2009年05月29日
Free Trade9
昨日はサミュエルソンの論文のところで、彼の論旨がわからなかったので、つまずいたままだった。昨晩読んでみたが、簡単に理解できるものではなかったが、今朝はそこからだ。Free Tradeは意外と底が深かった。アダム・スミス、リカードさらにはサミュエルソンまで出てくるとは思っていなかった。日本のグローバリゼーションにそこまで理解する必要があるかどうかは疑問だが、大学を卒業してから、40年近く経っているので、今一度、議論をする上ではきちんとおさらいをする必要がありそうだ。BPOとかアウトソーシングになんで、サミュエルソンとかアダム・スミスなんだと言うところは確かにある。難しい計算式が出てくるので、そこまでは理解できなかった。ではそのサミュエルソンのところから続けよう。
このサミュエルソンの論文では「技術革新が比較優位産業Aに起きたのか、それとも比較劣位産業Bに起きたのか、もしくは労働市場を飽和するほどの実賃金率を上げて、完全雇用に近づけようとするのか?」中国とかアメリカで。「経済学者たちはグローバリゼーションに対して、あまりにも考えを単純化しすぎた自己満足をしている。」と言う。労働者はいつも勝つことはないとも言う。何人かの経済学者が強調していることだが、関税障壁は貧しい国が自国の産業を保護するためであり、豊かな国においては労働者に別の仕事を確保するために時間を与えるために存在しなければならないとも言っている。
これは以下のサミュエルソンの論文のきわめて一部分の引用なので、論文そのものを読まなければ全貌は理解できない。この論文は翻訳されていないので、仔細はまた別途機会があれば解説することにする。内容は平易ではない。
Journal of Economic Perspectives—Volume 18, Number 3—Summer 2004 —Pages 135–146
Where Ricardo and Mill Rebut and
Con?rm Arguments of Mainstream
Economists Supporting Globalization
Paul A. Samuelson
www.econ.jhu.edu/people/Barnow/samuelson.pdf
また2008年度の通商白書 第1節 諸外国のグローバル戦略に一部引用があるので、そこを参照してほしい。基本的な考え方は理解できる。www.meti.go.jp/report/tsuhaku2008/2008honbun_p/2008_17.pdf
エクアドルの大統領Rafael Correaは「自由貿易は詭弁だ。」と非難している。彼は彼の著書The Hidden Face of Free Trade Accords(自由貿易協定の隠れた顔)の冒頭でこう語っている。この本の著者の一人は今日、Correaのエネルギー大臣であるAlberto Acostaである。彼の書籍の原典はケンブリッジ大学の韓国人の経済学者Ha-Joon Changが書いたKicking Away the Ladder(はしごを蹴飛ばせ。)で、その中で、自由貿易において、「英国システム」と対立している「アメリカのシステム」との違いを解説している。英国システムはアメリカ人によってはっきりと、「英国帝国主義のシステムの一部」と見なされていると書いている。
Kicking Away the Ladderは要約が以下のところにあるので、見てほしい。佐藤健彦氏が翻訳している。http://www.diplo.jp/articles03/0306-5.html
Changはこのアメリカ人とは財務長官(1789-1795) Alexander Hamiltonのことで、 Friedrich Listではないと言っている。このListは産業の貿易保護主義を擁護した最初に体系的に意見を述べた人である。
自由貿易には次のような項目がある。balanced trade(均衡貿易)、fair trade(フェア・トレード)、protectionism(保護貿易主義)、Tobin tax(トービン税)
トービン税(英:Tobin Tax)とはノーベル経済学賞受賞者ジェームズ・トービン(イェール大学経済学部教授)が1972年に提唱した税制度である。投機目的の短期的な取引を抑制するため、国際通貨取引に低率の課税をするというアイデアで1994年のメキシコ通貨危機以降、注目を集めた。市民団体「ATTAC」などの組織がトービン税の税収を発展途上国の債務解消・融資やエイズ、環境問題などに使う可能性を提案している。だがトービン税は、世界各国が同時に導入しなければ効果が出ないという難点もある。非導入国がある場合、投機家の資金が非導入国に大量に流入する恐れがあるからである。
その他
自由貿易に関連するコスト、利益、受益者は学者、政府、利害集団によって、議論されてきている。多くの議論が free trade debateにある。(次はこれを取り上げたい。)
特定の文脈によって、自由貿易と言う用語を利用すると、この自由貿易の議論(Free trade debate)のどれかかそれ以上の項目に該当することになる。しかしながら、基本的には政府だけが貿易を規制できる。政府は法的な独占権を持っており、物理的な力を使って、地理的な地域の貿易に影響を与えている。
この自由貿易と言う言葉はきわめて政治的になってきており、いわゆる「自由貿易協定」が追加的な貿易制限を課していることはまれなことではない。そのような貿易に対する制限はしばしば、国内の政治的な圧力によるもので、力のある企業、環境もしくは労働の利害集団がその利益を保護するためである。
自由貿易協定は関税連合(customs unions)と自由貿易地域(free trade areas)の主要な要素である。この自由協定の仔細と違いについてはここでは述べない。自由貿易の機会はますますの地球温暖化の傾向によって、新たな貿易のルートができ、北極海を通る北西航路とか他の似たような地域で、氷が溶けてきたために可能となってきている。また、環境学者は地域でできた商品が世界の貿易に効果をもたらすと信じているようだ。
以上で、Free Tradeは終わった。引き続きFree Trade Debateに移る。もう少しこの自由貿易を勉強したい。難しい数式にはできるだけ入らないが、日本と中国を意識して、このテーマを扱っていきたい。