はその書き出しの続きで,修正主義者が誰かと言うところからだ。ここで言う修正主義者とはそれまで正統とされてきた学説や見解に異議を唱える人。特に,アメリカで従来の楽観的な対日態度に修正を迫る日本異質論者などをいう。では続きを始めよう。


日本の問題は今や明白だ。その運命を蘇らせるためには日本は確立された関係とか,もしくは政府の政策にしたがうのではなく、はっきりした,生のままの市場のシグナルにしたがって,資本が分配されているシステムに移動しなければならない。要するに,日本は修正主義者達が日本の最大の強みだと指摘したシステムの要素そのものを放棄する必要がある。

この修正主義者達の最大の失敗は一握りの政府の計画担当者が数百万の民間の意思決定者達を出し抜くこ とが出来ると信じていたことであり,彼等が「戦略的な」 産業を選び,市場のシグナルと不動産価値を無視して,資本を配分してきた。彼等のバブルがはじけるのにほんの数年で十分であった。

始めに

10年前に,アメリカ合衆国は日本との関係で,一連の苦悩の議論を経験していた。主要なアメリカの産業である自動車,家電,半導体,鉄鋼は日本との競争に負けていた。アメリカの「勝利の記念碑」である資産の東海岸のRockefeller Centerから、西海岸のPebble Beach Golf Courseまでが日本人の手に落ちてしまった。日本とのアメリカの大きな貿易赤字は円の劇的な値上がりに際しても減ずることはなかった。多くの人々は上昇する日本と下降するアメリカが「場所を入れ替える」と信じていた。

運命の合唱をリードしていたのはビジネスウィークのBob Neff が修正主義者のあだ名がをつけていたコメンテーターのグループだった。特に4人が目立つ。:政治科学者Chalmers Johnson。かれの1982年の本で、 MITI and the Japanese Miracle「MITIと日本の奇跡」はその後の著者たちに多くの知的な基礎を築いた。前レーガン政権の貿易交渉責任者である Clyde Prestowitz。彼は「取引市場:どのように我々は日本に我々の将来を与えているのか、そして、どのように改善しようとしているのか。」邦訳「日米逆転−成功と衰退の奇跡」と言う著書を著し、後に経済戦略研究所を設立し、修正主義者の立場を推進した。元U.S. News & World Reportの編集長であるJames Fallowsは1989年にAtlantic Monthlyの論説「日本を封じ込める」で、冷戦時期の日米関係に目を向けた。オランダ人のジャーナリストであるKarel van WolferenはThe Enigma of Japanese Power 「日本/権力構造の謎」上・下 1990 早川書房の著者である。これらの人たちはMichael Crichtonを含め,多くの人たちに影響を与えた。彼は1992年に好戦的な愛国主義者の推理小説Rising Sun 「ライジング・サン」1993年 早川書房 を書いて,No.1のベストセラーとなった。

修正主義者達が主張するのは,「アングローアメリカン」のモデルの公開市場の資本主義と対比して,日本は国家主導のインサイダー資本主義の独特の形態を実践した。そのモデルではビジネスのトップ、銀行家,政府の役人との密接な関係が経済の結果に強く影響を与える。彼等が言うには,厳しく管理された銀行のシ ステムを通じて,戦略的に資本が分配されることによって,日本は競合企業を活動分野から追い出し,ついには世界の経済を支配しようとした。

また、修正主義者達は日本が西側の資本主義の通常のルールでプレーしないので,日本市場を開くためのルールに基づいた貿易交渉を採用しようとしても無意味だと主張した。そのかわり、彼等は日米の貿易の不均衡を是正するために、唯一の現実的な方法として,「結果指向の」もしくは「管理された貿易」協定を主張 した。その上,彼等はアメリカの経済の成果を改善する手段として日本スタイルの産業政策の要素を提案した。

(ここに昨日翻訳した冒頭の同じ段落が来ているので、省略した。)

日本の問題を抱えた経済

Clyde Prestowitzの「日米の逆転」の中で、

日本人の巨大な組織の背後にある力は多くのアメリカ人が思っている以上に遥かに大きい。そしてこの巨大な組織はそれ自身の意思の働きを止めることが出来ない。なぜならば日本は自動の富を作る機械の類いのものを創造し,多分それはミダス王以来の最初のものだ。

ミダス王:King Midas has donkey's ears!(王様の耳はロバの耳) ギリシャ神話によればむかしマセドニアという国にミダス王がいました。彼について有名なことは彼は神の怒りをかいロバの耳にされてしまいました。ひたすら隠しましたが、専属の床屋だけは隠せません。この床屋も、厳しく他言無用を言いつけられましたが、結局、秘密を守れずに地面に穴を掘って(王さまの耳はロバの耳)と叫んでしまいました。人の口に戸は立てられないの意味です。さて、ミダス王についてもっとも有名なことは彼が触るものはすべてが黄金になったというthe golden touch(=the Midas touchことです。the man with the Midas touch のように使われます。打ち出の小槌を持ったような人はいつの時代にでもいるものです。しかし、名もなく豊かに、、、が一番です。 http://bridge-english.blogspot.com/2008/12/king-midas-has-donkeys-ears.html

