2010年05月

2010年05月26日

フェアな貿易と自由貿易15

昨晩は海野会があって、京都大学の松下教授がCOP15の話と日本の環境課題を話をしてくれた。難しい内容を30分で、平易に解説してくれた。参加者は大感激だ。さすがに日本の第一人者だ。APECの相原元八郎日本代表も来てくれた。

日本人で、議長が出来る数少ない日本人だ。昨日は実り多かった。有難いことだ。彼はこのAPECの一連の会議では一切の通訳を使っていないそうだ。すごい。

ついでに、相原氏に日本人はいろいろな意味で世界で評判が悪いがどうかと聞いたら、彼は日本人は今下を向いているが、もっと自信を持つべきだと言ってい た。アジアの人たちはまだまだ日本を評価しているようだ。

さて、今日はWoods教授の結びの意見、Bhagwati教授の意見、司会者であるDatta教授の意見を見てみよう。内容は相変わらず、難し いが、だんだん佳境に入って来た。




結びの意見

Closing statements

Ngaire Woods

提議の防御
Defending the motion
Ngaire Woods  
オックスフォード 大学グローバル経済ガバナンス 国際政治経済教授理事
International Political Economy Prof. and Director, Global Economic Governance, Oxford University
自由貿易は(ほ ぼ)完全な競争と情報のような、他の必要な条件が配置されている時にのみ、効率的な結果を生み出す。この目的のために、政府は独占、負の外部性、市場の失 敗を避けるために介入しなければならない。

負の外部性( Negative Externalities )の実例:
自動車の排気ガス
タバコの煙
よく吠える犬(うるさいペット)
アパートでの他の部屋から聞こえるうるさい音楽

ある人が周囲の人々の福祉に影響を与えるような活動に従事し、なおかつ、この影響に対して何らの補償を支払わない(もしくは、受け取らない)時、周囲の人々への影響が悪影響である場合には、このときの外部性は「負の外部性」という。負の外部性があると、市場は社会的に望ましいよりも多い量を生産するようになる。

市場の失敗 (Market failure):市場メカニズムが働いた結果において、パ レート最適ではない状態、つまり経済的な「効率性」が達成されていない現象を指す。パレート最適な場合においても内部化されていない社会的費用があれば外部不経済となり市場の失敗となる。

ある前提の下では、需要と供給の均衡によりパレート最適な配分を実現し、安定した経済を形成すると考えられている市場メカニズムは、 多くの経済学者から支持を得ている方法である。しかし前提が満たされないとき、市場メカニズムは経済的な非効率をもたらす場合がある。失敗の例は以下のとおり。

経済成長率の低下
環境破壊
品質の低下
逆選択の発生
市場の失敗が起こる原因の代表的なものとして、次のようなものが挙げられる。

不完全競争による独占の存在や自然独占の傾向
外部性の存在(正の外部 性による過少供給、負の外部性による過大供給)
公共財の存在(フリーライダーによる過少供給)
情報の非対称性の存在
不完備市場
不確実性(リスク回避的な供給者による過少供給)
費用逓減産業の存在(生産規模の拡大でコストが低下する場合の独占や 寡占)
市場の失敗が起こる場合には、政府が何らかの方法で市場に介入するか、あるいは政府が直接的に財の供給者となる必要があると考えられている。事実、多くの国では市場の失敗を是正するための政策がさまざまな形で行われている。 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1418005534

解説自体が難しくてわからないところが多い場合には適当に飛ばしても良い。時間があれば言葉の意味を調べてほしい。

Free trade only produces efficient outcomes if other necessary conditions are in place such as (near) perfect competition and information. To this end, governments must intervene to prevent monopolies, negative externalities, and market failures.


Jagdish Bhagwati
提議に反対して
Against the motion
Jagdish Bhagwati  
コロンビア大学経 済学並びに法律教授  外交問題評議会 シニアフェロー
Economics and Law Professor, Columbia University and Senior Fellow, Council on Foreign Relations
ほぼ30年の期間の間、高い成長率を維持して来た国々はまた、貿易に於いて、より解放して来ている。同時に、陰湿な経済実績を維持し続けた閉鎖した国家の例は事実上無い。

For a period of nearly 30 years countries that have had high growth rates have also had greater openness in trade. At the same time, there is practically no example of a closed country having anything except a dismal economic performance on a sustained basis.

Saugato Datta

司会者の結びの意見
The moderator's closing remarks
May 12th 2010 | Mr Saugato Datta  

我々の講演者の最後の意見がこれからだ。双方はこの提議の彼等の側がなぜ正しいのかを明快な再度の意見を提供する。私はディベートに対してより良い結論を求めることは出来なかった。

このディベートは冒頭で、一連の課題にいたずらに騒ぎ立てるのは危険であると思われたし、実際に、正確に様々な用語が何を意味するのかを明確にし、我々の講演者がしたことをなぜ信じるのか、お互いに反対する部分はどの部分かを明らかにする必要があった。

Our speakers' final statements are in. Both have provided clear restatements of why they believe their side of the motion is the right one. I couldn't have asked for a better conclusion to a debate that seemed initially to be in danger of circling around a set of issues without really clarifying what precisely the various terms meant, why our speakers believed what they did, and which bits of each other's arguments they disagreed with.

ある幾つかの問題におけるわれわれの論客達の立場はかけ離れてはいなかった。双方は貿易の利益の可能性に賛成していた。Jagdish Bhagwatiはもちろん、これについては曖昧ではなかった。しかし、Ngaire Woodsは彼女の「意見は貿易とか自由貿易とかに反対するのではない。」と言っている。「最初から」彼女は貿易の利益の可能性と利点を言及し、保護主義の危険を強調して来た。」Kevin Watkinsは我々の最後の主客だが、かれもまた、貿易の利益に対して確固たる弁護をしている。

Our debaters' positions on some matters are not poles apart. Both agree on the potential benefits of trade. Jagdish Bhagwati has, of course, been unequivocal about this. But Ngaire Woods says that her "argument is not against trade or free trade". "From the outset", she says she has "noted the potential benefits and advantages of trade and stressed the perils of protectionism". Kevin Watkins, our final invited guest, also offers a robust defence of the benefits of trade. 

