2009年04月27日

中国のグローバリゼーション22

政府がより高いレベルの教育を強調するので、教育の中身がひどく影響を受けてきている。教育は書物の知識、大学の入学試験にますます偏り、地域社会の状況とか必要性から、しばしば、引き離されてしまっている。特に多くの貧しい家庭にとって、教育は危険な投資になっている。というのも、社会における昇進の機会は限られているからだ。すべての教育システムは激しい競争にさらされており、わずかの勝者と多くの敗者だ。若者の自殺者はどんどん増えている。その家族が授業料を払えなくなったり、受験に失敗したからだ。

中央政府が産業の高度化を目指し、低付加価値の労働ビジネスから、高付加価値のビジネスへの変換を図りだした。そのため、今回の2000万人の農民工の失業に対しても、1300万人に対して職業訓練を行うということを発表している。教育もそのための施策だ。日本の中学生の標準の勉強時間が8時間で、中国人が14時間だ。それほどにまで、受験勉強が熾烈を極めている。しかも、600万人の今年の卒業生に対して、200万人は就職できない。しかも、大学に入学したときから、この200万人が就職できないということはすべての学生は知っている。

だから、今回の大連研修でも訪問したが、NEUSOFTの大学では授業時間中に外を歩いている人はいない。毎朝6時半から10時半まで勉強している。今は勝者はわずかだが、政府はそれを増やそうとしている。それが低付加価値産業から高度な産業へのシフトだ。今回の不況から脱したら、華南の玩具産業はそのまま復興することはない。単純労働に政府は支援しないからだ。

環境

人口が13億人もいるので、一人当たりの天然資源の資産は小さい。現在、一人当たりの耕地面積は世界平均の3分の一から半分しかなく、水資源は4分の一、石油埋蔵量は8分の一しかない。中国の生理的収容能力は一人当たり1.04ヘクタールしかなく、世界平均の55%でしかない。この限られた天然資源でさえ、しかるべき責務を果たしていない。中国は過去20年の経済の恩恵に対して、重たい環境の対価を払ってきていない。世界の工場になってきたのと同時に世界のゴミ捨て場にもなってきた。

空気汚染

1998年のWHOの報告書によると、世界で最も汚染された10の都市の7つが中国にある。空気汚染によって、毎年30万人が早死にしている。(以前早産と誤訳してしまったが。)酸性雨は国土の3分の一に影響を与えている。石炭から石油への変換は都市の空気汚染を減少させたが、近年における大規模な自転車から自動車への移行はこうした効果をそう相殺するだけでなく、空気汚染を加速させてしまった。多くの自動車の国際企業が「クリーンな自動車の技術」を売り物にしているが、車思考の成長を前提とした都市計画は見直さなければならない。北京では1980年代にはバスのスピードが10マイルだったが、1990年代には5マイルになってしまった。現在は2.5マイルだ。中国は世界第4位の自動車の生産国になり、第3位の消費国になった。車の所有者は毎年19%も伸びている。この傾向が続く限り、クリーン技術が空気のクリーン化に貢献しそうにない。この1、2年で車の販売も生産も世界一になってしまうのは間違いない。となると、ますます車公害の社会になってしまう。

水不足と水汚染

中国は世界で最も水が足りない国の一つである。中国は2つの地域からなる。揚子江流域から北の「乾燥した北部」と揚子江流域と南の地域からなる「湿度の高い南部」からなる。北部は5億5000万人の人口を擁し、穀倉地帯の3分の2と水の5分の一を占める。南部は7億の人口と3分の一の穀倉地帯と5分の4の水を有する。水不足は中国文化発祥の地である黄河流域が最も深刻である。この川は黄土高原に流れているが、地球上で、最も土壌浸食の激しいところで、何千年にもわたる耕作のおかげで、自然の腐葉土がほとんどなくなってしまった。

土壌に保水能力がなくなったのと地下水のくみ上げによって、この数十年間の間に川の水の供給量が減少してしまった。1972年に初めて黄河が海まで到達しなくなった。1997年はひどい干ばつだったので、226日間にわたって、海から700kmも後退してしまった。上流の農業地域と下流の工業地域との水の熾烈な葛藤もある。

水不足と水の汚染によって、都市や村は地下水に頼るようになった。中国の河北平原は穀物の40%を生産しているが、毎年地下水位が1.5mずつ低下してきている。1999年には北京の地下水位は2.5m低下したが、1965年以来59mも低下してきている。以前に話をしたように、7大河川の60%の水が第4類もしくはそれ以下に分類され、人間が接触するには適さないことを意味する。湖の75%が様々なレベルの富栄養化の被害を被っている。原因は農業排水と未処理の工業廃水だ。中国の農民はアメリカより2倍の農薬と殺虫剤を使う。工業廃水の3分の一と下水の3分の2は処理されずに水路に流されている。

1994年に最も汚染されていた淮河で政府は大掛かりなクリーンアップ キャンペーンを行った。何十億ドルもそれに費やしたが、水の品質は一向に良くなりはしなかった。水処理の設備を導入しても、企業はそれを動かすよりも罰金を払う方がコストが安くすんだ。地下水の25%は既に汚染されている。

土地の劣化と土壌汚染

1999年の森林局によると267万平方キロの砂漠があり、国土の27.9%を占め、毎年10,400平方キロ拡大している。全国土の37%、すなわち356万平方キロが様々な程度で、土壌浸食を起こしている。土壌浸食、塩化、汚染のために耕地面積の40%の頻出が低下してしまった。最近は急激な工業化と都市化のために急激な勢いて、農地が失われていている。既に乏しい耕地を守るために「耕地均衡法」を施行し、農地を転用する場合にはほかの土地を開墾する法律を施行した。そのおかげで、肥沃な土地がなくなり、新たに開墾された土地がどんどん増えることとなった。