多分、Prestowitzはミダス王が不幸に終わったことを忘れていた。だから、日本の「富を作る機械」もまた同様だった。



今朝はこれぐらいにしておこう。フィネガンの判じ物のような英文からBrink Lindseyの文章に移って来て,気が抜けてしまった。フィネガンの文章は3回読み直さないとわからなかった。日本語も英語も同様だったので,内容が内容だけに,慎重を期したが,この論文は遥かに易しい。トヨタの問題の経済的な側面を扱ってきるので,読者は先の外交問題と会わせて,今のアメリカの公聴会の背景を理解でいると思う。

日本人は「アメリカの「勝利の記念碑」である資産の東海岸のRockefeller Centerから、西海岸のPebble Beach Golf Courseまでが日本人の手に落ちてしまった。」を忘れかけているが,アメリカ人は忘れてはいない。アメリカに保護されながら,経済でアメリカを蹂躙し,また再び,自動車で,アメリカを蹂躙したと言うことだ。

かといって、日本の経済が繁栄しているか,日本の国民が豊かになったかと言うと決してそうではない。日本の政治、経済に問題があると言うことだ。特にこれから,この論文を通じて,経済面もしくは経営面からその問題を追及して行きたい。世界でも日本だけが一つの文明を形成している。「真面目」「正直」「勤勉」「嘘つかない」価値観を持った民族だが,英語が出来ないのは自衛隊だけではない。更に,日本人は外国人とのコミュニケーション、ネゴシエーションが極めて下手である。
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2010年02月26日

日本の経済モデルの隆盛と凋落

さて昨日で,フィネガンのレポートが終了した。彼の英語の言い回しと考え方と長い英文には苦労した。内容は日本にとってインパクトのあるもので,民主党の指導者はきちんと読むべきだろう。日本側のワークショップの協賛者であるJIIA -日本国際問題研究所にもメールを送ってあるので、この論文の完訳のことは知っているはずだ。

普天間基地の問題があったので,一ヶ月以上にわたる,日本の外交政策を扱って,今までの日本の政治がグローバル音痴であることがよくわかった。アメリカ政府 がよくもまあ、日本を見捨てなかったことが不思議だ。こんなアンフェアな国は世界でも日本しかない。トヨタがやられるのも致し方ない。国民はこの事実を知るべきだ。

ではこの外交政策はここまでにして,日本の経営に戻ろう。グローバルの視点で,日本の経営がどうであったのかをバブルがはじけて,5年経った,アジア経済危機の翌年の1998年に書かれた論文を翻訳することにした。まずはアメリカ人の目から見たバブル崩壊後の視点を見てみよう。今 日も経営会議が6時からあるので,6時前には終わらなければならない。



「修正主義者」の再検討:日本の経済モデルの隆盛と凋落
Revisiting the "Revisionists": The Rise and Fall of the Japanese Economic Model
http://www.cato.org/pub_display.php?pub_id=3654



修正主義者:特に、アメリカの対日政策見直し論者のことをさす。欧米と全く異質の価値観を持つ日本には自由貿易の考え方は通用しない、日本が市場閉鎖的な態度を取り続けるならば、米国も対日市場を閉鎖し、日本の経済膨張主義を封じ込めるべきだと主張する。日本の姿勢を痛烈に批判するところからジャパンバッ シャー(日本たたき論者)とも呼ばれる。

ケイトー研究所:(カトーとも、Cato Institute)アメリカ合衆国ワシントンD.C.に本部を置く。リバタリアニズムの立場から「公共政策と政府の役割に関して公に疑問を呈する」かたちで公共政策に「伝統的なアメリカの原理としての、小さな政府、個人の自由、市場経済平和などの拡大のための議論を深める」ことを使命として掲げるシンクタンク

湾岸戦争イラク戦争な どに代表されるアメリカ政府の対外介入路線への批判、同盟政策における米軍の海外展開(前方展開)戦略や、同盟国への過度のコミットメントへの批判的提言という共通性を有している。日米の同盟関係についても、在日米軍基地の撤廃や日米安保の漸進的解消によるアメリカの関与の極小化を主張しており、その代替手段として、核武装も含む日本の自主防衛推進を主張している

労働力の確保や警察力の削減の視点から移民規制の緩和を主張し,財政赤字の際の企業に対する増税に反対して米国憲法に「均衡予算拒否権条項」を設けるように主張している。また地球温暖化に対しても科学的な主流派とは異なる「温暖化懐疑派」の立場から報告書を発表し、2003年12月以降、いずれも温暖化懐疑派であるパトリック・マイケルズロバート・ボーリングジョン・クリスティらを雇入れている。http://ja.wikipedia.org/wiki/ケイトー研究所


Brink Lindsey:ケイトー研究所の調査研究担当副社長。ウェブの月次雑誌Cate Unboundの編集長。
Aaron Lukas:ケイトー研究所の貿易政策研究センターの元政策アナリスト。

ソビエトスタイルの共産主義が崩壊した後,「日本株式会社」の経済モデルは西洋の自由市場の資本主義に対する世界で唯一の実際の代替手段として存在していた。この案内役のアメリカの支持者が「修正主義者」として知られるようになるのだが,1980年代の後半から1990年代の初めに、アメリカ合衆国は国家主導の黒幕による資本主義と言う日本独特の形態に競争することが出来なかった。ワシントンが日本のような政策を採用せず,自由市場を捨てて,「管理貿易」を支持しなかったら,アメリカは日本の経済の植民地になっていただろうと言った。