Woods女史とBhagwati氏はまた、貿易の自由化はそれ自身では貧しい国々が直面している多くの経済問題を解決するためには不十分であることに同意している。Bhagwati氏は「製造と消費が硬直であれば、貿易からの利益は殆どないかもしれないと自由貿易業者は常に明快に言って来ている。利益は配分の再割当に対して直接的に比例しているからである。」

(この内容は少し勉強しないと 理解出来ない。2009年5月27日の私のブログで、Free Trade6に詳細な解説があるので、時間のある時に勉強してほしい。需要曲線と供給曲線の図を復習してほしい。もっと詳しい資料もこの日のブログに解説 してある。

自由貿易についてはこの昨年の時期に一ヶ月以上ブログで特集しているので勉強したい人は読んでほしい。この項を理解する上で必須ではないが。この計算式を理解出来なくてもそうだと理解してくれればそれでも良い。)

Woods女史は「自由貿易は(ほぼ)完全な競争と情報のような、他の必要な条件が配置されている時にのみ、効率的な結果を生み出す。この 目的のために、政府は独占、負の外部性、市場の失敗を避けるために介入しなければならない。」といって、同意している。

Ms Woods and Mr Bhagwati also agree that trade liberalisation is by itself insufficient to solve the many economic problems that poorer countries face. Mr Bhagwati writes, "Free traders have always been clear that the gains from trade may be negligible if there are inflexibilities in production and consumption: the gains are directly proportional to reallocation". Ms Woods would agree: she says that "free trade only produces efficient outcomes if other necessary conditions are in place such as (near) perfect competition and information. To this end, governments must intervene to prevent monopolies, negative externalities, and market failures." 

そこで、彼等は 最終的に合意したのか?いや、合意しなかった。彼等双方はオープンの貿易の利益が実現されることを求めた。しかしながら、これがどのように起こるかについては極めて異なった考えを持っていた。

Woods女史は発展途上国が富裕国の市場へのアクセスを阻害している障壁に直面しているので、そのゲームのルールを変更することが最初になければならないと信じている。

しかしながら、 Bhagwati氏は貿易を解放している国々の実績の証拠から不完全ではあるにしても、既に自由化が行われていると指摘している。「ほぼ30年の間、貿易を解放して来た国々はより成長して来ていて、これに対して、陰湿な経済実績を維持し続けた閉鎖した国家の例は事実上無い。」

So have they finally decided to agree? No, they have not. They both want the benefits of open trade to be realised. But they have very different views on how this can happen. Ms Woods believes that because developing countries continue to face barriers that impede their access to rich countries' markets, changing the rules of the game must come first. Mr Bhagwati, however, argues that the evidence from the performance of countries that have opened up to trade already suggests that liberalisation, despite its imperfections, has worked. "For a period of nearly thirty years, countries that have had trade openness have done better on growth whereas there is virtually no example of a closed country having anything but a dismal economic performance on a sustained basis". 

Watkins氏は貿易の規定は最初に変更される必要があると信じている。彼が主張するのは「世界の貿易に於ける構造的な不平等と力の不均衡が修正されねばならない。多角的な貿易の規定は貧困国の利益を改善する為に設計されるべきであって、富裕国の偽善とダブルスタンダードを適応するためではない。」と言うことだ。

これが出来ている時にだけ貿易の利益が実現できると彼は言う。彼が言うにはこういうことを言う人は多い。「国際貿易は援助以上に開発にとって遥かにより強力な力である。それは貧しい国々により大きな市場と新しい技術を提供し、生産性を上げることができる。

貿易は東アジアをまたがった経済成長のエンジンである。そして、数百万人の不安定な人々に雇用と機会を創造して来た。」とかれは書いている。

Mr Watkins also believes that the rules of trade need to be changed first. He argues that "the structural inequalities and power imbalances in world trade have to be corrected. Multilateral trade rules should be designed to advance the interests of the poor, not to accommodate the hypocrisy and double standards of the rich." It is only if this is done, he argues, that the benefits of trade will be realised. These, he says, are many. He writes: "International trade is a far more potent force for development than aid. It offers poor countries access to the larger markets and new technologies that can raise productivity. Trade has been an engine of economic growth across East Asia. And it has created employment and opportunity for millions of vulnerable people."

 

 

以上がDatta氏の意見で、Woods女史もBhagwati氏も自由貿易に反対ではない。彼女は保護主義の危険を危惧していて、自由化のあり方によって、それぞれが問題提起していると言っている。

市場がオープンかどうかについても双方意見が対立していて、Woods女史は富裕国は障壁があると言っている一方で、Bhagwati氏はそんなことはないと言っている。Watkins氏は富裕 国の偽善とダブルスタンダードを治さなければならないと指摘し、それが無ければ、自由貿易は発展途上国に援助以上のものをもたらすと言っている。いずれにしても自由貿易を否定できないと言うことを言っている。

明日は提議側のクロージング・リマークとしてWoods女史の発言だ。今週土曜日がこのグローバリゼーション研究会があるので、それまでに終わることにしよう。今日はこれまで。

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2010年05月25日

フェアな貿易と自由貿易14

昨日は風邪がまだ良くなかったが、今日は大分良くなった。晴れるのは良いが、まるでもう初夏だ。今朝は環境問題の朝食会があるから7時前には家を出ないと行けない。そうなると、このブログは6時には終了しなければならないことになる。今日も慌ただしいな。今日は夜には海野会もあるので大変だ。

さて、世界銀行の主席経済学者のAaditya Mattoo教授の続きだ。昨日は中国インドの労働者によるアウトソーシングがアメリカの景気の停滞とヨーロッパの失業を増大させ、保護主義の動きを造り出していると言った。さて、今日はその話の顛末はどうなるのだろうか。さて始めよう。




