2009年02月26日

「行政手続きの不透明性」

今日も4時前に起きたので、今日のテーマもまともに取り組めそうだ.こうしたボディブローのようなテーマは最低3時間は必要のようだ.2時間だと引用だけで終わってしまうし、考えることができない.問題は3時間も画面を見ていると字が読めなくなってしまう事だ.歳のせいだからしょうがない.今週の土曜日からこのチャイナリスク」研究会が始まるので、どうしよか考えなければならない.とりあえずは今日のテーマの引用から始めよう.難しいのは冒頭だけだ.少し我慢してほしい.

「中国WTO加盟時におけるひとつの焦点に、中国の行政手続等の不透明性をいかに改善するかという問題があった。この点に関連するいくつかの重要な法令が出された。

特に注目されるのが、行政許可法(全人代常務委・2003年8月27日公布、2004年7月1日施行)である。同法は、行政許可(行政機関による、公民・法人等が一定の活動に従事することに対する許可)の手続(申請手続、審査、期間、費用、監督等々)についての基本的な点について規定している。きちんと実施されれば行政手続の透明性という点で相当の進歩と言え、大きく期待したいところではある。なお、このほかに、各分野(例えば金融機関等)ごとに、許可手続に関するより具体的な規定がいくつか出されている。

 また、土地使用権の払下げ(中国では、基本的に払い下げを受けた土地使用権でないと譲渡や賃貸することができない)に関する手続については、国有土地使用権協議払下規定(国土資源部・2003年6月11日公布、2003年8月1日施行)が出された。」(http://www.cjcci.biz/sansi_pdf_2004/2_15_2.htm)

「中国政府は、WTO加盟前からWTO協定に適合するよう法制度の整備を進め、膨大な量(地方法規を含めると2,500を超えると言われる)の法律・法規の改廃・制定を行うとともに、WTO加盟文書による約束事項の遵守を表明しており、今後も関連法規の改正が期待されることから高く評価できる。

投資認可においては、銀行、保険などの分野で認可の数的制限は行わないことになっているにもかかわらず、WTO加盟後1年間で保険1社しか認可されないのは運用上問題があるとの指摘があった。また、地方政府から既に認可を取得していた投資項目について、WTO加盟後、中央政府から認可の取り直しを求められたケースなどが報告された。

製造業分野においては、特定の投資認可案件について標準的な審査期間の設定がなく、投資がいつ認可されるのかされないのか、結論が出るまで非常に長い時間がかかることが多く、中国側の全般的に投資を歓迎するとの方針に反するものではないかとの意見があった。一例をあげると、自動車、二輪車に対しては、「汽車(自動車)工業産業政策」(94年)でいうところの「1外資2合弁」(29条)規定が改定されていない現状や、二輪車を外資投資の「奨励」項目としておきながら、ナンバープレート登録規制を実施する都市が年々増えているなど、中国政府のいう投資促進の主旨に反しているとの指摘があった。

また、WTO加盟3年後に、貿易業と流通業が外資に全面的に開放されることになっているが、単一の企業が製造業の認可と併せ、あるいは、単独で、貿易業および流通業双方の認可を受けられるように規定が整備されることを望むとの強い意見が関係業界からあった。

さらに、多くの企業が投資性公司を設立し、それを中核に企業集団を形成しているが、自社の輸入製品に対するアフターサービス活動が許されていないなど、いまだ国内企業と同様の経営範囲が得られておらず、早急な改善措置を期待したいとの意見などがあった。」(WTO加盟後の中国経済2002 在中国日本商工会議所 調査委員会 江原 規由氏 2002年12月11日)

02020170この図が見えないので、以下を参照の事 http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2005/2005honbun/html/H2232000.html
2005年度の通商白書に中国における今後のコスト上昇要因として法制度の不備・不透明性が最大要因としてあげられている.2005年1月1日に対中国向け直接投資の指針となる「外商投資産業指導目録」が改訂され、その詳細は省略するが、「規制の強化や、具体的な規制内容が必ずしも示されない等の状況は、企業にとっては制度の不透明性の高まり、ひいてはコスト要因リスクと捉えうるものである。こうした法制度の不備・不透明性の問題は、対内直接投資が成長のけん引役を果たしている中国にとって改善が求められる課題となっている。」としている。