今日評価はこうだ。:修正主義者は日本の「脅威」にたいする評価とアメリカの政策に対する勧告は完全に間違いだった。それどころか、日本は経済の沈滞の「失われ た10年」を苦しんで来ている。「日本株式会社」モデルは西洋流の資本主義を凌駕するものではなかった。そのかわり、太平洋の両サイドで,日本のモデルは失敗 したと言う意見の一致を見るようになった。

日本スタイルのコネ重視型資本主義が広く批判された経済危機の結果として,国ごとに変動のある,環太平洋地域は市場指向の改革を受け入れて来ている。その 間,アメリカ合衆国は景気下降とはおよそ関係なく、記録的な繁栄を享受していた。それは修正主義者の助言を全く無視していたからだ。

コネ重視型資本主義:クローニーキャピタリズム【crony capitalism】縁故関係者や仲間どうしで国家レベルの経済運営を外国企業や援助と結びつけて行い,権益を独占して富を増やしていくやり方。〔ク ローニーは仲間の意。1990 年代後半のアジア経済危機に際し,その根底にあるとしてアメリカのエコノミストなどによっていわれた〕


今日はここまで。この冒頭の論文を読んで感じたのはア メリカの「勝利の記念碑」である自動車産業をトヨタが蹂躙してしまった。外交政策だけでなく,こうしたアメリカのプライドを傷つけてしまったと言うことも ありそうだ。となるとトヨタの問題は更に尾を引きそうだ。こうした経済戦争で,アメリカがことごとく日本に敗れて来て,今強いと言われているのは金融と軍事産業だが,日本はこの軍事物資をアメリカからあまり買っていないようだ。

フィネガンもそこのところは指摘していた。日本のコストが倍に なっても,国産にこだわっていると言う指摘があった。そうしたところはまさしくここで言っている政府との癒着の問題だろう。今まではそうしたものが多すぎたと言える。族議員が消えてしまったので、この論文で言うところの国家主導と言う部分は自民党と一緒に,消滅してしまったのかもしれない。

我々はさほど気がついていないのかもしれないが,1990年代に中国が行った,社会主義国から資本主義国への静かな革命を日本が正しく,これから行おうとしているのかもしれない。ここで言うところの「コネ重視型資本主義」の本当の崩壊であり,更に民主党が官僚構造にメスを入れることが出来れば,アメリカのような自由市場が形成され,今の中国のような Frre Trade、Free Investmentの環境が出来上がるかもしれない。戦後の保守体質がどこまで壊せるかがキーだ。それは官僚、族議員と企業との癒着の崩壊だ。時間が来てしまった。ではこれまで。

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2010年02月25日

日米同盟かみ合わぬ期待26

今日でいよいよ、フィネガンの論文は最終日を向かえた。26日間にも及ぶ、長い議論だった。その間,トヨタの問題は白熱し,公聴会まであった。昨日はアメリカのでワークショップで,アメリカ人からの「ワシントンが地域のそしてグローバルの安全保障への貢献と同様に日本の自らの防衛のために提供する領域に於いて、東京に何を期待しているのかを調査すること」であった。

今日はそれを受けて,日本人がどう反応し,この論文の結論にどうのように影響したかが書かれている。フィネガンはこの日本の意見を尊重して,まとめたが, もっと日本に反論すべきだったように思う。この論文に一環して足りなかったのは世界の意見だ。世界の日本を見る目だ。この同盟関係に対して,どう見ているかだ。彼は日米しか見なかった。世界はもっと冷ややかだ。

さらに、アフガニスタンのような現在の問題を追及しなかった。グローバル安全保障もしくは集団安全保障と言う表現の領域に踏み込まなかった。柳井レポートにあるようなPKOについても言及しなかった。だから、今回日本が50億ドルをアフガ ニスタンのために提供し警察官の教育をすると言うが,警察官の中にもタリバンがいると言う可能性も十分にある。はたして、今の提案のままでうまく行くのだろうか。

そうはいってもこのフィネガンのレポートは大作だ。改めて全作を読み直す意にはならないだろうが,今日は最終日なので,精読してほしい。私も今日は久しぶりに3時半に起きた。では始めよう。



追補D 日本ワークショップ総括

かみ合わぬ期待への対応 アメリカと日本の安全保障の同盟関係
東京のワークショップ

日時;2009年6月5日
場所:JIIA -日本国際問題研究所  東京
発表者: Michael Finnegan, principal investigator
James Przystup, senior research fellow、国立防衛大学国家戦略研究機関
        Richard Lawless, senior project advisor
      James Auer、公共政策研究バンダービルド機関 日米研究協力センター理事
参加者:25+ 現役と元上級日本とアメリカ軍将校、外交官、政策策定者、学者

総括:
アジア太平洋地域に関する研究機関 NBR (The National Bureau of Asian Research)は日本国際問題研究所とともに、東京で、ワークショップを開催し、日米安全保障の同盟関係の日本人の考え方を検討し、特にこのワークショップではこの同盟関係の一方もしくは双方のパートナーがもう一方と異なった期待を持っているかも知れないと言う領域の認識とこの同盟関係の将来にとってこのミスマッチの期待の内容について議論した。

このワークショップはNBRが範囲の広い先導的な活動の一部としてWarrenton, Virginiaで2008年11月に2日間のワークショップとしてアメリカの同盟関係のマネージャーと専門家を集めて行ったものと同様の協力で行った。 この活動のコアグループからの6人のアメリカの参加者と大体20名の日本人の同盟関係の上級マネージャー、政策策定者、学者、オブザーバーがこのワークショップに参加した。日本の参加者は現役の自衛隊の将校、外務省、防衛省からの代表者、著名な学者そして民営企業からのオブザーバーであった。