それゆえ、誰が心配しているのか何を心配しているのかは驚くべきではない。中国はアンフェアな貿易の優位を得るために為替を操作しているように見られている。

世界貿易機構は輸出助成金とか輸入関税に対する規律に関しては多くのことを行うが、為替の過小評価を抑制することに関しては殆どして来ていないし、無力のように思われる。実際上、これは輸出助成であり輸入関税の双方である。

中国を意図した発議された通貨為替監視改革法の形で、アメリカ合衆国の一方的なアクションはAFL-CIO(米国労働総同盟産別会議)のような労働組合の強力な支援がある。中国に於ける重大な投資とビジネスの葛藤が鋭く対比している。

最近の中国タイヤに対するセーフガードアクションはアメリカ鉄鋼労働者組合の労働者によってもたらされ、一方で、一般の需要家とか産業界は激しく反対して来た。

Therefore, who worries and what they worry about should not be a surprise. China is seen as manipulating its exchange rate to gain an unfair trade advantage. The World Trade Organisation is seen as impotent, doing much to discipline export subsidies and import tariffs, but little to restrain exchange rate undervaluation, which is in effect both an export subsidy and import tariff. Unilateral action by the United States, in the form of a proposed China-directed Currency Exchange Rate Oversight Reform Act, has the strong support of labour unions, such as the AFL-CIO. In sharp contrast is the ambivalence of businesses with significant investments in China. Recent safeguard action against Chinese tyres was brought by labour, the United Steelworkers Union, while the usual demanders, the industry, were strenuously opposed.

将来に潜んでいる課題は気象変動に関するフェアネスの懸念だ。中国やインドが他の国々がしなければならないと信じているほどの軽減をしないのであれば、彼らは貿易訴訟の対象たりえる。

アメリカの上院議員John KerryとLindsey Grahamは最近、ニュヨークタイムズ紙にこう書いている。

「環境標準を認めない国家に対して我々の市場は降参するべきではない。こうしたことのために、これらの標準を回避する国々で生産された商品に関税を考えるべきである。」 我々の調査ではエネルギー集約型の製造業の狭い種類に対する炭素税でさえ、中国とインドの製造輸出品を3%削減出来る。

Lurking further ahead are fairness concerns related to climate change. If China and India do not do as much to mitigate this as some believe they should, they could be targets of trade action. The US Senators John Kerry and Lindsey Graham recently wrote in the New York Times: "There is no reason we should surrender our marketplace to countries that do not accept environmental standards. For this reason, we should consider a border tax on items produced in countries that avoid these standards." Our research suggests that carbon-based tariffs on even a narrow class of energy-intensive manufacturers could reduce China and India's manufacturing exports by 3%.

広範囲にわたるアクションはもっとドラスティックな削減をすることができる。WTOが気象変動に関する貿易制裁をどこまで行うかは決して明確ではない。多角的な協調が論争を最小化するだろう。

Wide-ranging action could lead to more drastic reductions. How far WTO allows trade actions related to climate change is far from clear. Multilateral cooperation would minimise conflict.

北がフェアネスの関心事の専売ではもはやない。「出現している巨人の症候群」はだんだん、南ー南の次元を持っていて、若い巨人たち自身も彼らからの影響を受けやすい。仲間のChad Bownは2009年に発展途上国は工業国のダンピング防止のアクションのほぼ3倍を課して来た。

そして、これらのアクションの殆どはWTOの規定では弱くしか抑制されていなくて、3分の一は対中国だけであるが、他の発展途上国に対してとられて来た。先週、ブラジルとインドの中央銀行の総裁が一緒に、中国の為替管理について懸念を表明した。

The North no longer has a monopoly on fairness concerns. The "emerging giant syndrome" increasingly has a South-South dimension, to which the young giants themselves are susceptible. A colleague, Chad Bown, estimated that in 2009, developing countries imposed roughly three times as many antidumping actions as the industrial countries. And most of these actions, only weakly constrained by WTO rules, were taken against other developing countries, with one-third against China alone. Last week, the governors of the Central Banks of Brazil and India jointly expressed concern about China's management of its exchange rate.

南ー南の貿易の緊張はまた、 天然資源に対する増大する競争から起こって来ている。:エネルギー、 鉱物、土地でさえも。排他的な国際協定の幾つかが資源豊かな国家と交渉して、供給源からライバルを閉め出そうとしている。

最近、中国はボーキサイトから石炭までの原材料の彼ら自身の輸出を制限した。食料危機の時に、中国とインドは(アルゼンチン、ベトナムその他の発展途上国の輸出業者とともに)ちょっ との間、北の輸入障壁に反対したキャンペーンを行い、彼ら自身の輸出に制限を課した。

これらのアクショ ンは既存のWTOの規定の下で、正当化しうるが、彼らは輸入している諸国に対して自給自足を試みさせようとし、より広範囲の自由化を止めさせようとしている。

South-South trade tension is also arising from the growing competition for natural resources: energy, minerals and even land. Some of the exclusive international agreements being negotiated with resource-abundant countries seek to cut rivals off from supply sources. Recently, China restricted its own exports of raw materials ranging from bauxite to coke. During the food crisis, China and India (along with Argentina, Vietnam and other developing-country exporters) briefly suspended their campaign against import barriers in the North, and imposed restrictions on their own exports. These actions can be justified under existing WTO rules, but they are encouraging importing countries to strive for self-sufficiency and discouraging broader liberalisation.

これらすべての懸念ー為替不正操作、気象変動に対する不作為、ダ ンピングと輸出制限ーが、ひどく、貿易に対する開放の支援を浸食しえる。Arvind Subramanianのように、私は最近、Foreign Affairsで、これらの問題のそれぞれに対して適切な返答は、 実質的に、もしくは感覚的に、否定的な、もしくは一方向のアクションではなく、多角的な協調であると主張して来た。

Arvind Subramanian:インド国籍で、国際経済学のPeterson 機関ならびにグローバル開発センターのシニアフェローで、Johns Hopkins Universityのシニア研究教授で、IMFの研究開発部門の準理事である。

ドーハ交渉の迅速な結論はこれ らの課題の如何なるものに対しても、意義のある発言はなく、そうした協調のための空白を造り出しただけであった。

All these concerns—exchange rate manipulation, inaction on climate change, dumping and export restrictions—can seriously erode support for openness to trade. As Arvind Subramanian and I recently argued in Foreign Affairs, the appropriate response to each of these problems, real or perceived, is not denial or unilateral action but multilateral cooperation. Rapid conclusion of the Doha negotiations, which do not meaningfully address any of these issues, would create the space for such cooperation.



