2009年02月07日

「盗難」

大連の青空市場には毎月研修生を連れて見学に行っている.実は昨年の10月からそこの場所が閉鎖になってしまい、何処に移動したのか調べている.そこは携帯電話の盗品を売っている.弊社の社員が数年前にそこの市場で携帯電話をすられたことがあった.盗難は中国では日常茶飯事である.特に最近は貧富の差が拡大して来ているから尚更だ.

昨日は「誘拐」だったが、人身売買が闇社会でない人があまり罪の意識を持たずにやっていると言ったが、このテーマも「人」の盗難だね。中国は下記に示すように道教の発祥地である.なぜ中国は日本と違い、こうも盗難が多いのだろうか.何処においても直ぐに盗まれてしまう.自転車も車もである.どうしてだろうか。

「古代中国の春秋時代の思想家である老子(B.C.5世紀頃)の唱えた『道(タオ)』の思想は、戦国時代の荘子(B.C.369-286)の無為の思想と並んで老荘思想と言われます。人為的な営みを排して無為自然の境地に遊ぼうとする『道教』は、世俗(君子の道)における立身出世を目指す『儒教』と対極を為していますが、近代以前の中国民族の基本原理はこの相矛盾する『儒教(陽)』と『道教(陰)』から成り立っていました。儒教では人間世界の社会秩序(権力機構)を規定する究極の原理として『天』を仮定しましたが、道教ではこの世界のありとあらゆるものを生み出す根本原理として悠久無辺の『道(タオ)』を考えました。

道教では、世俗的な欲望や物質的な価値を否定的に見て、人為的な計らいを何もせずに、ただ自然のままに生きる『無為自然』を重視します。老子や荘子は、世俗的な問題(地位・財産・権力・名誉・性欲)とできるだけ関わらずに『無為自然』を実践することが、人間の理想的な生き方(倫理)につながると考えました。」(『老子 上篇』の書き下し文と解説:1)

論語もそうであるが確かに2000年以上も前のこうした偉大な人物がそれ以降出て来ていない国も珍しい.未だに、論語をはじめとした四書五経を超えた書物が出てこないのは不思議だ.日本では江戸時代から戦前までの子弟教育では、論語など「四書五経」の素読がよく行われていた。

中国でも同様で、文化大革命になる前まではこうした習慣が残っていた.中国も日本も戦前はたいていの知識人はこうした四書五経の素読を子供の時に意味もわからずにして来ている.

「本音を言えば、古典の素読をやらせてくれる、昔風の寺子屋を探していました。論語の素読を実施しているという、某幼稚園の記事を新聞か何かで読んだ記憶がありますが、今日に至るまで、古典の素読を行っている塾を発見ことはでませんでした。

何故、筆者は二人の息子に素読をやらせているのか。それは、明治維新の志士たちの素養の基が四書五経だったからである。同時に、中国古典の素読を通じて人間として大切な志を持つようになって欲しいという願いもある。それが素読を子供たちにやらせている理由である。」(教育の原点を考える 2005年6月18日)

「私はこの夏、地元の『犬養木堂記念館』に行ってきました。犬養木堂(毅)は、第29代総理大臣です。木堂の父は儒学者で、木堂は父から四書五経の素読を受けました。6歳から漢学を、10歳から経学を修めました。また中国辛亥革命(1911)の前後には、「孫文」らと親交が深かった、ということです。ここにも一人、中国と縁を、切っても切れない人がいました。

犬養首相は、昭和7年(1932)5月15日事件で殺されるのです。海軍の青年将校に銃で撃たれるのですが、傷付きながらも、「あの青年を呼べ。話せば分かる。」と言ったのです。(重傷で、翌日死亡)この、(話せば分かる)と犬養首相が言ったことは、『四書五経』等の影響があったに違いない、と私は思うのです。」(首相の靖国参拝について 「日本国の刷新・再生」―21世紀研究会)

「中国では官吏登用のことを選挙というが、試験には種々の科目があるので、科目による選挙、それを略して科挙という言葉が唐代に成立した。 ... 金持ちの家では、子供を寺子屋に入れて『論語』をはじめとする四書五経を徹底的に覚え込ませる。」(楽しい世界史中国史中国の試験地獄科挙その1)

孫文と一緒に革命を行った人で、名前を忘れたが、その人の自伝で、小さい時に四書五経を暗記させられ、物心がつくようにって、その幼少の時に暗記していた言葉の意味が突然分かったと言うようなところがあった.日本も昔はそうであった.その四書五経が日本人も中国人も戦前は彼らの精神のよりどころであった.明治維新のあの志もここから来ている.

日本は戦争に負けて、この四書五経の素読が教育勅語とともになくなってしまった.しかしながら、日本の文化に老子の考えはなくなっていなかったが、中国では全くなくなったと言って良いだろう.一方で、日本は愛国精神が全くなくなってしまったが、中国人は国を愛している.日本人は日の丸と国歌を大事にしなければ行けない.戦後の多くの教師はなさけない。さて、中国人の盗難の続きだが。

2007年3月26日のAP通信社の報道によると麦氏は1983年より中国当局のために働き、逮捕される2年前までの20数年間で、武器、原子炉および米国潜水艦における推進システムを含む100以上の軍事機密書類を盗み、中国当局へ渡していたそうだ。

「17日付中国紙、新京報によると、四川大地震で被害の大きかった四川省・北川県で、被災宅などから貴重品が盗まれる事件が横行、公安当局は15日夜だけで30数人を拘束した。」(産経ニュース 2008年5月17日)

日本の阪神大震災ではこうした泥棒はいなかった.文化大革命以前に教育を受けたCNPC(中国石油天然ガス集団公司)で昔企画部長をしていた韓さんは四書五経に精通した立派な人だ.最近の社会人のトップエリートはこうした素養がある.雑誌の「財経」もこうした知識人を前提に書いてある.