このワークショップの議論は極めて率直に行われ、良い討論の場を提供することができ、両サイドがお互いに話をするばかりでなく、日本の参加者たちは彼ら自身で、この同盟関係の彼ら自身の異なった期待について議論することができた。総論では日本とアメリカの参加者との合意では両サイドがこの関係の中で、当面の進展に必要となる優先順位をつけた活動を彼らのパートナーに明確に発表することであった。

アメリカ合衆国がイラクやアフガニスタンへのコミットメントに焦点を当て続け、中国との関係を処理し、現在のグローバルな経済の下降を操縦しているように、日本側ではこの作業はたぶん、より以上に緊急のものである。日本が抱えている重要な物がなんであるのかを知ることはアメリカの同盟関係のマネージャーたちをより敏感にそして、より効率的な、そして効果的な協力を促進させることができる。この一般的な観察に加えて、このワークショップから出て来た特定のテーマは以下の通りである。

ーこの同盟関係の「中核」対「より広範囲な」期待 参加者の間で、幅広い同意があったのは日米安全保障条約の第5章、第6章に定義されていることにたして、この同盟関係の中核となる期待の輪郭を明確にする必要があるということとさらに広範囲なグローバルの期待として、この同盟関係の中で、徐々に紹介されて来ては いるが、特にニューヨークの9.11の攻撃以降で、全員ではないが多くの日本人の参加者は日米安全保障条約の第5章と第6章に概説されているような中核となる期待に第一の関心を持っていた。

それにもかかわらず、数人の日本人の関係者たちはアメリカの政治的な、そして安全保障の目的に対してのより広範囲なグローバルな焦点が日本の防衛にとってのキーであり、それゆえ、安全保障条約の命令書の範囲内であると主張した。日本における継続した政治的な不安定と官僚主義のハードルがあるので、近い将来、この問題に関してのコンセンサスを得ることはできそうもない。

この日米安全保障条約の第5章と第6章に関しては外務省が詳細に解説しているので,参照してほしい。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku_k.html また、ここで言っている「
より広範囲なグローバルな焦点」は集団自衛権のこと。幾人かはこの場で,私の意見と同じように,集団自衛権を主張している。私注

ー 拡張抑止 日本の参加者からでて来た明確なメッセージであるが,言葉上での支援に関わりなく,アメリカの拡張抑止へのコミットメントにおける実行能力に対しての信頼が弱まって来ている。この信頼が損なわれて来ていることは2つの異なった懸念から生じている。その一つは現在のアメリカ政府が戦略兵器の削減の可能性に関しての最近の発言から来ている。もう一つは日本人の参加者の意見によると,信頼が弱まっているのは一般的にはアメリカの北朝鮮に対する非核化へのアプローチであり,拉致問題の扱いと北朝鮮をテロリストの指定国家から除外したことにより、アメリカ合衆国への信頼がだんだん欠如して来たことから来て い る。それにもかかわらず,何人かの参加者はいくつかの核兵器開発の要求があるのにもかかわらず,日本はこの同盟関係の枠組みの外で,実行可能な抑止の選択肢を持っていないと言っている。

ー集団自衛権 日本憲法の第9条の解釈は現在,集団自衛権と集団安全保障軍事行動を禁止すると理解されているが,この同盟関係の双方を失望させて来ている。 日本の立法者が特別法案を通すことによって,ゆっくりと,この禁止を取り除こうとして来ているようではあるが,これらの法案は危機に際しては、あまりに範囲が限定されていて,制定に当たってはあまりに時間がかかりすぎるだろう。

幾人かの日本人の参加者は集団自衛権は危機に際して作動するが,確立した手続きとか実践がないので、疑問が残ると言っている。面白いことに,将来の首相が集団自衛権を正当化する新たな内閣の声明をだしたらどうなる かと言う質問に対して,そのような声明にたいして、政策の上で多くの影響があるのかについて日本の参加者の意見が分かれた。ある参加者は如何なる新たな政策を実施するにしても新たな法律の制定が必要となると言い、その一方で,内閣の政策に於ける変更によって,すべての新たな軍事行動に対する新しい法律の必要性はないと主張した。

もっと不明瞭なことは柳井報告書の作成が安倍晋三総理の時に委任され、その内容の勧告が麻生総理の時に提供され,2009年の8月か9月に予定されている選挙まで棚上げされ,将来の総理へとその報告書の勧告が放置されてしまったことである。

柳井報告書に関しては以下を参照して読んでほしい。2月18日のブログでこれについては言及している。この内容はかなり画期的なものだが,実質的に,お蔵入りされてしまった。脆弱な内閣であったせいかもしれない。 law-web.cc.sophia.ac.jp/.../contents/5204/5204yanai/5204yanai.pdf

ー 中国の隆盛 アメリカ合衆国と日本双方の明確な戦略課題として、出現して来た中国の隆盛をどう扱うかについてはこの中国に関しての優先度を双方が明確にコ ミュニケーションすることが責務であると参加者は合意した。この参加者の一般的の意見として、中国の隆盛を扱うにあたって,この同盟関係の中で取り扱うべき当面のステップがあり,この日本の防衛を目的とした同盟関係にとって全く当然であるが、大きな政治的なリスクはない。