彼は中国の為替操作、気象変動の不作為、ダンピングと輸出制限について南ー北だけでなく、南ー南の課題として取り上げている。こうした課題解決のアプローチは多角的に行うべきであると主張している。ドーハ交渉では何ら成果が無いと酷評している。こうして、南ー南ですらアンフェアが横行していると主張している。

明日からは漸く結びの意見が始まる。あと数日で終了だ。明日はWoods教授の結びの意見からだ。彼女も終わりだから熱が入っている。明日の楽しみに。今日はこれまで。もう時間となってしまった。

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2010年05月24日

フェアな貿易と自由貿易13

週末はインライン・スケートもせず、じーっと家で寝ていたので、風邪の方は大分良くなった。でもこんなにひどい風邪は久しぶりだ。今週は重要なミーティングがいくつかあるので、気が抜けない。

それでは今日は昨日のスイスのSt.Gallen大学のSimon J. Evenett教授に引き続いて、世界銀行の主席経済学者のAaditya Mattoo教授の話を見て行こう。彼は現在サービス産業の於ける国際貿易のプロジェクトを主導していて、WTOの政策分析、活動の専門であり、発展途上国に於ける政策策定と交渉能力の強化を支援している。



主客
Featured guest
Aaditya Mattoo 

中国やインドをも含めた国際貿易に於ける新しい関係者たちは自由な、そしてフェアな貿易について北ばかりでなく、南に於いても新たな関心事をもたらして来ている。保護貿易主義から貿易を守るためにはこうした関心事は否定されるよりかは取り組む必要があり、理想的には一方向よりかは多角的に。

New actors in international trade, including China and India, are causing fresh concerns about free and fair trade, not just in the North, but also in the South. To protect trade from protectionism, these concerns need to be addressed rather than denied, ideally multilaterally rather than unilaterally.

Jagdish Bhagwati氏が「弱められた巨人症候群」(1993年のCFRの彼の論文)にあるように、1970年代と1980年代に日本との貿易のフェアネスについてアメリカの関心事を丁度見て来たように、中国とインドの出現は「出現して来た巨人達の症候群」を造り出している。

彼らの驚くべき 大きさと比較的少ない収入はヘクシャー・オーリン貿易理論に対する新しい意味を与えて来ている。もしくは労働と資 本の国家の基本財産の中の相対的な相違に基づいた貿易である。

Heckscher-Ohlin Trade Theory ヘクシャー・オーリン貿易理論:(資本豊富国の輸出は、資本集約財を輸出し、労働集約財を輸入する。労働豊富国は、労働集約財を輸出し、資本集約財を輸入する。

1970年にアメリカ合衆国の一人当たりの収入は日本のそれよりかはわずかに高かっただけであった。そしてその労働力は日本よりも2倍あった。2010年には一人当たりのアメリカの収入は中国やインドよりも7-15倍あり、アメリカ の労働力は中国の5分の一、インドの5分の2しかない。

Just as Jagdish Bhagwati saw US concerns about the fairness of trade with Japan in the 1970s and 1980s as coming from the "diminished giant syndrome", China and India's emergence is creating an "emerging giants syndrome". Their sheer size and relatively low incomes are giving new meaning to "Heckscher-Ohlin trade", or trade based on relative differences in national endowments of labour and capital. In 1970, income per head in the United States was only slightly higher than that of Japan and its labour force was twice as large as Japan's. In 2010, the US income per head was 7-15 times larger than China's and India's and its labour force was only one-fifth of China's and two-fifths of India's.

相対的な基本財産のそうした著しい差異とともに、貿易はきっと収 入の配分に影響することになった。実際の賃金がアメリカで停滞し、ヨーロッパで失業率が上昇しているので、経済学者は始めは省力化の技術的な進歩を批判した。たぶん、貿易を保護するために。しかし最近の調査でわかったことだが、それは単に技術ではない。

それはまたオフショア委託だ。:中国に対して低いスキルの製造の、インドに対しては高いスキルのサービスの。前者は低いスキルの労働者に打撃を与え、後者は中産階級に影響を与えている。

With such stark differences in relative endowments, trade was bound to affect the distribution of incomes. As real wages stagnated in the United States and unemployment grew in Europe, economists initially blamed labour-saving technological progress, perhaps to shield trade. But recent research reveals that it is not just technology. It is also offshoring: of low-skilled manufacturing to China and of higher-skilled services to India. The former hits the low-skilled hard, and the latter is affecting the middle class.

貿易の経済学者は保護主義を絶えず恐れていて、国家は貿易から利益を丸ごとすべて、原則として、如何なる敗者に補償することが出来ると主張している。実際には彼等は通常はそうしない。より深い問題がある。

国際的な統合が収入の分配に影響を与えるだけでなく、救済のアクションをとる政府の能力にも限界がある。グローバリゼーションの勝者である資本とスキルを持った労働はますます、国際的に流動的で、それゆえ、税金をかけにくい。

敗者は明白であり、スキルのない労働者であり、彼等は容易に税金から逃れることは出来ないので、2倍過大な敗者である。しかし、持続する失業と増大する債務は根本的に従来からの政治的な経済を保護の方向に変えようと しているのかもしれない。

と言うのは拡散した労働者の税金を支払う市民の不安が、集中はしているが、ますます国際的なビジ ネスの利益に対するロビー活動よりも影響力を持って来ているためである。

Trade economists, ever fearful of protectionism, argue that nations as a whole benefit from trade and can, in principle, compensate any losers. In reality, they usually do not. There is a deeper problem. Not only does international integration affect the distribution of incomes, it also limits the ability of governments to take remedial actions. The winners of globalisation, capital and skilled labour are increasingly mobile internationally and therefore hard to tax. The losers, notably low-skilled labour, are losers twice over because they cannot easily escape taxation. But persistent unemployment and growing debt may be turning the traditional political economy of protection on its head, because the angst of dispersed worker taxpayer citizens is becoming more influential than the lobbying of concentrated, but increasingly international, business interests.

