2009年05月31日

Free Trade debate3

昨日はチャイナリスク研究会のメンバーご苦労様でした。最近内容が難しいと言うことで恐縮している。確かに難しいと言うよりかは、興味が持てないと行った方が正しいかもしれない。欧米の人はグローバリゼーションの話をする時に、こうした基本要素の話とか、歴史とかを話をする。日本人は単刀直入に問題に入っていく。そうなると、問題の捉え方が、どうしても軽くなってしまう。日本の景気が特に悪いのも、目先でしか見ることができなくなってしまう。だから、こうして書いている。

昨日はグラフばかりだった。今週も受験勉強みたいな内容だが、こうした勉強をする機会は皆さんの私もないので、向こう3、4年の日本のグローバル化の危機を迎える前に一度整理しておく上では良いと思う。好況の波が来ると、その金で、中国が日本の企業を買いにくる。Jパワーのときは一社だから、日本政府は守ったが、それが100社になったら、もう誰も止められない。その前に、しっかり課題を整理しておくだけでなく、そのための対応策を考え、そのアクションをとっておかねばならない。勿論、こうした議論以前に、日本の企業はグローバルスタンダードで、仕事をしようと言うのは必定だ。今日はイギリスでの1838年のトウモロコシ法の廃止に関連した自由貿易の歴史だ。我々には関係ない話だが、そうとも言えない。今の農業の関税に関連している。当時イギリスは国内のトウモロコシの農業を保護するために関税をかけていた。それを廃止まで持っていた経緯を今日は扱っている。皆さん、毎日忙しい日々かもしれないが、今しばし、こうした歴史があったことを考えるひと時も大事ではないだろうか。

相互の自由貿易は輸出業者の利益になる。

自由貿易のための早期のロビー活動は反トウモロコシ法同盟の企業家によって行われた。(注:1838年にマンチェスターで結成され、1846年にこの法律は廃止された。1836年に反トウモロコシ法協会が作られたが、これは失敗した。この法律はイギリスの国内のトウモロコシの価格を守るために、輸入に対して関税をかける法律であった。)この紳士たちの幾人かは繊維工場を所有しており、輸入を禁止するトウモロコシ法を廃止することによって、1830年代のイギリスは小麦を輸出している国々に、綿布を売ることができるだろうと信じていた。

David Ricardoは反トウモロコシ法に介在し、その過程で、比較優位の理論を展開した。(Reciprocal Trade Agreements Act)この議論は国内生産者による重商主義と貿易保護主義に対して、自由貿易に賛成する意見であった。

1950年になって、Jacob Vinerによって、相互に関税を下げる通商圏は単に需要サイドに利益をもたらすだけでなく、供給サイドにも利益をもたらすことを示した。このことを貿易創出( trade creation 以下のところにVinerの日本語の説明がある。http://www1.doshisha.ac.jp/~yonozuka/International_Trade/InterT-11.htm)といい、供給サイド全体に利益をもたらし、各国の中において、そのパートナー間で、最も高い比較優位で生産している企業に対して、資源が割り当てられるとこうしたことが生じることになる。

この議論は日本貿易振興機構アジア経済研究所 石戸 光氏に易しくかつ詳しい。http://dakis.fasid.or.jp/report/information/tradeanddevelopment.html

自由貿易に賛成した道徳的な議論

18世紀、19世紀の知識人は自由貿易を支援していたが、増大する物質的な豊かさという題目のもとでは滅多にそうしたことはしてこなかった。多くの場合、自由貿易が豊かさの最も重要でない理由として考えられていた。むしろ、国際社会は交易の増大によって、改善されると考えていた。後にこれらの人たちの何人かは以下のような社会政治的な議論をしている。

自由貿易は正しい。

自由意思論(リバタリアニズム:他者の権利を侵害しない限り、各個人の自由を最大限尊重すべきだとする政治思想である。 哲学、神学、形而上学においては決定論に対して自由意志の存在を唱える立場を指す。)を支持する人たちはいかなる貿易に対する制約は経験に依存することなく、不道徳だと主張し、外国商品を買うために消費者主権の権利を制限することは合法的な政府のすることの範囲外だという。

消費者主権:消費者が何をどれだけ買うかは完全に消費者の主権に属するものであり、これが企業の生産体制を決定すると考える厚生経済学の用語。自由市場経済に規範的価値を与える。

この考えは反トウモロコシ法急進派の伝統であり、Richard Cobdenは1838年の議会への嘆願書で、「消極的自由」への嘆願として結論づけている。

消極的自由は自由概念の一つで、他者の権力に従わない状態、他者の強制的干渉が不在の状態を意味する。例えば信教の自由では政府が国民個人の宗教活動に干渉しないと規定(国家からの自由)するように、消極的自由は他者の干渉が物理的に無い範囲を規定する。消極的自由は「〜からの自由(liberty from)」、積極的自由は「〜への自由(liberty to)」とも呼ばれる。

「永遠の正義の原則の一つを支持する。それは万人の権利を自由に奪いことはできない。その権利とは労働の結果を他の人々の生産と交換すると言う権利のことである。また、一方で、社会の一部を他の階級の人たちの費用で、保護してきているが、それは不健全であり、かつまた、正義ではない。この嘆願者たちは真面目に名誉ある議会に懇願し、外国のトウモロコシとその他の外国の生活品の輸入に関連するすべての法律を廃止し、農業、製造に影響を与えるすべての範囲で、真実で、平和な自由貿易の原則を実行し、制限のない、産業の雇用と資本に対する障害を取り除くことを請願する。」





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海野 恵一
1948年1月14日生

学歴:東京大学経済学部卒業

スウィングバイ株式会社
代表取締役社長

アクセンチュア株式会社代表取締役(2001-2002)
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海野塾のイベントはFacebookのTeamSwingbyを参照ください。 またスウィングバイは以下のところに引っ越しました。 スウィングバイ株式会社 〒108-0023 東京都港区芝浦4丁目2−22東京ベイビュウ803号 Tel: 080-9558-4352 Fax: 03-3452-6690 E-mail: clyde.unno@swingby.jp Facebook: https://www.facebook.com/clyde.unno 海野塾: https://www.facebook.com TeamSwingby
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