たとえば、パートナーがリアルタイムで,諜報の情報収集と共有のように、ある領域に於いて彼等の関係を高めることが出来るのであれば,中国が現在この関係で気付いてる如何なるギャップを埋めるまでにはこのようなステップは相当長い時間を必要とするだろう。



以上のでこの論文は完訳した。皆さんはこの論文を読んで,どう感じただろうか。私は一連のアメリカ人の考えと意見を理解することが出来た。本当は日本人のこうした論文を同様に数多く読めば,方法の期待がもっと浮き彫りになるのだろうが,読んでいない。アメリカの考えはよくわかった。また、世界がどう見ているかもわかった。それは今の日本にとって極めてまずいと言う状況もわかった。

民主党がその解決のベストポジションにいるのだが,解決の方向に動いていそうにないこともようやくわかって来た。自民党は支持されないが,民主党の今の動きも支持されていない。この同盟関係に答えがあるように思うが,誰もその答えをとることが出来ないのは悲しいことだ。日本はこのまま沈没して行ってしまうのだろうか。残念でならない。隔靴掻痒とはこのことだ。

さて、後ろ髪を引かれる思いで,日本の経営問題に戻る。これ以上外交問題をしても,私の意見は出尽くした。私の力ではどうしようもない。日本のビジネスに関してのグローバリゼーションを扱った英文が少ない。特に最近は世界が日本の経済に対して関心を持っていない。凋落しているからだろうか。英語圏の人が日本の経済記事を書かないのだ。いろいろ探して来たが,なかなか見つからない。

たしかに、1993年から日本は鳴かず飛ばずだ。仕方がないので,まずは、1997年のアジア通貨危機の直 後の1998年に書かれたケイトー研究所が出したBrink LindseyとAaron Lukasの論文を翻訳してみようと思う。10年前に書かれたので,多少古いが,日本はその間何も変化して来ていないので,書かれた内容はそのまま適用できそうだ。

Revisiting the "Revisionists": The Rise and Fall of the Japanese Economic Model
http://www.cato.org/pub_display.php?pub_id=3654
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2010年02月24日

日米同盟かみ合わぬ期待25

ここ数日は黒田さんを始め,いろいろな人にあって,この日本の防衛と外交政策の話をしているが,あと2日間で,この課題は終了してしまう。今日の日経ビジネスのオンラインでも,私と同じ意見が載っていたが,トヨタの問題はトヨタだけでなく,日米同盟のこじれが問題かもしれないと言っていた。鳩山さんの発言に配慮と思慮が足りないといっていた。

さて、フィネガンの結論は出ているが,この結論に至った背景について最後のおさらいをしよう。まずはアメリカのワークショップの意見から見てみよう。まずはアメリカ人だけで2日間議論したと言うことが面白い。その議論の仕方も昨日説明したようなシナリオを参加者に提示し,それに基づいて議論し,将来の落としどころから議論をしたと言うことだ。

柳井レポートの時もそうだったようだが,日本人は政治家も含めて,憲法9条に抵触する話はどうもしたくないようだ。鳩山さんが言う,平等の関係と言うのは本当はそこのところなんだが,みんな避けているようだ。今回も外交問題をアメリカの論文を中心にアメリカ人の視点から見て来たが,日本人の視点とは違うよ うだ。さて始めよう。今までの論文を読んでいる前提で書いているので,文章が極めて抽象的なので、あとで解説することにした。フィネガンの論文自体が難解だと言うこともあるが。



追補C アメリカワークショップ総括

かみ合わぬ期待への対応 アメリカと日本の安全保障の同盟関係
アメリカのワークショップ
日時;2008年11月14-15日
場所:Airlie Conference Center, Warrenton, VA
発表者: Michael Finnegan, principal investigator
        Richard Lawless, senior project advisor
      James Thomas, senior project advisor
参加者:30+ 現役と元上級アメリカ軍将校、外交官、政策策定者、学者

総括:
ア ジア太平洋地域に関する研究機関 NBR (The National Bureau of Asian Research)はWarrenton, Virginiaで2日間のワークショップを開催し、日米安全保障同盟関係のアメリカの考え方を検討した。特にこのワークショップではこの同盟関係の一方もしくは双方のパートナーがもう一方と異なった期待を持っているかも知れないと言う領域の認識とこの同盟関係の将来にとってこのミスマッチの期待の内容について議論した。

このイベントはNBRが範囲の広い先導的な活動「かみ合わぬ期待への対応 アメリカと日本の安全保障の同盟関係」の一部として開催した最初のワークショップである。

このプロジェクトのコアグループは9人の専門家からなるが、このワークショップにアメリカの同盟関係の上級マネージャー、政策策定者、学者、オブザーバーとともに参加した。参加者の中には防衛省、国務省からの同盟関係のマネージャー、アメリアの大学とシンクタンクからの著名な学者がいた。

このワークショップではNBRの代替案の将来シナリオー計画策定方法論を採用し、それによって、参加者は総合的、多角的に、創造的に、前向きに同盟関係に関連した問題の分析を促進することが出来た。将来を予言し、予測する試みよりかはNBRのシナリオに基づいた分析モデルは成果を出す軍隊に関して異なった前 提に基づいた、複数で、同等にありそうな将来を考慮し、一連の不確実性も考慮して、設計されている。この演習の目的は共同の、相互に強化された環境の中で、 検討中の可能性の範囲を再考し、再考案し、広げる機会を提供することである。NBRは一連の4つの将来を参加者に発表し、そのそれぞれは日米の安全保障の同盟関係に対して内容が異なってたものであった。