従来型の貿易モデルではなく、中国は安価な労働が、またインドではスキルを持った労働がアウトソーシングと言う形態で、拡大して来てい る。そのため、アメリカの景気の停滞、ヨーロッパの失業がその影響を受けている。そのため、新たな保護主義の機運が生じて来ている。中国とインドでは輸出する労働の中身が違い、中国は安価な労働であり、インドはスキル労働者なので、欧米に与える影響はそれぞれ市場が異なる。

これは新たな、保護貿易のインパクトだとAaditya Mattoo教授は言っている。今日はこれまで。

 

 

 

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2010年05月23日

フェアな貿易と自由貿易12

昨日から風邪を引いてしまい、照度週末だったので、助かった。土曜日に医者に行ったら、熱はあったが、只の風邪だったの安心した。社長業をしているので、健康には配慮しているが、今回の風邪は大分良くなってもう治ったと思っていたが、なぜかぶり返して来た。原因はわからない。公私共々無理はしていないのだが。

さて、昨日はBhagwati教授のWoods教授への反論だった。今日はサイモン・J・イバネット氏が意見を述べているが、彼は2000年の『世界開発報告』の共同執筆者であり、また、Can East Asia Compete?: Innovation for Global Markets (Simon J. Evenett, Shahid Yusuf) を書いている。この内容に関心があれば以下を参照のこと。日本語で解説が書いてある。
dakis.fasid.or.jp/report/pdf/BriefingReviewNo44.pdf

かれはスイスのSt.Gallen大学の国際貿易並びに経済開発の教授でInternational Trade and Regional EconomicsのCEPR(Centre for Economic Policy Research 経済政治研究センター)プログラムの共同責任者である。では始めよう。ところで、こうした人物の紹介が日本語のインターネットでは決して無いのだが、なぜだろう。



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主客 Simon J. Evenett 
Featured guest Simon J. Evenett 

あなたが完全に理解していないことに投票しては行けない。フェアな貿易が本当は何を意味するのか知ることができる人はいない。この提議する側と反論する側との間に少なくとも半ダースものフェア な貿易とは何かという考え方が提案されて来ている。

他の人たちが同意している考え方の代替案が何であるのか誰も知らない。以下の2つの指摘は警告としては十分だ。:あなたがフェアな貿易の一つの側面に賛成していても、フェアな貿易の促進にコミットしている政府とか国際組織が同じ考えを支持していると思っては行けない。あなたの仲間の旅行者が何を求めているのかに注意せよ。フェアな貿易と言う感情的な言葉には共感 Unityと言う嘘の感覚がある。

Don't vote for what you can't fully understand. No one can know what fair trade really stands for. Between our proposer and opponent at least half a dozen notions of what fair trade were advanced. Who knows what alternative notions others subscribe to? These two points should be warning enough: even if you favour one aspect of fair trade don't think that a government or an international organisation committed to promoting fair trade supports the same things. Be careful what your fellow travellers want. Emotive terms like fair trade provide a false sense of unity.

フェアな貿易とは建設的な政策立案者に対する信頼できる指標ではない。中国の固定為替制度は現在のワシントンでは嫌なものであって、もしくは日本と韓国の産業政策は過去において、つかみ所の無いものだったが、しばしばこうした捉え難い、複雑な問題は貿易のフェアネスによって、 うまい具合にまとめられてきた。

不正行為をしている外国人が、今日、批判されているものすべてに罰則的な手段が適用されるのであれば、 こうした感情的な訴えかけは傷ついたこうした国内の利益から注意をそらすための意図的な試みである。

気の効いた知識人はアンフェアな貿易と言う言葉を戦略的に利用することによってだまされてはならない。

Nor is fair trade a reliable guide to constructive policymaking. Whether it's China's fixed exchange rate regime, the current bête noire in Washington, DC, or Japanese or Korean industrial policy, bugaboos from the past, often subtle and complex matters are reduced to sound bites about the fairness of trade. These emotive appeals are a deliberate attempt to shift attention from those domestic interests that will be hurt if punitive measures be taken against whichever cheating foreigner is being criticised today. Intelligent citizens should not be fooled by the strategic use of the language of unfair trade.

貿易改革の目的と手段と世界経済への国家経済の統合の明確な良い点と悪い点をについてもっと良く議論する必要がある。ここでは言葉の上でのショートカットはない。:国境にまたがった取引は顧客、社員、企業そして政府の日々の生活の一部となって来ているので、解説者にとって唯一の正直なオプションは完全な絵を描くしかない。

実際に、そのようなオープンなアプローチは顕著な驚きをもたらしうる。例えば、コペンハーゲン合意2008プロジェクトのための背景の報告書の一つは更なる貿易改革の利益は発展途上国からのより大きな移動による利益と比べると影が薄れてしまうことを示している。より多くのそうした証拠に基づいた政策立案が必要だ。

(ここで言っている移動と言うのは発展途上国から先進国への頭脳 流出のことだと思う。国際的な人口移動のこと。)

It would be far better to have a debate about the specific rights and wrongs of the ends and means of trade reform and the integration of national economies into the world economy. There are no rhetorical short cuts here: cross-border transactions have become so much a part of daily life for consumers, employees, firms and governments that the only honest option for the analyst is to lay out the full picture. Indeed, such an open approach can reveal important surprises. For example, one of the background papers for the Copenhagen Consensus 2008 project showed that the benefits of further trade reform paled in significance besides the benefits of allowing greater migration from developing countries. More such evidence-based policymaking is needed.