また、「2005年3月に行われた全国人民代表大会では、外資については、「引き続き外資を積極的かつ合理的に利用する」としている。しかしながら、外資の誘致を国内の産業構造と技術レベルの高度化によりよく結びつけることが強調され、「外資のハイテク産業、現代サービス業、現代農業、中・西部地域への投資を奨励し、消耗が大きく、汚染もひどいプロジェクトを制限する」とされており、投資の中身を吟味する姿勢を打ち出している。」(2005年通商白書)

「ビジネス上の懸念材料は、行政手続きが煩雑で不透明なことだ。特に地方では中央政府からの指令が勝手に解釈されていることもあり、あらかじめ決まっている法制度の実施時期がいつになるのかなどがわかりにくい。ライセンスを取得しても、その後の手続きに時間がかかるなど、ビジネスのスケジュールが読めない。行政手続きの効率化、迅速化、透明化が必要だ。」(古内章皓氏 日本通運取締役常務執行役員 2005年)

「地方保護主義とは地方政府機関等が地元企業を他の地方の企業よりも意図的に有利になるような不公平な扱いをすることを指し、特に外資企業に対してはその傾向が強く現れます。どこの国でも外国企業と国内企業の紛争に関して行政機関や司法機関が国内企業に味方した判断をする傾向にあることは否めませんが、中国の場合にはそれが顕著であると言われており、現実に地方保護主義の弊害を受けた日本企業も少なくありません。

外資企業が中国企業を裁判所(人民法院)に訴えた場合、その企業が地元の有力企業であれば、裁判官に圧力がかけられて、外資企業の主張が客観的に正しくても、裁判所は地元企業を勝訴させ、外資企業が勝訴することは難しいとさえ言われてきました。」(模造対策マニュアル JETRO 2006年3月)

行政の不透明性はこの地方優先主義、地方保護主義がその主な理由だ.自動車とか、保険、旅行業のようなものは中央政府だが、多くの不透明な部分は地方政府の政策だ.行政だけでなく司法においても不透明だ.今までの判例でも外資企業に不利な判決は数多くある.クレヨンしんちゃんの商標権問題もその一例だ.双葉社は未だに「蠟筆小新(ラービィシャオシン)」の商標を使用出来ないでいる.勿論、日本でも同様だが、法は合法かどうかであって、正義でないこともある。労働基準法のように法そのものが、おかしい場合もある.中国ではそうしたケースが日本と比べて、けたたましく多いと言う事だ.

すなわち、不透明と言う事はそこに中国政府の恣意性が入ると言う事だ.人の恣意性だけではない.法規そのものがおかしい場合もあるし、その解釈、運用がおかしい場合もある.中国企業に有利なように、また、その地方に有利なように行政が動くと言う事だ.中国は小さな国の集合体みたいなところがあるから、そのそれぞれの地域が自分のところの企業なり、利益を守るのは当然だ.今世界がこの金融恐慌による不況によって、保護主義に走ろうとしているが、正しくこう言う事だ.だから中国自体がグローバルな国だと言っている.

3流のレスリングみたいなもので、レフリーが見ていないところで、レスラーは目一杯反則をして、相手にダメージを与えると言った感じだ。特に地方政府の行政にはそう言うところがある.この世界はレフリー自身が反則を犯す.特に日本人は「友好」で、人が良いからターゲットにしやすい.税務が一番良い例だ.日本企業は判断が不透明な移転価格であっても、反抗せずにかならず払う.日本人は打たれ強い。いつまでも続かないが.