残った土地も化学肥料、鉱山の開発、工業汚染によって汚染されている。農地の1300−1600万ヘクタールの農地は殺虫剤で汚染され、農地の5分の一にあたる2000万ヘクタールの農地は重金属(カドミウム、ヒ素、鉛、クロム)で汚染されている。1200万トンの穀物が人体に害のあるレベルで汚染され、1000万トン以上の穀物が汚染のために減産された。1999年から2002年にかけて、広東省は珠江デルタ地域の1,000平方キロの農地の地質調査を行った。10.61%の土地だけがきれいで、35.9%の土地は平均的もしくは重度の汚染されており、残りの土地の汚染は軽微であった。46%の土地はカドミウムに汚染されており、12.56%は水銀に汚染されていた。揚子江デルタも似たような状況だ。100種類以上のPCBと発がん性の高い残留性化学物質が見つかっている。2002年の南京農業大学の調査では土壌サンプルの70%以上から基準値以上の重金属が見つかっている。「水銀米」、「鉛米」、「カドミウム米」などの非常に汚染された穀物が市場で見つかっている。地方の人々は彼らの健康ででその代償を払っている。将来の世代もその代償を払うことになる。

温室効果ガス排出と地球温暖化

中国の一人当たりの排出率はアメリカ、EUその他の先進諸国より少ないが、それは人口が多いからであって、排出量はかなりのものである。中国はアメリカに次いで第2位だ。1994年の資料によると、26.6億トンの二酸化炭素ガス、3,430万トンのメタンガス、85万トンの亜酸化窒素ガス。

最近の自家用車の急増は石油の消費量を増大させた。中国は現在石油の32%を輸入に頼っており、2010年には現在(2004年)の2倍になる。2000年から2004年までに世界全体のエネルギー消費量の増加分の40%を占めてきた。現在のGDPの成長からすると2020年にはアメリカをこして、世界最大の排出国にある。

気象モデルの予測によると地球温暖化によって北は降水量がより少なくなり、南は逆に増加する。1980年来、河北平原は続けざまに干ばつに襲われ、中国南部はしばしば洪水に見舞われてきた。こうした現象は1990年代にはより顕著となった。2004年9月に中国と英国の政府の発表した報告書によると次の20年から80年の間に気象変動によって米、麦、トウモロコシの生産量は20から37%減産してしまう。短期的にはこの気象変動によって、水危機と食料の安全を悪化させる可能性がある。

環境不正と環境不安

都市部の住民に環境の意識が高まってきている。北京ではこうした背景があって130の工場が市外に移転した。クリーニング店、ガソリンスタンドは古いものを気体清浄装置で改造している。北京ではこうした過程において、多くのNGOが参画している。しかしながら、多くの実例が「環境帝国主義」になっていないかある活動家や研究者は疑問を呈している。多くの汚染された工場はただ単に貧しい地域に移動しただけであって、廃水を処理せずに、長い穴を掘って、水路に流している。北京や上海は西部から天然ガスを引いてきてだんだん供給を受けるようになってきたが、その供給元ではまだまだ石炭からガスを製造しており、環境悪化は改善されていない。

先に、2000万ヘクタールが重金属で汚染されていると言ったが、1億3000万人の農民がその影響を受けてきている。陝西省の小さな村では過去27年の間にガンで30人が亡くなっている。河南省黄孟営村では14年の間に2,400人のうち114人がガンで亡くなっている。淮河周辺では同一省内で死亡率が30%高く、ガンになる確率も2倍だ。役人はGDPの数字にしか関心を示さない。環境の要因は考えない。汚染の現状は工場が地方政府に支払う税金と収入に従属するということがもう一つの障害だ。ある場合には役人が公害工場の大株主でもあり、工場を運営する直接の利害関係者であり、工場の経費をできるだけ低く抑えようとする。

犠牲者が合法的に不満を表明する手段がないときには社会不安がさけがたいほどに増大してしまう。浙江省の東部で、2005年4月以来、3度の大きな公害に関連した抗議行動があり、警察とも衝突している。毎回、数千人、数万人にもなっている。Huaxi村の4月の事件では2万人以上の村民が工業園区での抗議を解散させようとして送り込まれた3000人の警官と対峙して、追い返してしまった。皮肉にも、浙江省は豊かな海岸地域で、近年、中国で、最も高い成長率を維持してきている。GDPの数字からみると成長の実例としては最も成功してきているが、この地方の人々はこの開発のモデルにだんだん否定的になってきている。

結論

都市部の中流階級は一部は西側からの影響にもよるが、環境をより意識するようになってきている。まだ、彼らの多くは政府に対して環境をよくする要求をする一方で、車とか贅沢品を求めている。「まず始めに金持ちになってから、環境をきれいにする資源を持とう。」というのが一般的な考えである。これは多くの農村部の住民にとっては難しい話だ。彼らの多くは環境破壊の矛先に耐えてきたが、急激な工業化からの利益を享受していない。都市部の人々はこうした活動から距離をかなり置いてきているが、農民は漁業がだめになり、穀物がとれなくなったときに環境保護と開発の人工的な対立を目のあたりにしてきている。彼らの多くは貧しく、よりよい生活を求めているが、自然の悪用によって達成できないことを知っている。為政者もこうしたことを理解する時が来た。










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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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