このことは世界の貿易システムが完全だと言うことを意味していない。それよりかはかなり離れている。むしろ、見せかけだけの考えとか感情的なうわべだけの言葉だけで、完全さを修復する機会など殆どない。フェアな貿易と言う言葉は殆どいつも有権者と同様に政策立案者を「誤解されやすくする」misleading ための「軽い」cheap 試みの中で使われて来た。

「軽い」と言うのはその結果が概して、提供されると言うよりかは微妙な違いとして表現されるためである。「誤解されやすくする」と言うのはグローバルな相互依存の性格は自由貿易に賛成したり、反対し たりしたきちんとした見解の中に企業の、顧客の、社員の幸福が容易に分類し得ないと言うようなものだからである。

17-18世紀のヨー ロッパの啓蒙運動のすべての子孫は政策解説者、政策立案者そしてNGOのフェアな貿易とよりよい要求の考えを否認するべきである。

None of this is to imply that the world trading system is perfect; far from it. Rather, that we stand little chance of fixing it with shoddy thinking and emotive rhetoric. The term fair trade is almost always employed in cheap attempts to mislead voters and policymakers alike. Cheap because the issues are typically more nuanced than presented. Misleading because the nature of global interdependence is such that firms’, consumers’ and employees’ welfare cannot easily be sorted into neat camps for and against free trade. Every child of the Enlightenment should repudiate the notion of fair trade and demand better of policy analysts, policymakers and NGOs.

彼の文章は哲学的で、難しい。フェアな貿易を言う言葉は感情的で、微妙な意味合いを持って いるからごまかされやすい。現実のグローバルな世界の解決の手段とはなり得ないと言っている。さて明日はAaditya Mattoo氏の意見だ。かれは世界銀行の開発研究グループの主席経済学者である。
http://www.economist.com/debate/days/view/514

今日はこれで終わりだが、まだまだ続く。The Economistの特集なので、イギリス人の雑誌だが、いろいろな人がいろいろなことを言ってディベートを盛り上げている。今日は休みなので、
サイ モン・J・イバネット氏の言っていることを勉強してほしい。私は今日は頭がぼーっとしていて動かない。では、今日はこれまで。





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2010年05月22日

フェアな貿易と自由貿易11

昨日このブログの件で、大学の方と話をする機会があったが、内容が難しくて、理解するのが大変だと言っていた。その通りで、ここの登場する人たちは著名な学者ばかりで、難解な人が多い。気軽に読める内容でないので、恐縮している。

この週末にはこの「フェアな貿易と自由貿易」のディベートを終わるだろうと思っていたが、終わりそうにない。次も同じディベートを扱おうと思っている。アフガ ニスタンがテーマだ。だから、このテーマは早く終わらせたい。量が以外と多く、なかなか終わらない。

さて、昨日はBhagwati教授のWoods教授に対する反論の続きだ。彼の反論か彼女が言う「自由貿易は害を及ぼす。」と言うことに対する反論から始まっていた。中国、インドの貧困ライ ンを救って来たのはこの自由貿易ではないかと言っている。

ただ彼も、この自由貿易に対して懸念はある。それはフェアかどうかである。そうした懸念に対して彼女の考えから今日は見てみることから始まる。では始めよう。






本質的に彼女は 3つの議論を提起している。第一に、(再び、Oxfamを引用するが、)「貿易システムの規定」は発展途上国に対して、「不正に操作されている。」第二に、この貿易システムの規 定は先進国が作っていて、開発途上国ではない。第三に、貿易による利益の配分は貧困国に対しては歪められている。

In essence, she produces three arguments. First, that (again quoting Oxfam) the "rules of the trading system" are "rigged" against the developing countries. Second, the rules of the trading system are made by the developed and not by the developing countries. Third, the distribution of the gains from trade is skewed against the poor countries.

最初の議論で、手短かに言えば、「第二部並びに特別かつ差別的な処置」(WTOの各協定における途上国向けの配慮条項。義務の減免、経過措置の付与等を定めている。 )がGATTにおいて開発途上国に長い間、 適用されて来た。これは互恵貿易をするための譲歩の手段として要求されて来ていなかった。これはまた、貿易障壁は発展途上国よりも先進国が平均的に高いと 言う良くある主張が製造業に於いてはなぜ正しくないのかと言うことでもある。

この製造業は農業が1955年にウェ−バー条項によって除外 されて以来、1995年までGATTの主要な焦点であった。

ウェーバー条項:GATT体制は自由貿易を原則としているが、特例として本条項に基づき自由化義務を免除している品目がある。

この条項は、GATT加盟国の3分の2以上の多数決により、特定の産品について輸入制限を認めるというもの。実際にこの恩恵を受けてきたのはアメリカだけで、具体的には酪農品、砂糖、ピーナッツ、綿など14品目が対象になっている。その特徴は、アメリカが国内価格を保護するため農業調整法で輸入制限することにした品目は、自動的にウェーバー品目となり、かつ、その期限は半永久的であるという点である。ウルグアイ・ラウンドの農業分野では、日本のコメが問題 にされることが多かったが、アメリカのウェーバーの方が「聖域」としての性格がより強かったといえる。

1992年11 月のアメリカとEC間の「ブレアハウス合意」で、双方が農業分野で歩み寄り、さらに 1993年秋になって日本がコメ問題で譲歩したことから、8年越しのウルグアイ・ラウンドも基本合意し、ウェーバー品目にも課税されることが決定した。


On the first argument, let me briefly say that "Part II and Special & Differential Treatment" have long been applied to the developing countries at the GATT. Little was demanded by way of reciprocal trade concessions. This is also why the frequent allegation that trade barriers are higher on the average in the developed than in the developing countries is incorrect for manufactures, which were the principal focus of GATT until 1995, since agriculture was excluded by the 1955 waiver.