あとに続いた議論は全く率直で、方法論とかシナリオの中の前提の幾つかに多少の抵抗はあったものの2日間の終わりまでには参加者の多くは同盟関係の中には時期を逃さずに,扱う必要性のある幾つかの挑戦するべきことがあることを認めた。多くの参加者は同盟関係の終結はアメリカ合衆国にも日本にも利益にはならないが、 平和のときに適切に取り扱ったり、解決しておかないとある幾つかの問題は危機の状況において同盟関係の破局が起こりうることを強く信じていた。

このワークショップはワシントンが地域のそしてグローバルの安全保障への貢献と同様に日本の自らの防衛のために提供する領域に於いて、東京に何を期待しているのかを調査することであった。幾つかの期待に関して、特にグローバルな活動に関したものであって、質問があったが、(1)所与の日本の制約は理にかなったものかどうか。そして、(2)国内の政治資本が最低レベルのグローバルな協定ですら実行するために使用されねばならないことを考慮すると、資本はより実行可能にするための日本の自己防衛目標の為に使った方が良いと言う期待が有用かどうかであった。

ワークショップの参加者の全員一致を達成することはなかったが、この領域は日本の政策策定者とともにその真偽をさらに立証する必要があるということとアメ リカ合衆国は日本のためにアメリカの優先度付けを明確にするためにより生産的にその課題を見いだした方が良いと言う幅広いコンセンサスをとることができ た。(ここでアメリカ合衆国自身の優先度を明確にすることを前提にしている。)

また、アメリカサイドは特に抑止の領域に於いて、日本の期待に合うことができないでいて、アメリカの役人の間では十分に理解されていないと言う主張についても幅広いコンセンサスがとれた。

参加者が感じていた主要な懸念はアメリカの拡張抑止のコミットメントに見合う能力がゆっくりと減退して来ていて、それは老化した技術と最近の核実験の欠如の ためであると言うことに日本がますます不安になって来ているということである。本質的には日本の政策策定者がアメリカ合衆国が抑止をコミットしいることを疑わないのであるが、一方で、アメリカ合衆国が危機的な状況に於いて、実際には信頼、かつ、確実な抑止をもって、やり遂げられないかもしれないと言うことである。


以下この原文の注釈をしないと,ここで何を言っているのか判じ物みたいで,読者はきっと理解できないと思うので,私なりに,今までの論文の内容から以下の通り、解釈したので,参考にしてほしい。フィネガンは極めて抽象的に表現するのが好きなようだ。それと文章がやたら長い。

「成果を出す軍隊に関して異なった前提に基づいた、複数で、同等にありそうな将来を考慮し、一連の不確実性も考慮して、」の文は昨日のシナリオのことを言っている。北朝鮮のミサイルとか,台湾海峡での米中の衝突とかであり,その前提はいかようにも於けるし,軍隊がそれぞれどのような成果を出すべきなのかも考えておかなければならないが,少なくとも今までは日本側は考えていない。

米中が撃ち合いになったら,双方とも、お互いを攻撃するより,日本の出方を見るだろう。日本に対して,おおいに、「不確定性」があるし,日米同盟という「前提」すら特定できないというのが彼の意見なのだろう。「複数で,同等にありそうな将来」といっているのはもしかしたら,日本は中国に媚を売るかもしれないと言うことだ。

もちろん、北朝鮮の出方も様々だがそのパターンを検討した上で,「この演習の目的は共同の、相互に強化された環境の中で、検討中の可能性の範囲を再考し、 再考案し、広げる機会」と言っているが,今までの経緯からすれば,日本が防衛に特化すれば,「共同の」軍事行動もし易くなるし,「相互に強化された」と言うことは,物理的な軍備もさることながら,相互のソフトウェアの充実も指している。「可能性の範囲」と言うのも曖昧だが、ここでの意味は今までの経緯からすると,日 米との集団自衛権の実施のことだ。

このワークショップでは「所与の日本の制約」と言っているが,これは集団自衛権のことで、2番目の「政治資本と言うことでは最低レベル」と言う意味は給油活動のことだ。そんなことでも、政治資本を消耗しているので、ましてや、集団安全保障の話は到底出来ないだとろうと言っている。だから、日本は自己防衛に特化した方が良いと言う結論になっている。

一方で,アメリカの拡張抑止はもう出来ないと言っている。アメリカの役人はそれを認めていないようだが,危機的な状況にあってはその実行力に疑問を持っている。彼等は日本の実行可能性を強く意識していて,こうした結論になっているが,今まで議論して来たように、日本人がそうですかと言う訳には行かないだろう。世界が許してくれない。

ここでは自衛隊が英語が話せないと言うことには言及していないが,そこが一番の大きな問題だと私は思う。言葉が話せなければ,アメリカ軍とは何も出来ない。情報交換も出来ない。共同の作戦も出来ない。勿論、軍事行動も出来ない。彼はそこには言及していないが,どうせだめだろうとあきらめてしまっていて,日本が自分のことを自分で守れば良いと思っているのかもしれない。そうなると最悪だ。ただ彼は平時に「同盟関係の中には
時期を逃さずに,扱う必要性のある幾つかの挑戦するべきこと」と言う極めて抽象的な言い方をしているが,きっと私がここで言っていることかもしれない。今日はここまでだが,明日は日本のワークショップで,とうとうこの長い論文は終了する。