「経産省と中国商務省は年内に中国の投資法制や行政手続きの改善をテーマにした官民の共同研究を始め、不透明な取引慣行も、政府間の作業部会を設置して解決を目指す。」(asahi.com 2008年5月7日)

「2001年12月のWTO加盟以来、中国政府は、関連法制度の整備・改正等、WTO加盟約束の完全な遵守に向けた努力を続けており、わが国経済界としては、こうした取組みを評価している。今後についても、各種許認可等の手続の簡素化・迅速化、透明性の向上等、法制度の運用面の改善をはじめ、改革が加速されることを強く期待している。」(対外経済戦略の構築と推進を求める (社)日本経済団体連合会 2007年10月16日)

公の文章だから、こう言う書き方をしているのだろうが、こうした不透明性はWTO加盟後と今とで大して変わらない.膨大な地方法規を修正してもそうした問題ではないからだ.レスリングのルールの問題ではないからだ.そのルールを解釈するレフリーも問題だし、レスラーそのものがルールを無視して、反則し、あげくの果てはレフリーまで買収してしまえば、もうお手上げだ.

大なり小なり、反則はある.その反則にどう対応するのかは日本人が不得手とするところだろう.これこそ中国人を味方にして対応するしか無い.中国と言う国自体が多国籍だからだ。

敵の敵は味方である.善悪に関係なく手段を選んではならない.「友好」を信じてはならない.日本人の信用は通じない.家族閥、地域閥に入らなければ勝負出来ない.善意ではなく、損得で勝負しなければならない.相手が悪いと言う考えを持たなければならない.油断しては行けない.決して信用しては行けない.

このように書くと日本人としては反発したくなる内容だが、さきほども言ったように、中国は国の集合体と同じだ.よその国との交渉はこうなる。日本人は日本の国であれば、一つの国だから、こうならない。日本人のやり方を踏襲したいのであれば、中国のどこかの「閥」に入るしか無い.入らないのであれば相手を信用してはならない.油断しても行けない.それが日本人には出来ない.だから利益がでない.みんな相方にとられてしまう.

レフリーにいっても、ルール通りに判断してくれない.競争相手は反則していないと言うが、明らかに反則している.そうなると、相手は自分の国の人間でないとして、扱うか、自分の「閥」の人脈を探すしか無い.全社であれば、さきほど言った外国として扱うしか無い.日本人として日本のやり方を踏襲したいのであれば、「閥」に入るしか方法は無い.すべてのビジネスがこの「閥」に関係しているとっても過言ではない.

さきほどの中央政府に関わる自動車のような規制についてでも「閥」は関係してくる。もちろん、内容にもよるが、コネは十分に考えられる.中国には組織図とは別のコミュニケーションの組織があるとよく言われている.奥さんのルートもその一つだ.これは家族閥だ.出身地も関係している。大学の同窓も同じだ.何年もつきあっている友人関係もある.こう言うルートが中国人の「信用」のネットだ.日本人の信用とは全く違う.

このように書いてくるとなぜ行政手続きが不透明なのかその背景にあるのは何なのかがわかったと思う.地方政府がその地方の国有企業を守るのは人脈があるからだ.この人脈が予想できない不透明な結果をもたらしている.行政も司法も同じだ.そこのところが多くの日本人に理解出来ないようだ.CSRをたてにこの不透明性を否定しようとしても、否定出来ない現実がある.自分の不動産売買にはそう言うことはないと信じてしまう.自分の合弁事業にはそう言うことはないと信じてしまう.それが間違いだ.グローバルに生きて行くと言う事はこう言う事だ.

多民族、多宗教、多文化、多言語の世界ではこう言った事は当たり前だ.それが単一民族の日本人には理解出来ない.相手をまずは信用しないと言うことができない.日本人がグローバルになるための道はまだまだ遠い.いや、今の延長線上には道がないと言った方が正しい.どこかで、ワープするしかない.それがBPOだと言っている.BPOをすれば異国の慣習が隣の机にやってくる.そこから摩擦を起こす事から始めるしかない.中国人を社員にしてしまうと彼らは同化しようとするから、そうしたグローバル化の役には立たない.

明日は「4年かかった王子製紙」だ。大変な事業だったし、これからも課題山積みだ.

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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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