第二の議論として、私が疑いなく同意しているのはIMFとか世界銀行のような幾つかの機関が発展途上国からの声をより必要としていることだろう。 Dominique Strauss-KahnとRobert ZoellickがEUとアメリカ合衆国からそれぞれ推薦されたも同然だと言うことは不面目なことだ。

対照的に、WTOは薔薇のような香りがする。Pascal Lamyは彼の最初の任期を得るために厳しい戦いをしなければならなかった。また、WTOは総意にもとづいて仕事をしている。殆ど財政的な貢献度合いに基づいて投票をしていない。

実際に、それはWoods教授が賞賛しそうな覇権国家との自由貿易協定である。それは発展途上国の均整のとれていない搾取に対する手段である。あらゆる種類の貿易に関連しない要求が覇権国家のロビー活動によってもたらされて来ているが、一対一の交渉で、発展途上国にさらされている。これらの要求が彼等にとって良いことであるかのような既成の価値を疑うような、嘘で。私の2009年の本を参照してほしい。「貿易の システムに於けるシロアリ:特恵協定 がどのように自由貿易の土台を崩すか。」

On the second argument, I certainly agree that several institutions, such as the IMF and the World Bank, need more voice from the developing countries. It is scandalous that Dominique Strauss-Kahn and Robert Zoellick were more or less nominated by the EU and the United States respectively. By contrast, the WTO smells like roses. Pascal Lamy had to fight hard to gain his first term. Also, the WTO works by consensus; there is almost no voting by financial contribution. In fact, it is the free trade agreements with hegemonic powers that Professor Woods seems to celebrate, which are the vehicle for the asymmetric exploitation of the developing countries. All kinds of trade-unrelated demands, driven by lobbies in the hegemonic power, are imposed on the developing countries in one-on-one negotiations, under the cynical pretence that these demands are good for them: see my 2009 book, "Termites in the Trading System: How Preferential Agreements Undermine Free Trade".

第三の議論として、Woods 教授は再び、Oxfamを参照して、貿易から得た利益は殆どすべて先進国と中位の発展途上国から生じて来たものだと主張している。しかし、中位の発展途上国はしばしば他の改革の中で貿易をよりよく開発した政策に変更して来ているので、「貧しい」国に終止符を打って来た。

Woods教授によればOxfamは「活発な動き」を造り出し、もしかすると、他のイギリスの慈善事業並びに吟遊詩人トルバドゥールの中で。彼のエレクトリック・ギターはイギリスの中で、実際上、学者達の声をかき消してしまったようだ。しかし、どこか他の場所で、Oxfamの報告書はそれが馬鹿げた内容だとランク付けされているようだ。

(彼はイギリスの慈善事業の人たちが言っているほど先進国が貿易で利益を独占していないと言うことを言おうとしているのだが、ここで言っているような吟遊詩人の背景は日本人には理解できない。)

For the third argument, Professor Woods turns to Oxfam again, citing its assertion  that the gains from trade had accrued almost entirely to the developed and middle-income developing countries. But the middle-income developing countries often ceased to be "poor" countries because of changed policies that exploited trade better, among other reforms. Oxfam created a "stir", according to Professor Woods, maybe among other British charities and the singing troubadours whose electric guitars seem to drown out the voices of scholars effectively in Britain. But elsewhere, the 2002 Oxfam report is seen to be the rank nonsense that it is.

以上がBhgawati教授のWoods教授に対する反論だが、彼の方に歩がありそうだ。以前は私もアフリカの綿花産業が消滅したのはアメリカの助成金で補助を受けた綿花が悪いと思っていたが、今回の議論で、そうでもないと言う理解に変わっていた。

一昨日も示したように、非農産品の譲許税率は先進国は低い。また、確かに、IMFとか世界銀行は欧米人がトップを占めているが、WTOは違う。さらに、先進国が利益を独占していることにも反論している。ところで、こうしたグローバルな組織での日本人は極めて少ないのもの問題だ。今日はこれまで。

明日は主客 Simon J. Evenettの意見を取り上げよう。







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swingby_blog at 07:24 

2010年05月21日

フェアな貿易と自由貿易10

今日は6時から経営会議だから、6時前に終わらなければならない。さて、昨日のオックスフォード大学のWoods教授の自由主義反対論に変わって、今日はコロ ンビア大学のBhagawati教授の彼女への反論だ。議論の持って行き方に注目してほしい。ただ否定するだけでなく、読者を意識した、シナリオを彼等は考えている。このテーマは本来どっちが勝ってもおかしくない。では始めよう。





Jagdish Bhagwati
反対する側の反論
The opposition's rebuttal remarks
May 7th 2010 | Jagdish Bhagwati  

美は見る人の目の中にある。貿易に於けるフェアネスもまた、あなたがそれを定義するために選ぶ方法である。

Beauty is in the eye of the beholder. Fairness in trade also is the way you choose to define it.

私の最初の意見で私は今日自由貿易に反対したフェアな貿易の3つの流行の概念を取り上げ、厳しく批判して来た。私の最も気品のある友人であるNgaire Woods教授はフェアな貿易の全く異なった考えを持っているが、経済学と言うよりかは政治科学が彼女の専門である。国際管理に於ける彼女の関心、そして 反貿易運動の活動家への接近、イギリスの特質を特徴づけているOxfamのような慈善事業がそうである。

しかし、フェアな貿易の彼女の考えに従って、自由貿易がアンフェアであるという自由貿易に反対する議論の時でさえ、Woods教授は私を説得出来なかった。

( 反貿易運動はメキシコのNAFTAに見られたサパティスタ運動のようなものを言っているのだと思う。次のところに簡単な説明がある。5分で読めるので参照 してほしい。

 teikokushoin.co.jp/teacher/high/.../pdf/200308/geography200308-14.pdf

In my initial statement, I had taken, and taken apart, three fashionable concepts of fair trade which are pitted against free trade today. My most distinguished friend, Professor Ngaire Woods, is concerned with altogether different notions of fair trade, reflecting her specialisation in political science rather than in economics, her interest in international governance, and her proximity to the activist anti-trade movements and charities such as Oxfam that dominate the English landscape. But even when arguing against free trade because it is unfair according to her notions of fair trade, Professor Woods fails to persuade me.