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2010年02月23日

日米同盟かみ合わぬ期待24

とうとうフィネガンの論文を完訳してしまった。彼の言う通りで,今までの50年、何をやっていたんだと言うことだ。残念なことに,そう言うことを認識している人たちがいても,今の政権が動かない。いや動いていると言うのだろうが,実行できない。実戦を知らないからだ。だからこうして、このブログを書いている。 フィネガンの日本は日本防衛だけに特化するべきだと言う彼の結論は支持できない。そんなことにでもなったら,日本は世界から本当に疎外されてしまう。

柳井レポートが言うように,憲法を変えないで,閣議決定で,集団自衛権を内外に公表し,アフガニスタンに派兵するべきだ。これは戦争が目的ではない。参戦している50ヶ国の仲間に入るためだ。世界の仲間に入らなければ,グローバリゼーションも何もへったくれもない。そのために政治資本を使うのはと言うフィ ネガンだが,世界はその国内事情など理解しない。

日本が世界の仲間に入っていない。だから何をしても信用されないと言うことだ。これは恐ろしいことだ。その頼りとなるアメリカからも見放されたら,日本はどこの国と組むのだろうか。日本はどこの国の人たちと親しいのだろうか。はたして、親しい関係を持っているのだろうか。政治的な駆け引き以前なのではない だろうか。日本は中国と親しい関係にはない。インドともない。ましてやオーストラリアともニュージーランドともない。

世界会議で一体、誰とネゴをすれば良いのだろうか。日頃から親しくしていないから,話す相手がいない。親しくないし,相手も好感を持っていないから,話がどこに行くか分からない。下手をするととんでもないことになってしまう。現実はそうなっている。どうしよう。と言うのが本音ではないだろうか。

ブレジンスキーに「日米安保条約は事実上、日本をアメリカの保護国」にしていると嘲笑されたことを忘れてはならない。アーミテージレポートに「日本が集団自衛権を禁止しているのは同盟関係の協力に於いて制約になっている。この禁止を止めることは安全保障の協力をより親密に効率よくすることが出来る。これはひとえに日本国民だけが決めることが出来る。」と言っている。

Z・ブレジンスキー:世界はこう動く、日本経済新聞社、1998、p.236-238
The United States and Japan: Advancing Toward a Mature Partnership INN Special Report 2001

homepage2.nifty.com/HIROSHI_UEHARA/yanai.pdf

さて今日はこの論文の根拠となる調査アプローチとワークショップのシナリオについてみてみよう。


追補A

プロジェクトの活動と方法

この同盟関係の将来に向けての調査はおびただしいものがある。その多くは戦略的な前提から始まり、それはこの同盟関係が分担された安全保障の挑戦に見合うために、発展し続け、そして、それがどのようにこの同盟関係に適用するかを求めて行くことである。他の部分は同様な評価から始まったが、能力、役割、ミッション への戦術的なアプローチに移って行った。

このプロジェクトはむしろ日米同盟関係についての仮説を評価分析し、代替政策の道筋を探るために世間一般社会通念に戻ることからはじめた。この同盟関係は将来、アメリカの利益に十分に貢献しているのだろうか?日本はアメリカ合衆国が要求している同盟国の見本になり得るのだろうか?アメリカ合衆国にとって政 策に於ける暗黙の含みと選択肢は何であるのか。すなわち、どのようにアメリカ合衆国は危険を回避するのか ? もし同盟関係が期待に合わないのであれば、日本の代替案は何か?

プロジェクトの活動

ーワシントンでの最初の企画会議。そこでは主要なプロジェクトの参加者が集合して、ワークショップの資料の概略について、主要な研究員に対してフィードバックと実質的な指針を提供した。

ーこの主要な研究員たちはこの中核となるグループへのプレゼンテーションのためのプロジェクト調査報告書を組み立て、十分にプロジェクトの命題を展開し、分担された、かつ矛盾した同盟関係の期待を調査した。

ー このプロジェクトの中核となるグループ(プロジェクト要員は下記参照のこと)はこのワークショップの報告書の中の調査した議論と評価分析の仮説を洗練して来た。このグループはNBRが開発した「最もありそうな将来に向けての進路」アプローチを利用して、もしかすると、同盟関係が信頼の危機に陥ってしまうと言う一連のもっともありそうな将来の進路を十分に開発しようとした。

このアプローチは最初に将来の中に先に飛びこんで、それぞれの将来のシナリオとなるような状況を検討した。この参加者たちはそれぞれのシナリオから現在の状況までさかのぼって作業し、それぞれの特定の成果に導くような複数の変数の理解を高めるような努力をした。すべてのワークショップは非公開で、招待者だけのイベントとし、自由でオープンな議論が出来るようにするために、責任を問わないルールとした。

ー2008年11月に政策集団のみならず、地域の安全保障の専門家からの幅広い参加者を募ったアメリカだけのワークショップでは、検討されるべき問題のアメ リカ政府の見通を洞察することを行った。このワークショップでは部分的にNBRが開発したもう一つのアプローチである「前に飛び越える。:仮説上の将来の暗示」を利用し、仮定した仮説の危機の地点から始めて、中核となるグループの会議で展開し、幾つかの同盟関係の範囲と双方の同盟国の見通しからとで、仮定した将来についての様々な暗示の分析を参加者に要求した。