今の中国は「低開発国」「発展途上国」「先進国」に分けられる.こうした盗難とか昨日の人身売買をしているのは実は7億の低開発国の人たちだ.障ナ小平の「可能な者から先に裕福になれ。そして落伍した者を助けよ。」という先富論がこうした格差を生み出して来た.農村と都市の最大の格差は10数倍だ.

「先進国」の人口は5000万人から1億だが、毎年、2000万人は先進国のの住民になっているが、13億の国民が「先進国」入りするにはあと10年はかかる.その頃にはCDPがアメリカを抜くだろう.中央政府はこうした貧困をなくすために、三農問題にたいして農業税の廃止、灌漑設備の開発、最低賃金の引き上げを行って来ている.豊かにならなければ、こうした問題は解決出来そうにない.

と言う事はあと5年は貧しい人たちが数億人はいることになる.この中国人の盗み癖は文化のような気もするが、中国の歴史にはそうした背景は無い.ものを盗む.ゴミを捨てる.環境を汚す.自分の事しか考えない.こうした事は「低開発国」特有の現象だ.日本も昔はそうだったのかと言うと、そうでもないが。

「天然ガス盗難の被害が深刻 中原油田
河南省と山東省にまたがる中原油田では近年、天然ガスの盗難が非常に深刻な問題になっている。現地の住民が、村の付近にある油井のバルブを開け、ビニールシートを張り合わせて作った大きな袋に天然ガスを充填し、持ち帰って使用しているという。」(「人民網日本語版」2004年6月25日 )

0625-3-1-220こうして天然ガスとか原油まで盗むとなると、冗談かと思ってしまう.この写真は漫画だ.写真だけだとなんだかわからない.文章だけだと、あり得ないと思ってしまう.また信じられない事だが、こんなのもある.こう言う盗みをする人が後を絶たないので、こうした禁止令が出たのだろう.

「金属盗難が多発、マンホールのふた買い取り禁止令
金属価格の高騰が続く中、北京市ではマンホールのふたやレールなど公共物の盗難が相次いでいる。このため同市公安局は廃品処理業者に対して、18日から公共物の買い取りを禁止する通知を発表した。19日付で新京報が伝えた。」(サーチナ  2007/03/20)

自転車とかパソコンの盗難は多すぎて、統計値が無い.文化財の盗難も数限りが無い.それだけではない.中国の新幹線は日本の新幹線をそっくりコピーしたものが、今では250kmのスピードを出して無数にはしっているが、設備の盗難があとを経たないようだ.

「弾丸列車「1か月検診」、備品持ち去られボロボロ―河南省鄭州市
 2007年5月17日、鉄道高速化計画の目玉として登場した弾丸列車が走行を開始して1か月、定期点検のため河南省鄭州市の鉄道局検査場に戻ってきた。約100人の技術者が車体を検査したところ、無残なほどボロボロにされていることがわかった。

ボロボロになった原因は乗客による備品の持ち去り。被害が最も多かったのは手洗い場のセンサー式蛇口。多数取り外されてなくなっていた。さらに緊急脱出用のハンマー。また密室であるトイレも被害が大きかった。便座の温度調節つまみやペーパーホルダーの軸さえ取りはずされ消え失せている実態には、ただもうむなしさが募るばかりだと技術者たちはこぼす。」(ヤフーニュース 2007年5月18日)

それではなぜ私の大連のBPO会社ではパソコンとかデータの盗難が無いのか.それはさきほど言ったように「先進国」に人たちだからだ.彼らの生活は日本と全く同じで、教育のレベルも高い.会社で、財布を机の上に忘れてもなくならない.住友化学の米倉社長が中国人の社員に人事データベースを公開したのもそうした背景がある.同じ中国でも、「先進国」は日本と同じだと言う事だ.

日本人には信じられないかも知れないが、我が社の社員が泊まるホテルは内部は5つ星のホテルと一緒だが、料金が250元だ.さらに驚くのは妻は中国人だが、そこに泊まる時には貴重品を枕の下に入れて寝ている.まさかと私はいつも苦笑している.備え付けの金庫は絶対に使わない.もともと身内以外の人を信用しない国だが、徹底している.

文化大革命が終わってからの10年はまだ、障ナ小平の南巡講話は無かった.都会の人は国有企業に勤めていて、終身雇用だった.会社は家族閥と同じで、みんなが家族だった.仕事をしなくてもお金はもらえた.平和な世界だったから、盗難は無かったに違いない.この20年で、世界が変わったと言う事だ.だから、昔は良かったと言う老人は多い.

明日は「エイズ」だ。広州の売春婦。薬害でエイズになった農民.結構ヤバい。70万人がエイズだと言われている.世界では4000万人。日本では1万人.血液と精液・膣分泌液、これさえ気をつけていれば移ることはないが、中国では売春による拡散が心配だ.統計値では多いとは言えないが、本当の実態はわからない.

swingby_blog at 06:05コメント(0)トラックバック(0) 

トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
プロフィール

swingby_blog

プロフィール

海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
Swingby 最新イベント情報
海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
講演・メディア出演

最新記事
月別アーカイブ
Recent Comments
記事検索
ご訪問者数
  • 今日:
  • 累計:

   ご訪問ありがとうございます。


社長ブログ ブログランキングへ
メールマガジン登録
最新のセミナー情報を配信します。
登録はこちらのフォームから↓