彼女は最初に、「自由貿易は悪い名称だ。」と言った。彼女がこのことを信じているのは彼女が主張するアンフェアな貿易の考えからではなく、(この考えは下記で私が書いている。)また、自由貿易が害を及ぼすという主張に対して共感しているようだからだ。

彼女はOxfamを引用している。貿易に関してこの組織の著者は「貿易は貧しい人たちから適切な生活を奪い、 彼らを貧困の罠に押し込めている。」と主張している。インドと中国での最近の20年間の急激な成長に於いて貧困ラインから引き上げられて来た約5億人にた いしてそのことを話そう。と言うのはある程度は、早い時期の政策では尻込みして来た貿易と国内への投資機会の開発を含めた政策を変えて来たためである。

(ここでは彼女との議論の背景が違うことを思い出してほしい。Woods教授はアフリカを例に出して、Bhgawati教授は東南アジアだ。だから背景が違うので、自由貿易の成果も当然違っている。アフリカのサハラ砂漠以南のサブサハランは自由貿易によって更に貧しくなって行ったが、中国インドは違って行ったということ。)

She claims at the outset that "free trade has a bad name". She believes this, not because of unfair trade notions she cites (which I address below), but also because she seems to be sympathetic to the allegations that free trade is a malign force. She quotes Oxfam, whose writers on trade claim: "Trade robs poor people of a proper living, and keeps them trapped in poverty." Try telling that to the nearly 500m people who have been pulled up over the poverty line in the last two decades of rapid growth in India and China, in part because of changed policies that included exploiting trade and inward investment opportunities that earlier policies had shied away from.

Peter Sutherlandが議長をした専門家グループによるWTOの将来と言う報告書では自由貿易に反対した多くのそうした主張が述べられている。この報告書は現在、販売されていて、最も良く参考にされている。私の2004年の本「グローバリゼーションを弁護して」もまた、貿易が性の平等とか民主主義のような社会の目的の土台を崩していると言う主張に対して取り組んでいて、これらの懸案課題同様に、貿易は一般的にこれらの課題を不利な立場に立たせるよりかは、 促進すると結論づけている。

The Report on the Future of the WTO by the expert group chaired by Peter Sutherland addresses many such allegations against free trade that are circulating today and is best consulted directly. My 2004 book, "In Defense of Globalization", also addresses the allegations that trade undermines social objectives such as gender equality and democracy and concludes that trade generally advances, rather than handicaps, these agendas as well.

さらに、自由貿易が多くの国々において大多数の人々に拒否されていると仮定する のは正確ではない。アメリカ合衆国での世論調査で現在の危機の最中でも大多数が自由貿易に反対してはいない。

今日の相互依存の世界経済に於いて、多くの人は輸出が彼らの仕事を支え、保護主義は保護された活動の直接影響のある数千の仕事を救っていると理解しているようだ。しかし、報復が始まる時にはこの国家はその代わりに数万人の仕事を失うこともあり得る。

これは「安物買いの銭失い」の政策である。私のチームが私と最近アメリカの最も堅実な3人の保護貿易主義者と数百人の観衆の前で、議論した時に55対45% で我々が負けるというWoods教授が言っているような悲観的な意見が主導的だった。しかし、投票は80対20%で我々が勝った。

Moreover, it is inaccurate to assume that free trade is rejected by the majority of people in many countries. The polls in the United States, even in the middle of the current crisis, did not shift a majority against free trade. In today's interdependent world economy, many seem to understand that exports sustain their jobs and that protectionism may save a few thousand jobs in terms of its direct impact on the protected activity but, when retaliation kicks in, the country could lose hundreds of thousands of jobs instead. It would be a policy of "penny wise and pound foolish". When my team and I recently debated three of America's staunchest protectionists, with hundreds in the audience, I had been persuaded by pessimistic statements such as that by Professor Woods that we would lose 55:45%. But the vote went 80:20% in our favour.

しかし、それゆえ、我々が自由貿易を良いと言っていることは危険である。と言うのはより自由な貿易が良い以上に害をもたらしたり、大多数がそのように思っていたりすることではなく、今日の貿易が広くアンフェアだと考えられている非難のためでありはしないか?

も ちろん、あなたが世論調査で質問すれば、貿易はフェアでなければならないし、 あなたがフェアネスによって意味するものを詳細に述べなくても、あなたは大多数の人がそうあるべきだという答えを得るだろう。

そうでない答えを得るとすればあなたは悪人か鬼のような人であるに違いない。この重要な質問は:もし人々が適切な議論に参加しているならば、私が述べていたような、 もしくはWoods教授と私が持っているような、そして、双方がフェアネスによって意味するものが何であるのかを、フェアな貿易のその特別の考えに賛成し、もしくは反対する議論は一体何なのか、何に投票するのかを理解しているのか?

その意図を汲み取ると、どっちが洗練された民主主義に貢献することができるのか。Woods教授の関心事からまず考察してみよう。

But then are we who favour freer trade in danger, not because freer trade causes harm rather than good or that the majority think so, but because of the charge that trade today is widely considered to be unfair? Of course, if you ask in the polls, should trade be fair, without elaborating what you mean by fairness, you are going to get a majority saying it should be. You would have to be a knave or ghoulish to say otherwise. The important question is: if people are exposed to proper debates, like the one I described or the one that Professor Woods and I are having, and understand both what is meant by fairness and what are the arguments for and against that specific notion of fair trade, what would be the vote? In that spirit, which alone can contribute to an informed democracy, let me now consider Professor Woods’ concerns.

彼の意見を今日全部載せてしまうのはさすがに量が多いので、ここで半分に分けることにした。このように見てくると、自由貿易とフェアな貿易とはどうも基準というか概念が違うように思える。ここに書いてあるように、自由貿易だが、フェアでないと言うことが問題だし、自由貿易でない世界にフェアかどうかの考え方を持ってくるのには無理があるように思うというがBhagwati氏の論理だ。

Woods教授はアメリカとかヨーロッパの農業助成金はフェアではないと言い、アフリカのコーヒー豆のような脆弱産業への保護主義による助成は否定していない。 Bhagwati教授はこれに疑問を投げている。何がフェアかと言う判断基準だ。これもBhagwarti教授が言って来たことだ。今日はこれまでだが、 明日はBhgawati教授のWoods教授への問題提起から始めよう。今日はこれまで。
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swingby_blog at 05:52 
プロフィール

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プロフィール

海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
Swingby 最新イベント情報
海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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