このアプローチは特に仮定した将来がどのように展開するか述べなかったが、むしろ、個々の国家の費用と効果と将来のシナリオの共同の反応を評価することによって、今日の状況を照らす試みであった。

ー 2009年6月に日本の学者、高官、選抜した中核となるグループのメンバーによる合同のワークショップを開催し、早い時期のワークショップの成果が発表され、日本人の反応と意見を求めるために議論された。これはアメリカだけの拡張したワークショップと方法や形式は似ているが、全く同じではなく行われた。 このプロジェクトは幾人かの日本の学者と高官には微妙な内容でこの同盟関係を検討しようとしていたので、主要な研究員と上級の顧問が前もって日本に来て、 ワークショップのための知的な基礎を説明し、主導する方法論について主要な日本人の参加者に親しむようにした。

ーこのプロジェクトの主要な構成要員として議論の中に、日米双方から若い学者と政策策定の士官を参加させることであった。このプロジェクトは特に同盟関係の次の世代のマネージャーの間により広範囲な議論を起こすことを希望し、分担された利益に基づいたこの同盟関係の費用と効果の重大な分析を達成するために 世間一般の通念と感情を切り開くことであった。


プロジェクト要員

主な研究者:マイケル・フィネガン NBR上級研究アソシエーツで、主な研究者として貢献し、このプロジェクトのためにNBRによって集められた学際的なチームをリードした。フィネガン氏は北アジアの安全保障の専門家であり、元国防省日本担当上級部長、そして元国防省アジアパシフィック安全保障担当国防次官補に対する地域安全保障のための特別補佐

上級顧問:リチャード・ローレス 2002-07前アジアパシフィック安全保障政策担当国防次官補 そして、ジム・トーマス 2004-06前計画ならびに資源担当国防次官補

コアグループ:元アメリカ政府の役人並びに指導的な大学の専門家で以下の通り。
James Auer (Vanderbilt University)
Michael Auslin (American Enterprise Institute)
Thomas Christenson (Princeton University)
Aaron Friedberg (Princeton University)
Ambassador James Lilley
Roy Kamphausen (National Bureau of Asian Research)
James Przystup (Institute for National Security Studies)

2つの拡大ワークショップはこのコアグループからと他の日本人とアメリカ人の学者そして、現在のもしくはもとアメリカと日本政府の政策策定者である。


追補B 「かみ合わぬ期待への対応」ワークショップシナリオ

幾 つかのシナリオは下記にまとめてあるように、2つのプロジェクトのワークショップの議論の土台として使って来たが、危機の間、他方の期待に会わないもう一 方のパートナーの結果を調査している。このシナリオは如何なる政策の方向性を指示しようとはしていない。これらは単にまだなされていない意思決定に基づ いたありそうな将来の代替案を意味していた。

シナリオ1 アメリカ人は火星から来て、日本人は金星からである。

こ のシナリオはアメリカ合衆国が北朝鮮のミサイルからの脅威を判断しているが日本が完全に共有されていない状況を仮定していた。事前の協力と計画作成の欠如 がアメリカ合衆国にアメリカと同盟関係の利益を守ろうとする行動をしなければならないと感じている状況に導いている一方で、日本は軍事行動に気乗りして いない。この状況は両国の指導者に同盟関係が思い描いたように動作してきていないと言う結論に導いて行く。このシナリオはどのように同盟関係が危機にあっ て動作するかに関して期待の断絶と期日までに達成すべき計画作成のレベルと品質、そしてこの断絶が次の信頼の危機にどのように導かれるかを描こうとした。

シナリオ2 日本人が火星からで、アメリカ人は金星からである。

このシナリオは最初のシナリオの逆であり、日本が北朝鮮からの脅威を感知して心配していて、アメリカはいかなる可能な闘争の拡大のリスクを懸念して行動を起こそうとしない。このシナリオは計画作成に於ける同様な断絶を説明するために作られた。

シナリオ3 仲違いの中の失敗

このシナリオは危機が台湾海峡を越えて展開し、ワシントンがアメリカ合衆国が行動しなければならないと決めた際に台湾の潜在的な防衛に関しての政治的な意見の一致の欠如の結果とその結果何がもたらされるかを調査した。このシナリオは日本の政治の意思決定と同盟関係の軍事作戦上の考え方との間の繋がりを説明 した。

シナリオ4 アメリカ合衆国が脱退する。

4番目のシナリオは一部分3番目の逆で、日本が中国と衝突することを仮定していて、アメリカ合衆国は完全には支援せず、少なくとも日本の期待を全うしない。

シナリオ5 核ゲームの仲間はずれ?

このシナリオはグローバルな核拡散の問題と同様にアメリカの核に対する姿勢に関連した意思決定の暗示を調査した。日本の核に対するアプローチの中心的な役割と、国家の全般の防衛戦略とこの核の舞台で日本の期待の添えないアメリカ合衆国の潜在的な影響について説明してる。



この報告書の変わったところはこのようにケーススタディから入っていて,まずはアメリカで,アメリカ人のワークショップを行ってから,日本で,日本人のワークショップを行った。将来の着地点をまずは研究員が探索し,そうしたあとで、その将来を現在の状況に照らして,効果費用分析と同盟国の反応を見た。

明日はその結果のワークショップを見てみよう。今日はこれまで。




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swingby_blog at 07:14コメント(0)トラックバック(0) 
プロフィール

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プロフィール

海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
Swingby 最新イベント情報
海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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